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ねこ健康

【獣医師監修】猫の咳は早期治療がカギ!考えられる疾患を徹底解説

相澤 啓介
相澤 啓介 獣医師

人間は、風邪をひくと咳が出ることがありますよね。では、猫が咳をしている場合も風邪なのでしょうか?

実は、猫には人間で言う「風邪」に当たるものはないため、猫の咳は、風邪ではない何らかの異常が起きているサインです。

咳が長く続くと、体力的にも大きな負担がかかることになるため、素早く原因を特定し、それを取り除かなくてはなりません。今回は、猫の咳の症状について、獣医師が詳しく解説していきます。

そもそも咳とは

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咳とは、気道内の過量分泌物、異物、物理的圧迫、振動、有毒ガス、冷気、感染、炎症に対して起こる生体防御反応です。
このことから、咳は病気以外の環境要因によっても誘引されることがわかります。

咳に伴って痰の産生があるかどうかも重要となってきますが、猫は痰を飲み込んでしまうことが多いため、排出されるのを見ることはあまりありません。

湿咳と乾咳

また、咳はその性質から、「湿咳」「乾咳」に分けられます。
湿咳は音量が小さく、くぐもった咳のことで、主に肺機能の低下によって起こります。
乾咳は高音で大きいことが特徴で、気管や気管支に問題があるときに起こる傾向にあります。

猫の咳で受診した際に動物病院で聞かれること

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猫の咳の原因は速やかに取り除かなければなりません。

そのためには、猫の家での様子などについて、情報の収集が不可欠です。猫の咳で動物病院を受診する前に、次のようなポイントを確認しておくとスムーズです。

  • いつから:急性か慢性かなど
  • 飼育環境:部屋の温度や湿度、喫煙者の有無など
  • 咳の様子:音、大きさ、回数、咳をする時間帯など
  • 呼吸の様子:お腹を動かしながらの努力呼吸の有無、開口呼吸の有無など
  • 呼吸数:安静時における1分間当たりの呼吸数

呼吸数の測り方

呼吸数は、運動の後などではなく、リラックスしている状態のものを測定します。

回数は、15秒間の呼吸数を数え、4倍して1分間の呼吸数を推定します。通常は1分間で20回前後となりますが、40回/分以上になると呼吸器疾患が疑われます

咳の様子を動画に撮っておくと良い

咳の状態は診断の上で重要ですが、動物病院を受診すると、猫は緊張で咳をしなくなることがあります。

そこで、自宅で咳の様子を撮影して頂けると、診断の助けになることもあります。

猫の咳で考えられる疾患

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では愛猫が咳をしているのを見た時にどんな疾患が考えられるのでしょうか。

異常が見られるのは主に呼吸器ですが、順番に見ていきましょう。

猫喘息

気管支炎を起こす多くの疾患を総称して「猫喘息」と言います。

何が原因かははっきりとは分かっていませんが、芳香剤、タバコの煙、ハウスダスト、埃、スギ花粉などの吸引が関与していると考えられています。

症状は咳や呼吸困難が主で、発作性の呼気性呼吸困難が見られることもあります。また、中高齢のシャム猫に多く発生するとも言われています。

肺腫瘍

原発性の肺腫瘍は非常に稀で、多くは他の部位からの転移によるものです。

転移する可能性が高い腫瘍として、甲状腺癌、乳腺腫瘍、骨肉腫、血管肉腫、移行上皮癌、悪性黒色腫、扁平上皮癌などが挙げられます。
一般的な症状として慢性的な咳が見られ、他にも呼吸困難などが見られます。

肺炎

肺炎はウイルスや細菌、アレルギーなど様々な原因で引き起こされます。

いずれの場合も原因の特定が非常に重要で、それによって治療法も異なります。
症状は咳や呼吸困難で、細菌が関与している場合には痰の産生も認められます。

胸水症

胸腔内に、何らかの液体が貯留している状態です。

これによって肺が圧迫され、咳や呼吸困難といった症状が現れます。
胸水が溜まる原因としては、感染、うっ血性心不全、低蛋白血症などが挙げられます。

また他にも、血液、乳び液、膿などが貯留する場合もありますが、外から見ただけでは液体成分が何なのかを特定することはできません。実際に胸水を抜去し、検査を行うことで胸水の成分を解析し、原因の特定を行っていきます。

横隔膜ヘルニア

横隔膜は胸腔と腹腔を隔てている筋肉で、呼吸に関与しています。

先天的に横隔膜に穴が開いている、または後天的にも事故などの外傷によって横隔膜に穴が開くことがあります。
これによって腹腔内の肝臓や腸管が胸腔内に移動し、呼吸を妨げる場合があります。

特に、外飼いの習慣がある猫が帰宅後に呼吸に異常が見られる時には、予期せぬケガで肺や肋骨の損傷や横隔膜ヘルニアを起こしているかもしれません。

心疾患

心不全が起こると、静脈の血液の流れが滞り、胸腔内に胸水が溜まる原因となります。

また、心臓への慢性的な負担は心臓を大きくし、気管が圧迫されて咳が出ることも多いです。

特に猫において肥大型心筋症の発生が多く報告されており、定期的な検診が重要となっています。

犬糸状虫症(フィラリア症)

犬糸状虫はフィラリアと呼ばれる寄生虫で、蚊によって媒介され、主に犬の心臓に寄生します。

しかし、近年では猫での寄生例も報告されており、犬と比較して重症化しやすいことがわかってきました。

症状は咳の他に、嘔吐、血尿、元気消失、食欲低下などが見られます。
ノミやマダニの予防薬の中には、フィラリアに対する予防効果を有しているものもあるので、一度確認してみるといいでしょう。

猫の咳は早めの受診が大事

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咳は、呼吸器や循環器という、命に直結する臓器の異常によって引き起こされることの多い臨床徴候です。

そのため、放置して重症化すると厄介なことが多く、早期診断と早期治療がカギとなります。
愛猫に咳が確認できたら、できるだけ早めに動物病院を受診するようお願いします。

まとめ

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猫の咳は音が小さいことがあり、気付くのに遅れてしまうことも多いです。しかし、猫の咳の裏には重要な疾患が隠れていることも多いため、早めの対処が必要です。

普段から、猫の様子に異常がないか気を付けながら生活し、大切な愛猫の健康を守ってあげましょう。

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