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コラム

マダニ感染症患者数が過去最多を記録。ペットからの感染にも注意して

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Risa シェリー編集部

国立感染症研究所によると、マダニを介して発症するウイルス感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の感染者数が、2019年、統計を取り始めてから過去最多となる102人を記録しました。

そのうち死亡者数は5人で、致死率としては低下の傾向にあるものの、それでもなお死に至る危険性は十分に高く、注意が必要です。

ペットがマダニに噛まれて病気に感染するリスクもあれば、ペットから人間に感染するリスクもあります。

今回は、人間である私たちと大切なペットの健康を守るため、基本的なマダニの知識と、対策方法をお伝えします。

マダニってどういう生き物?

マダニってどういう生き物

マダニは「節足動物」と呼ばれる、脚が8本からなる動物で、クモやサソリなどの仲間です。

一般的にみなさんが「ダニ」と聞いて思い浮かぶであろうイエダニなどの微小ダニは約0.2~0.4mmですが、マダニは吸血する前のもので約3~4mmと、肉眼でも見える大きさで、固い外皮に覆われているのが特徴です。

マダニの栄養源は動物の血液

マダニは、動物の血液を吸うこと以外に栄養を摂取することができません。マダニの成長過程は幼ダニ・若ダニ・成ダニの3段階に分けられますが、それぞれの段階で発育、脱皮、産卵のための栄養摂取のために吸血します。

マダニが吸血をする際に病原体を媒介すると、吸血された動物や人間が病気にかかってしまいます。

マダニはどこにいる?

マダニは、森の中や広い公園、河川敷などの草むらに潜んでいて、そばを通る動物に飛び移る機会をうかがっています。マダニには「ハラー氏器官」という感覚器官が備わっており、動物の体温や二酸化炭素などを感知し、宿主となる動物に飛び移って寄生します。

マダニによる感染症の主な症状

マダニによる感染症の主な症状

マダニに噛まれることで発症する病害は、マダニに噛まれたこと自体が影響する「直接的な病害」と、マダニが病原体を媒介することで病気を発症する「マダニ媒介性疾患」の2つに分けられます。

直接的な病害

貧血

マダニに大量に血液を吸われると、貧血を引き起こす可能性があります。

ダニ麻痺症

マダニの中には、唾液中に毒性の物質を産出する種類がいて、それにより神経障害を引き起こすことがあります。

アレルギー性皮膚炎

マダニの唾液によってアレルギーを引き起こし、強いかゆみなどにおそわれることがあります。

マダニ媒介性疾患

マダニを媒介して発症する病気には、バベシア症、日本紅斑熱、ライム病、Q熱、エールリヒア症、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)などがあります。

それぞれ、人間にもペットにも感染のリスクがあり(日本紅斑熱の場合、犬は無症状)、発熱や嘔吐、食欲不振などを引き起こします。

日本で感染者が増えているSFTSって?

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)

マダニ媒介性疾患の中でも、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は日本国内で感染者数が増え、2019年には統計を取り始めた2013年からの7年間で最も多い、102人が感染しました。

主な症状

SFTSの潜伏期間は6日〜2週間で、主に発熱、食欲低下、嘔吐、下痢などを引き起こし、頭痛や筋肉痛、皮下出血や下血などの出血症状、意識障害、リンパ節腫脹などを起こすこともあります。血液検査により、白血球や血小板の減少や血清逸脱酵素の上昇がみられることが多いです。

致死率は国や年にもよりますが、およそ6〜30%とされており、治療方法は対症療法しかなく、有効な薬やワクチンは今のところありません。

なぜ感染者が増えたの?

厚生労働省はSFTS感染者の増加について、「マダニに寄生されたシカなどの野生動物が山を下りて人家の近くに出没するようになった」ことがひとつの大きな原因ではないかと分析しています。

また、SFTSは2011年に発見された比較的新しい病気で、近頃認知度が高まってきたために報告が多くなったことも原因のひとつと考えられます。

感染者は西日本に多い

SFTSの感染者は主に、九州、中国、四国地方に集中しており、石川県や福井県などの北陸地方でも確認されています。

しかし、東日本に生存するマダニからもSFTSの病原体が検出されており、シカやイノシシなどの野生動物からもSFTSへの抗体が見られることから、東日本にも十分感染のリスクは存在します。

さらに、犬から犬、犬から人、人から人に感染することもあるため、旅行などで病原体を他の地域に持ち帰ってしまう可能性もあります。

厚生労働省は、今後SFTSの感染地域はさらに拡大すると予測しており、どの地域に住んでいる人に対しても注意を呼びかけています。

マダニ感染症の対策方法

マダニの感染予防

人間はこまめに身体を清潔にしよう

農作業やキャンプをする人は、帰ったらすぐにシャワーを浴び、服を着替えるようにしましょう。

専門家はマダニについて、動物の肌に飛び移ってもすぐには噛まないので、山や森、草むら戻った後にシャワーを浴び、服を着替えることでマダニに噛まれる機会を減らせると指摘しています。

虫除けスプレーを活用しよう

キャンプや農作業の前には、虫除けスプレーをしましょう。虫除けスプレーはマダニ以外にもさまざまな虫から身体を守る効果があります。

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ペット用の虫除けスプレーも販売されています。

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できるだけ草むらを避けて歩こう

人間も犬も、キャンプや公園に行った時は、できるだけ草むらを避けて歩くようにしましょう。

特に好奇心旺盛の犬は草むらに入りたがる傾向にあるので、リードをしっかり持ってあまり草むらの方に行かないようにしましょう。

ペットのマダニ対策、基本は定期的な駆除薬投与

人間のように毎日シャワーを浴びられず、草むらの高さに近いペットは、定期的に駆除薬を投与してマダニ感染症を防ぐ必要があります。ノミ・マダニ駆除薬には、口から投与する「経口薬」と、背中に垂らす「スポットタイプ」があります。

経口薬

経口薬のメリットは、おやつタイプで簡単に投与でき、シャンプーも普通にできることです。

一方、薬の成分は犬の血液の中にあるため、マダニが付着・吸血するのを予防できません。病原体に感染しなくても、マダニに血を吸われることで貧血を起こしたりする可能性はあります。

スポットタイプ

スポットタイプは背中に垂らして投与するので、こちらも投与は簡単です。

投与したところがベタベタしたり、シャンプーに制限があるなどのデメリットもありますが、マダニが血を吸う前に弱って死んでしまうという大きなメリットがあります。

野生動物にはなるべく近寄らない

野生動物は薬を摂取することができない上に、多くが山や森で生活しているため、マダニに寄生されている可能性が高くなります。

マダニ以外にもさまざまな病原体を持っている可能性が高いので、野生の動物、野良犬や野良猫にはなるべく近づかないようにしましょう。

実際、マダニに寄生されて弱った野良猫に噛まれた50代の女性が、数日後にSFTSを発症して死亡した例も報告されています。

まとめ

マダニが媒介するウイルスは恐ろしい

今回は、マダニによる人間やペットの病気のリスクをお伝えしました。

特に、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の感染者数の増加が目立っていて、致死率も比較的高いため、人間やペットのマダニ対策の必要性が改めて見直されています。

編集部のメンバーが飼っている犬もマダニに咬まれたことがあります。幸い、何事もなく済みましたが、室内で飼っているため、毎日の散歩中についた可能性が高いということです。最初はゴミが付いているのかな?と思ったそうですが、数日後に見てみると明らかに異常な大きさにまで膨れ上がっていました。

皆さんが思っているよりも身近にあるマダニの脅威。マダニを侮らず、皆さんもマダニ対策を徹底しましょう。

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