飼い犬が延々と自分のしっぽを追いかけ回している、長いことずっと伏せている、ときどき何もない空中をにらんで何かを追いかけるようなしぐさをする、なんてことはありませんか?
飼い主が「まあそんなこともあるか」と見落としがちなしぐさ、実は飼い犬がストレスを抱えているサインなのかもしれません。
今回の記事では、犬がストレスを抱えたときに見せるしぐさや、ストレスの原因、そしてその解消方法を紹介していきます。
この記事の目次
犬がストレスを感じたときの変化
犬がストレスを感じている時、さまざまな行動の変化が見られます。必ずしもこの行動が出るからといって、全ての原因がストレスだと決めつけることはできません。しかし、重要なシグナルであることは間違いありませんので、いつもと違う行動が多く見られる場合の参考にしてください。
行動の変化
犬が緊張しているとき、ストレスを感じているとき、不安がっているときのサインには、以下のようなものがあります。
- 眠くなさそうなのにあくびをしている
- 鼻や口をなめる頻度が極端に多い
- 指示していないのにずっと座っていたり伏せていたりする
- 頻繁に頭を振る
- からだの一部をなめ続けている
- 自分のしっぽを延々と追いかけ回す
- 同じ場所を行ったり来たりする
- ずっと吠えつづける
- 前脚を宙に浮かせている
- 留守番中に破壊行動をする
- 何もない空中にかみつくしぐさをする
これらの行動は、犬がストレスを感じていることが原因の可能性があります。
人見知りの犬が来客に怯えているときや、他の犬や動物に威嚇されているときなど、一時的で原因がはっきりしているときであれば、過度に心配する必要はないでしょう。
しかし、平常時にこのような行動がよく見られるのであれば、犬が何かが原因でストレスを抱えている可能性があります。以下の記事では犬のボディーランゲージについて詳しく紹介しています。どうぞあわせてご覧ください。
脱毛が見られる
大きなストレスを抱えた人間が円形脱毛症になることがあるのと同じように、犬もストレスによって毛が抜け落ちることがあります。
季節の変わり目の換毛期であれば、全身の毛が均等に抜け落ちてすぐに生え変わるのですが、ストレスによる脱毛であれば一部分にだけ脱毛が見られたり、まだら模様の脱毛が見られたりとその症状も程度もさまざまです。
この症状は心因性脱毛と呼ばれます。ただ、脱毛の原因はさまざまで、病気が原因で毛が抜け落ちていることも十分に考えられるため、すぐにストレスのせいだとは判断せず、一度かかりつけの病院に相談してみましょう。
食欲不振・下痢・嘔吐
犬が重度のストレスを抱えると、食事の量が極端に減ったり、食器のプレートに見向きもしないようになってしまうことがあります。
また、さらにストレスの度合いが重くなれば、下痢や嘔吐が見られることもあります。早めに気づいて、ストレスの原因を取り除いてあげましょう。
ストレスの原因と解消方法
犬がストレスを感じている場合、その原因をなるべく早く取り除いてあげる必要があります。しかし、原因となることは1つとは限らず、多角的な視点から捉える必要があります。実際にストレスが原因と思われる場合は、獣医師やドッグトレーナーなどの専門家に相談してみると良いでしょう。ここでは、その一例をご紹介します。
家族との関係
家族でケンカして、犬を板挟みの状態にしてしまったりすると、犬は心理的なストレスを感じてしまいます。家族どうしでケンカすることがあっても、決して犬まで巻き込んでしまうことのないようにしましょう。
また、家族が増えたり、減ったりすることも犬にとっては大きなストレスになりえます。
飼い主に子供ができたり、同棲する人ができたり、新しくペットを迎え入れたりすることで、周りの環境が大きく変化したり、その犬との付き合い方が急に変わるような場合は、犬にとって大きなストレスとなってしまう可能性があります。家族が別居してしまったときも同じことが言えます。
引っ越し
引っ越しは猫や人間にとって大きなストレスになりがちですが、犬も同じようにストレスを抱えてしまうことがあります。
自分の匂いのするものやいつも身を落ち着けていたスペースが突然消え、見るもの嗅ぐもの全てが変わってしまうからです。
新しい環境に慣れるまでに時間がかかり、その間は不安を抱え続けてしまいます。そのため、すべての家具やおもちゃを買い換えたりはせずに、お気に入りのおもちゃや毛布などは持って行ってあげるようにしましょう。
散歩
犬は健康維持のために散歩を必要とします。毎日、毎朝、毎晩のように散歩に連れ出してあげる飼い主さんもいることでしょう。
ですが、散歩のしすぎも犬にとってストレスになる可能性があります。人見知りで、飼い主以外の人間や動物に会うのを怖がる犬の場合、外に出ることが苦になっていることがあります。
外に出ると、車やバイク、工事現場の音、電車の音など、家の中では触れることのなかったものに出会います。この時、社会化されておらず、人間の生活環境に慣れないまま成犬になってしまっていると、ここに大きなストレスを感じてしまうことがあります。社会化については、下記の記事でも取り上げていますので、参考にしてみてください。
飼育環境
夏に室内が暑すぎたり、冬に寒すぎたりすることは犬の心身にとって大きな負担になりえます。それだけではなく、夏は熱中症の危険もありますし、脱水の危険もあり、生命の危険も。
寒冷地を出自とする犬や、熱帯地域が原産地の犬は特に室温に注意してあげるようにしましょう。犬種によって特徴が大きく異なるため、愛犬の特徴を良く知っておくと良いでしょう。
また、ベッドスペースやトイレは綺麗にしておき、余計な芳香剤は置かないなど、犬の反応を見ながら改善を重ねてください。時間をかけて徐々に慣らしていくこともできるので、「どうしてもこうしたい!」というものがあれば、ドッグトレーナーに相談して、一緒に生活を改善していくことも選択肢として考えても良いと思います。
最後に
犬は比較的にストレスを抱えにくい動物だと思われがちですが、そんなことはありません。どの種類の動物にも言えるように、やはり個体差があります。ストレスに強い犬もいれば、そうではない犬もいます。同じ犬種であっても性格も全然違ってきます。
神経質な子だったり、人見知りの子だったりするときは、環境や日々の行動に細かく気を配ってあげることが必要です。特に、臆病な子は、自信を付けられるように、そのままにしておくのではなく、克服できるように少しずつトレーニングしていくことも必要です。
飼い犬が何を嫌っていて、何を不安に思うのかということをよく把握しておき、日頃から目立った行動の変化や体調不良などがないかを観察するようにしましょう。