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コラム

【獣医師監修】セカンドオピニオンや転院の際に準備するものと注意点

相澤 啓介 獣医師

引っ越しなどの事情によりかかりつけの動物病院を変更したり、病気に関して専門性の高い動物病院を受診したりなど、実際に経験した方もいるのではないでしょうか。

ヒトの医療では浸透してきているセカンドオピニオンですが、獣医療の世界ではどうなのでしょうか。

今回は犬や猫における転院やセカンドオピニオンについて解説していきます。

セカンドオピニオンと転院


なんとなく聞いたことがある「セカンドオピニオン」「転院」という言葉。これらは明確に意味が異なることをご存知ですか?意味を履き違えてしまうと混乱する原因にもなりますので、違いをしっかり理解しましょう。

セカンドオピニオンって何?

セカンドオピニオンは直訳すると「第2の意見」という意味があり、現在治療中の病気の進行状況や治療の選択肢を別の動物病院の獣医師から求めることを指します。

他の獣医師から、現在の治療法は適切か、また他の方法はあるかなどを聞くことによって、より納得して治療を受けることが出来ます。

転院って何?

一方で転院は、主治医を変えることです。
引っ越し、より近所に動物病院が出来たなど理由は様々あると思いますが、今まで診てもらってきた主治医を変更するのは、非常に覚悟がいることでしょう。

しかし、通院時間、治療方針、経済面など全てを考慮した上で最も良い動物病院を判断することは、ペットのためにも重要です。

セカンドオピニオンや転院は悪いことではない


中には、セカンドオピニオンをしてしまうと、いつもお世話になっている動物病院や獣医師との関係が悪くなると考える方もいるかもしれません。
しかし、セカンドオピニオンは、主治医との決別宣言ではありません

医療は非常に専門的な分野であり、新しい治療薬の開発や、病態の解明など、日々進歩しています。
ヒトの医療とは違って獣医療は診療科が分かれていないことがほとんどで、別の動物病院で意見を求めることは非常に意味のあることだと思います。

治療を受ける子の性格などを考慮し、最善を尽くしてあげてください。

病院のホームページで専門性を確認

近年では獣医療でも、ヒト医療と同様に専門医が求められつつあります。

例えば獣医がん学会では腫瘍科の、獣医循環器学会では循環器科の認定医制度を設けており、動物病院のホームページのスタッフ紹介のページでは、獣医師が所属している学会や専門医認定を受けている診療科などが記載されていることがあります。

ホームページをチェックすることで、その動物病院に勤務している獣医師の得意分野が分かり、セカンドオピニオンを受ける際の参考になるでしょう。

セカンドオピニオンや転院の際に準備する3つのもの


では実際に転院やセカンドオピニオンを実行する時、何が必要なのでしょうか。

ヒトの場合では主治医による紹介状が必要ですが、獣医療でも同様です。もちろん、紹介状がないと転院やセカンドオピニオンを受けられないわけではありません。

しかし、紹介状や、事前にかかりつけの獣医師から転院先に話が伝わっていれば、その後の話がスムーズに進みます。

1.カルテのコピー

動物病院でカルテのコピーをもらいましょう。今までの経過や治療の詳細が記載されているため、セカンドオピニオンを受ける上ではとても重要な情報です。

なお、獣医療法という法律で、動物病院には診療簿(カルテ)の保管が義務付けられているため、原本の持ち出しは基本的に出来ません。

この際、個人情報保護法の観点から、カルテはペットの飼い主へ直接お渡しします。通院歴が長く、カルテが厚くなっている場合には、動物病院側で情報を取捨選択することもあります。

2.画像検査のデータ

レントゲンなどの画像検査のデータももらいましょう。

こちらも(今は少ないですが)、レントゲンのフィルムを手渡すことは出来ませんので、データをCDなどに焼いて手渡す形になるかと思います。

カルテも画像データも、持ち出しに関してはかかりつけの獣医師としっかりと相談するようにお願い致します。

3.血液検査結果などの情報

血液検査など、検査後にもらえる結果も持参しましょう。

特に慢性疾患の既往歴がある場合や、セカンドオピニオンで意見を求める場合には、比較出来るデータがないことには何とも言えません。また、同じ検査を行うことでペットに不要な負担を強いることにもなりかねません。

セカンドオピニオンや転院の際に注意すること

聞きたいことをまとめておく

せっかく別の獣医師に診てもらっても、何も聞かないのであれば意味はありません。

紹介状がある場合には、そこに現在の症状や診断、治療などを記載しておきますが、やはり飼い主としてもペットの状態を把握しておき、聞きたいことをまとめておきましょう

事前にかかりつけの獣医師としっかりと話し、現在の状態を理解した上でセカンドオピニオンや転院を行うことが大切です。

手元にあるものも貴重な情報

動物病院によっては、カルテのコピーをもらえない場合があります。
基本的には快く受け付けてもらえるはずですが、どうしても厳しい場合は、投薬の情報や検査結果など、手元にあるもので準備しましょう。

情報不足がペットへの負担を招く

動物病院から情報がもらえない以外にも、様々な事情により、元の病院には告げずに転院することもあるかもしれません。

しかし、カルテや検査結果の情報がないと、重複した検査が必要になるため、お金がかかるだけでなく、病気でつらい思いをしているペットにも負担がかかります。また、検査に時間がかかり、治療の初動が遅れるケースもあります。

もしもの時のために、検査結果や投薬情報はまとめて保管しておきましょう。

まとめ


どうしても日本人の性格として、主治医に遠慮してしまい、獣医療に対して意見を求めることに消極的であるように感じます。しかし、飼い主として一番に考えるべきは、「動物の健康」です。

獣医療は、動物病院スタッフ、動物、そして飼い主の三者で作り上げていくものです。飼い主にとって最も納得のいく医療が、動物にとっても最も良いものであるのではないでしょうか。

現在の治療に少しでも疑問に感じていることがあったら、遠慮なく主治医に相談し、セカンドオピニオンや転院の選択肢も考えてみてください。

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