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【獣医師監修】犬の口臭の原因は?考えられる6つの病気と対処法

相澤 啓介
相澤 啓介 獣医師

犬の飼い主のみなさんは、ふとした時に「なんだか愛犬の口が臭うな…」と感じたことがあるかもしれません。

犬も生きているので、ある程度ニオイがあるのは仕方ありません。しかし、ヒトの鼻で「クサイ」と感じるのは明らかな異常と言えます。

「たかが口臭」と侮ってしまいがちですが、本当にそれで大丈夫なのでしょうか。本記事では、犬の口臭について獣医師が詳しく解説していきます。

犬の口臭の原因

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口臭の原因で最も一般的なものは、口腔内細菌の産生する揮発性ガスです。
このガスは、口腔内の細胞、唾液、歯垢中のアミノ酸や蛋白質が分解されることで発生します。

正常な口腔内では細菌の数も一定に保たれており、その細菌の産生するガスもそれほど問題にはなりません。しかし、口内炎や歯周病などによって口腔内細菌が異常増殖すると、産生されるガスも増加し、口臭となって現れます

口腔内疾患だけではない

口の中は問題なさそうなのに、口が臭うということもあります。実は、口臭の原因は口腔内疾患だけではなく、口へ繋がる胃腸や、肝臓、腎臓といった他臓器の病気でも認められることがあります

また、フードの劣化によっても口のニオイが気になることがあります。最近では、大きな袋の中でフードが小分けになっているものもあります。開封した後はできるだけ早く食べきるようにしましょう。

口臭によって考えられる疾患

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では、犬の口臭が認められた場合、具体的にはどのような疾患が考えられるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

歯周病

歯周病は犬における最も一般的な疾患で、3歳以上の犬の80%に見られると言われています。犬はヒトよりも歯垢が歯石に変化するスピードが速く、歯石の隙間で細菌が異常繁殖することが歯周病の原因となります。

また、細菌によって歯肉に炎症が起こり、唇をめくってみると歯茎と歯の境目が赤く見えます。さらに、歯周病が進行すると、鼻汁やくしゃみといった別の問題が引き起こされます。

歯周病の予防には定期的な歯磨きが有効ですので、なるべく早い時期から実践してみるといいでしょう。

獣医師が教える子犬のしつけ②〜デンタルケアで口から健康づくり

口腔内腫瘍

口の中に腫瘍がある場合も、炎症によって口腔内細菌のバランスが崩れることがあります。
特に、悪性腫瘍(扁平上皮癌や悪性黒色腫など)の場合は、歯肉組織の他に骨組織も破壊するため、口臭が顕著になる傾向にあります。

腫瘍の場合、口臭のみが症状として現れることは稀で、他にも食欲低下や口の痛みが見られることが多いです

胃腸炎

胃酸の逆流により、酸っぱいニオイがすることがあります。
嘔吐の後も酸っぱいニオイになるので、吐物が確認できなくても吐いたかどうかの目安になります。

腎疾患

腎機能の低下によって、尿として体外に排泄されるはずの毒素が体内に蓄積することで、口から独特のニオイがするようになります。
しかし、腎疾患の場合、口臭の前に多尿や多飲といった症状が現れることがほとんどですので、口臭が認められた場合はかなり病状が進行している証拠です。

肝疾患

肝臓には、タンパク質の摂取によって生じたアンモニアを解毒する働きがあります。肝機能の低下によって解毒作用が落ちると、体内を毒素が循環し、口臭が認められます。

肝疾患もまた腎疾患と同様に、口臭が認められたらかなり病状が進行していると考えられます。

これらの疾患では、口臭の前に食欲の変化などが見られることがほとんどですので、見逃さないようにしましょう。また、定期的に健康診断を受けることで病気の早期発見に繋がります。

腸閉塞

異物や腫瘍、腸捻転などによって腸の閉塞が起こると、本来大腸を通過して肛門から排泄されるはずの便が溜まり、口から便臭がすることがあります。

多くの場合、その前に嘔吐や食欲廃絶が見られますが、腸閉塞と診断された時は緊急手術が必要です

犬の口臭は早めの対処を

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日常生活において、特に他の症状を伴わずに口臭があらわれた場合は、ほとんどが歯周病です。ではそんな時、飼い主さんはどのようなことに注意すれば良いのでしょうか。

すぐに動物病院へ

内臓疾患でも消化器疾患でも、早期に治療を行うことが最も重要です。診断や治療が遅れて良いことは何もありません。

また、歯周病も放置すると、下顎骨骨折や心内膜炎などを併発する恐れがあるため、侮ってはいけません。口臭に気付いた時は、なるべく早めにかかりつけの獣医師さんに相談してみましょう。

デンタルケアで日頃から予防を

歯周病は、定期的なデンタルケアによって予防できます。
歯石の除去には全身麻酔が必要であることからも、普段からのデンタルケアはとても重要です。

歯磨きは、できるだけ子犬のうちに慣れさせましょう。成犬の場合は慣れるまでに時間がかかりますが、少しずつ段階を踏んで練習していきましょう。

定期的な健康診断で病気の早期発見を

また、健康診断を定期的に受けることで、内臓疾患の早期発見が可能です。

シニアと言われる7歳を超えたら、半年に1回は健康診断を受けるようにしましょう。

まとめ

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見逃してしまいがちな愛犬の口臭ですが、決して甘く見てはいけません。口臭に気づいたら、早めに獣医師さんに相談しましょう。口臭を伴う病気の予防・早期発見には、日頃のデンタルケアや定期的な健康診断も有効です。

日常生活で愛犬と触れ合う中で、五感を使って小さな変化にも気付いてあげられるといいですね。

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