猫の飼い主の皆さんは、愛猫の避妊・去勢手術を受けさせていますか?
「かわいそうだから受けさせていない」という選択肢もあるかもしれません。しかし、避妊手術をしていない場合は、万が一に備えて妊娠してしまったときのことを考えておく必要があります。
また、妊娠している猫を保護することもあるかもしれません。そんな時のためにも、猫の妊娠から出産までの知識をしっかり身につけておきましょう。
今回は、猫の妊娠から出産までの道のりを時系列順にご紹介します。
注意
いくら可愛い子だからと言って、自分で繁殖させることはオススメできません。多頭飼育崩壊は、無計画な繁殖により頭数がどんどん増え、最後には自分では面倒を見きれなくなり、保護活動を行っている方々のお世話になるケースがほとんどです。あくまで猫の出産を知識として知っていただくための記事であり、繁殖を推奨している記事ではないことをご理解ください。
この記事の目次
①受精
猫は個体差はあるものの、生後6ヶ月から1年で妊娠することができます。つまり、メス猫は生まれて半年で母親になる可能性があると言えます。
猫の6ヶ月は人間の年齢に換算するとおよそ9歳にあたり、少し早いと感じるかもしれませんが、成長が早い猫が生後半年で妊娠することは珍しくありません。
発情期と妊娠
猫の発情期は日照時間に大きく影響されます。一般的には日照時間が長い2月〜9月にかけて2,3回訪れ、年に2,3回出産することが可能です。一度の出産で3〜8匹の子猫を産むため、多いときは年間で24匹もの子猫が生まれる計算になります。
妊娠期間は約2ヶ月で、受精からおよそ9週間から10週間で出産します。
いつまで妊娠できる?
猫に閉経はないので、シニア猫でも妊娠は可能です。猫の年齢で10歳は人間の年齢の50代後半にあたりますが、それでも妊娠・出産ができるということです。
しかし、人間と同様、高齢出産になると死産や母体への負担が大きくなるため、シニア猫の出産は推奨されません。飼育しているシニア猫の避妊手術が済んでいない場合は、オス猫との接触を避けるようにしましょう。
なお、猫は交尾の刺激によって排卵する「交尾排卵動物」です。交尾をするとほぼ100%妊娠すると言われているため、妊娠を望まない場合は避妊手術が効果的です。
②妊娠初期
猫の妊娠初期は、特に目立った変化が見られないことが多いです。しかし、妊娠の最初の2週間は吐き気を催し、食欲が落ちることがあります。
普段から愛猫をよく観察し、ちょっとした変化にすぐ気づけるようにしておきましょう。
③妊娠中期
妊娠中期に入ると、食欲不振から一転して食欲旺盛になり、体重が増え始めます。これは出産の準備が本格化するサインです。
また、この時期には乳首がピンク色に変わり、大きく膨らみます。この変化は「ピンキングアップ」と呼ばれ、妊娠した猫特有の現象です。普段は体毛に隠れていますが、膨らむことで肉眼でも確認しやすくなります。
さらに、お腹も大きくなり、全体的にふっくらしてきます。特にお腹周りの膨らみが顕著になり、妊娠が進んでいることがはっきりとわかるでしょう。
④出産準備
およそ出産1週間前から出産準備が始まります。落ち着きつきがなくなったり、鳴くことが多くなりますが、静かに見守ってあげましょう。
この時期になると、自分の出産場所や子猫のための巣を作るために、暖かくて安全な場所を探し始めます。また、出産間近になると母乳が出てくるようになり、急激な食欲低下も見られるようになります。
⑤出産
出産の兆候はわかりやすく、猫は性器の周辺を舐め始め、その約1時間後に最初の子猫が生まれます。以降、5分から3時間ほどの間隔で次の子猫が誕生していきます。
すべての子猫の出産が終わったあと、親猫は生まれたての子猫を舐めたり、自分の胎盤を食べたりします。これらは自然な動物の行動ですので、飼い主さんは安心して見守ってあげましょう。
飼い主さんがすべきこと
飼い猫が出産ともなれば、飼い主さんも心配で仕方がないですよね。しかし、基本的に飼い主さんは何もする必要はありません。むしろ手を出さないようにしましょう。
親猫は妊娠中や出産後、子猫を守るために敏感になり、攻撃的になることがあります。たとえ飼い主でも、子猫に触れようとすると攻撃される可能性があるため注意しましょう。また、親猫が育児を放棄するケースもあります。
そのため、妊娠中や出産後は静かに見守ってあげるようにしましょう。
子猫が鳴かないときは
母猫は子猫を舐めて呼吸を促しますが、産声をあげない場合は胎膜を手で破り、タオルで優しくさすってあげましょう。
最後に
猫は比較的安産が多いと言われています。不安はあると思いますが、過剰に手を出すことなく、温かく見守ってあげましょう。
冒頭でも述べた通り、猫は繁殖能力が比較的高い生き物です。無計画な繁殖は多くの悲しい命を生むことになるため、飼育する場合は去勢・避妊手術を受けさせることを検討してみてください。