日本でチョコレートの消費量が一番多い月はいつか知っていますか?勘の良い方なら分かるかもしれません。そう、バレンタインデーがある2月の消費量が最も多いのです。
大人から子供まで大好きなチョコレート。しかし、犬や猫など多くの動物にとって、チョコレートは毒でしかありません。知らなかったという方も、そんなの常識という方も、危険が多いこの時期に、チョコレートはなぜ危険なのか、もし大切なペットがチョコレートを食べてしまったらどうしたらいいのかを改めて確認しましょう。
この記事の目次
ペットにチョコレートを与えてはいけない
犬や猫を飼っている人にとって、チョコレートをあげてはいけないことは常識だと感じるかもしれません。しかし、なぜチョコレートを与えてはいけないかキチンと理解していますか?チョコレートの何がいけないのか、どのくらいの量を食べたら危険なのかを知りましょう。
カカオに含まれるテオブロミンが危険!
チョコレートの原料であるカカオにはテオブロミンが含まれています。
人間がテオブロミンを摂取した場合、肝臓で代謝され、メチル尿酸という物質に変わります。犬や猫も同様に肝臓で代謝されますが、人間と比べると時間がかかり、血中にテオブロミンが長く留まることになります。
テオブロミンが体内に入ると、体の外に毒素を排出しようと以下のような中毒症状を引き起こします。
- 下痢
- 嘔吐
- 血圧の低下
- 心拍数の増加
- 呼吸が荒くなる
- けいれん
- 昏睡
テオブロミンの摂取量が多いと昏睡状態に陥り、最悪の場合はそのまま死に至ることがあります。
致死量はどのくらい?
犬の場合、1kgあたり100mg〜200mgのテオブロミンを摂取すると死に至るとされています。
これは、具体的にどのくらいの量なのでしょうか?
一般的な市販チョコレートには以下の量のテオブロミンが含まれています。
- ミルクチョコレート1枚で150〜180mg
- ビターチョコレート1枚で450〜600mg
つまり5kgの犬がビターチョコレート1枚を食べると致死量です。最近人気の高カカオチョコレートは、純度が高い分、テオブロミン含有量も高いので、ペットの口に入るようなことがないようにしましょう。また、この値はあくまで致死量であり、少量でも中毒症状は現れます。
ホワイトチョコは大丈夫?
一般的にホワイトチョコレートにはカカオがほとんど含まれずテオブロミン含有量は気にしなくていいとされています。しかし、甘いものは虫歯や肥満の原因になりますし、美味しいものだと認識すると、今後チョコレートの誤食の原因にもなりかねませんので、与えるべきではありません。
カフェインも危険
チョコレートといえばテオブロミンが危険というイメージがありますが、カフェインも含まれています。テオブロミンと同様、カフェインも中毒症状を引き起こしますので、注意しましょう。
誤食の危険性があるシチュエーション
飼い主さん自身はチョコレートがペットにとって危険だということを知っていても、周りの人が無知であったり、目の届かないところでペットがチョコレートを口にしてしまうこともあります。そんな危険が発生しうるシチュエーションをご紹介します。
知識のない人が良かれと思ってあげてしまう
ペットを飼っている人の多くは、チョコレートをあげてはいけないことを知っているでしょう。しかし、たまたま家に来た友人や子供、犬の散歩中にすれ違った人が、危険性を知らずに良かれと思ってチョコレートをあげてしまうかもしれません。
「それくらい常識だろう」と思い込まず、他の人がむやみに食べ物を与えてしまわないように注意しましょう。
家に置いてあるチョコレートを誤食
おやつやお土産で定番のチョコレート。ついついテーブルの上に置きっぱなしにしていませんか?
大変恥ずかしいことですが、編集部のメンバーが飼育している犬のケースです。家族が留守の際、手が届かないだろうと思っていたテーブルに置いてあったチョコレートをどうやって取り出したのか食べてしまいました。ちなみに、まだきちんと梱包された未開封状態のものでしたが、包装もこじ開けていました。
外出先から帰宅し、空っぽの箱が転がっているのを見て血の気が引いた編集部のメンバー。急いで動物病院に連れて行き、薬を飲ませ、すべて吐き出させました。食べてから時間が経っていなかったこともあり、命に別状はありませんでしたが、絶対に手が届かないだろうと思っても、ペットの目の届くところに食べ物を置いてはいけません。
見守りカメラが有効
なぜ、編集部のメンバーが早期発見できたのか?気になりませんか?
実は自宅にペット用のカメラを設置しており、一人でお留守番をさせている際は、時々確認するようにしていたのです。備えあれば憂いなし、ペット用カメラは意外と役に立つのです。
チョコレート菓子を作っているときに目を離したスキに誤食
バレンタインに向けて自宅でチョコレートのお菓子を作るという人も多いでしょう。お菓子を冷ましていたり、完成して気が抜けた瞬間が特に危険です。猫は高いところでも自由に移動できますし、犬も興味の引くものがあれば食べようとしてしまいます。
心配な方はこのような食卓カバーを使うといいかもしれませんね。
しかし、食卓カバーも絶対ではありません。容易に外されてしまうかもしれません。やはり絶対に手の届かないところに置いた方が安心できるでしょう。
もしチョコレートを食べてしまったら
万全の注意を払っていても、ペットがチョコレートを食べてしまうことがあるかもしれません。その場合、焦らずかつ迅速に対処することが重要です。
食べた量を確認する
チョコレートを食べてしまったからといって、ごく少量であれば急を要す事態にはならないでしょう。
しかし、大量のチョコレートを食べてしまったら、一刻も早く体内からチョコレートを排出する必要があります。食べた量が分かれば、獣医師も適切な処置を行えますので、どのくらいの量を食べてしまったかを把握しましょう。
動物病院に連れていく
テオブロミンを摂取してから症状が出るまで2〜4時間ほどかかるとされているため、遅くても2時間以内に病院に連れて行きましょう。チョコレートは溶けると粘性が高くなり、吐き出させるのが大変になります。
インターネットで検索すると、サイトによっては「塩を飲ませて吐かせる」という対処法が紹介されていますが、塩の摂取自体が好ましいことではありません。自分で判断をせずに必ず獣医師に処置してもらいましょう。
チョコレートの代用品
そうはいっても、バレンタインデーをペットと一緒に楽しみたいという方もいると思います。
そんな方にオススメなのが、キャロブという植物です。キャロブは地中海原産のマメ科の植物で、日本では健康食品として利用されています。キャロブには甘みがありチョコレートに近い色をしていますが、テオブロミンやカフェインを含んでいないため、ペット向けのチョコレートの代用品としても使われます。
ただし、キャロブはマメ科の植物であるため、大豆アレルギーの子は注意してくださいね。
あなたの知識が小さな命を救う
大切なペットがチョコレートを食べてしまった時、パニックになってしまうこともあるかもしれません。
しかし、少量であればすぐに命の危険があるというわけではありません。なぜチョコレートを食べさせてはいけないのか、どのぐらいの量だといけないのかをしっかり理解しておき、いざという時に冷静に対処できるようにしておきましょう。もちろん個体差はありますので、すぐに獣医師に診てもらってくださいね。
チョコレートが多く消費されるこの時期。大切な家族であるペットが苦しい思いをしないように、誤って口にすることのないよう気をつけてください。