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ねこしつけ

獣医師が教える子猫のしつけ①〜キャリーケースに慣れさせる

相澤 啓介 獣医師

春になり、新しい生活を猫と一緒に、と考えている方も多いのではないでしょうか。

子猫を新しく家に迎え入れるなら、子猫のうちにやっておきたいことをしっかりおさえておきましょう。

ワクチン接種や寄生虫の予防ももちろん大切ですが、今回は家で出来る子猫のトレーニングのひとつ、「キャリーケースに慣れさせること」について解説します。これから子猫を飼おうとしている方、既に子猫とともに生活を始めている方は、ぜひ参考にしてくださいね。

キャリーケースに慣れさせるのはなぜ重要なの?

キャリーケースに慣れさせることは、動物医療従事者として、家庭で最も行ってほしいトレーニングと言っても過言ではありません。しかし、特に猫に屋内と屋外を自由に行き来させている飼い主さんの中には、そもそもキャリーケースを持っていない方も少なくありません。

そこでまずは、キャリーケースに慣れさせることの大切さについて見ていきましょう。

1. キャリーケースを不吉の象徴にしないため

犬と違い、猫と一緒に長時間の外出や旅行をする方は多くないでしょう。そうなるとキャリーケースを使用するのは、せいぜい動物病院に連れて行かれるときや、ペットホテルに預けられるときだけです。

どちらにしても猫からすれば、居心地の良い我が家を離れてストレス環境に連れ出されるわけです。すると、猫も学習しますから、キャリーケースを不吉の象徴として認識してしまいます

それもあってか、「キャリーを出した途端に隠れてしまって、病院に連れてくるのが大変だ」という相談を受けることもあります。また、具合が悪いからと病院を受診したものの、強いストレスのために攻撃的になり、詳しい検査や適切な治療が遅れる、あるいは不可能となる場合もあります。

猫がキャリーケースに慣れて、「キャリーケース≠悪いもの」だと認識してくれれば、猫にストレスをあまりかけることなく病院やペットホテルにスムーズに連れて行くことができます

2. キャリーケースを猫の「安全地帯」にするため

ペットホテルなど、まったく知らない環境で過ごすことは、猫にとって大きなストレスになります。ペットホテルから帰ってきたら猫が体調を崩した、という話もよく聞きます。

猫がキャリーケースに慣れていれば、キャリーケースをホテルのケージの中に置くことで、猫の「安全地帯」ができ、猫のストレスを最小限に抑えられます

3. もしもの時に備えるため

災害など、もしもの時、猫がキャリーケースに慣れていないと、スムーズに避難することができません。さらに、強度の高いキャリーケースに入っていれば、多少物が落ちてきたりぶつかったりしても、中にいる猫の体は守られます

もしもの時のため、日頃からキャリーケースに入ることに慣れさせておくことが重要です。

猫をキャリーケースに慣れさせるには?

では、具体的にどのようにすれば、猫はキャリーケースに慣れてくれるのでしょうか。

キャリーケースの中で食事をさせる

効果的な方法は、キャリーケース内で食事をさせることです。

とは言っても、家に迎え入れて、いきなりキャリーケースでというのでは警戒されてしまいます。まずは何もない場所で普通に食事をさせてあげましょう。

慣れてきたらキャリーケースが遠くに見える位置での食事、キャリーケースが近くに見える位置での食事というように、徐々にキャリーケースを近づけていきます。この時、食事中にキャリーを動かす必要はありません。猫の様子を見ながら、時間をかけて根気強く慣れてもらいます

こうして、最終的にキャリーケースの中で食事することが目標です。

キャリーケースを生活の一部にする

いつも遊んでいるおもちゃやお気に入りの毛布などをキャリーケースに入れて、安心感を与えるのもよいでしょう。

キャリーケースを生活の一部にしながら、猫にとってキャリーケースの中は安心で安全なのだと教えてあげることが重要です。

こんなキャリーケースがおすすめ!

最近はキャリーケースも種類が豊富になってきました。筆者がおすすめするキャリーケースは、以下の特徴を備えたものです。

上半分が取り外せるキャリーケース

どれでも同じと思うかもしれませんが、一番おすすめなのはキャリーケースの上半分が取り外しできるタイプのものです。

狭い出入り口のタイプは、猫を出し入れする際にどうしても無理やりになってしまいます。せっかく家でキャリーケースに慣れさせても、これでは猫にとって大きなストレスとなります。

病院でも、上部を取り外せるキャリーケースなら、猫を無理やり診察台の上に連れて来なくても、簡単に診察ができるのです。

外の様子がわかりづらい構造のもの

いつもと違う外の景色を見たり、キャリーケースの中を外から覗き込まれたりすると、猫は緊張してしまいます。特に室内飼いの猫は、外の世界自体に緊張してしまいます。

キャリーケースの外から猫の様子がわからないというデメリットはありますが、猫の気持ちになってみると、キャリーケース内は絶対安全という確信があれば、キャリーケースの中では安心して過ごせます。

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まとめ


人間と同様、近年では猫の寿命も延びつつあります。その裏には動物医療の発展と、動物福祉の意識の強化があります。

猫になるべくストレスを与えないこと、適切な医療を受けさせる土台を作ることは、動物の命を預かる飼い主の責任です。

子猫のうちからキャリーケースに慣れさせておくことで、動物病院やペットホテルに行くときも、猫のストレスを最小限に抑えることができます。また、災害などの際には猫と一緒に避難するためにもキャリーケースは必需品となります。いざというときのために、日頃から訓練しておきましょう。

この記事が少しでも、あなたと猫の関係を良くする手伝いになれば幸いです。

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