新型コロナウイルスの影響で、手指や家の中のものに、アルコール消毒をする機会が増えたご家庭も多いのではないでしょうか。
除菌効果のあるアルコールはとても頼りになりますが、ペットを飼っている方は注意が必要です。
犬や猫は、少量のアルコールを舐めただけで、中毒症状を起こすことがあるからです。
今回は、犬や猫などがアルコール中毒を起こした際の症状や、ペットがアルコールを摂取してしまうおそれのある場面とその対策をご紹介します。
この記事の目次
ペットはアルコールを分解できない?
私たち人間でも、アルコールに強い人、弱い人がいます。その差は、アルコールを分解する能力の違いによって生まれます。
では、犬や猫はどうでしょう?
実は、犬や猫はアルコールを分解する酵素を持っていません。
そのため、犬や猫などのペットがアルコールを摂取すると、中毒症状を起こし、最悪の場合、死に至ることもあります。
においを嗅いだだけで中毒に!?
口から摂取するだけでなく、犬や猫が鼻を近づけてアルコールのにおいを嗅いだだけで中毒症状があらわれることがあります。
そのため、飼い主さんが手指消毒をした直後や、お酒をたくさん飲んだ直後にペットと触れ合ってしまうと、くしゃみなどの症状が出ることがあるのです。
犬・猫のアルコール中毒の症状
アルコール中毒は、アルコールを摂取してから1時間以内にあらわれる場合が多いです。
犬や猫がアルコール中毒を起こすと、次のような症状が見られます。
- ぐったりしている
- 嘔吐
- 食欲がない
- 低体温
- 呼吸回数の減少
- 酩酊状態
- お腹が膨れる、腹痛
場面別!犬・猫がアルコールを摂取しないように
場面①お酒の席で
普段は気をつけていても、お酒の席になるとついつい気が緩んでしまうもの。
目を離した隙にペットがアルコールを舐めてしまったり、来客者が知らずにペットにアルコールを与えてしまったりすることもあるかもしれません。
また、お酒をたくさん飲んだ直後にペットと接すると、口から出るアルコール臭に反応してペットがくしゃみを連発することがあります。
くれぐれもペットが酒類を口にしないように注意し、飲み過ぎた直後はペットとの接触をなるべく控えましょう。
場面②パン生地を発酵させるとき
パンやピザをおうちで作るとき、イースト菌で生地を発酵させますよね。
実はこの発酵の過程で、アルコールも同時に発生します。
そのため、加熱をする前に発酵生地を食べてしまうと、体内にアルコールが取り込まれてしまうのです。ペットが食べてしまわないように注意しましょう。
場面③アルコールで手を消毒をするとき
新型コロナの影響で、アルコール消毒をする機会が増えた方も多いでしょう。
アルコール消毒をした直後はペットに触れず、なるべく30秒ほど置いてから触れるようにしましょう。
また、ペットは自分の体を舐める癖があるので、散歩帰りにペットにアルコール消毒をするのは禁物です。
もし、除菌をしたいのなら、ペット用の除菌グッズを使用しましょう。
場面④ペットのトイレなどを掃除するとき
ペットのトイレやケージなどを掃除するとき、アルコール除菌スプレーなどを使用していませんか?
アルコール消毒をしたところをペットが舐めてしまうと危険なので、こちらもペット専用の除菌スプレーを使うようにしましょう。
ペットがアルコールを摂取してしまったら
もしペットがアルコールを摂取してしまったら、速やかに動物病院を受診しましょう。
また、アルコールのにおいを嗅いだだけで中毒になることは稀ですが、それでもぐったりするなどの中毒症状が見られた場合は油断せず、必ず動物病院に連れて行きましょう。
その際、「いつ、何を、どのくらい摂取したか」をしっかり把握しておくと、治療がスムーズに進みます。
ペットのアルコール中毒の治療法
ペットがアルコールで中毒症状を起こした場合、獣医師の判断で催吐処置をすることがあります。
しかし、状況によっては催吐処置は逆に危険なこともあります。ですから、飼い主さんの独断で催吐処置を行うのは絶対にやめましょう。
その他、輸液療法や血液透析などの処置方法があり、場合によっては入院が必要なこともあります。
夜間・休日診療所を把握しておこう
特にお酒の席でのペットのアルコール摂取事故は、休日や夜間に起こる場合が多いでしょう。
飼い主のみなさんは、休日や夜間にすぐに受診できる動物病院はをきちんと把握できていますか?
夜間・休日診療をしている近場の動物病院を把握しておくことは、他の急病やケガの際にも役に立ちます。
万が一の時に備えて必ず確認しておくようにし、できれば電話番号や住所などを書いて電話の近くに置いておくと良いでしょう。
まとめ
今回は、ペットのアルコール中毒の症状や対策についてご紹介しました。
特に、新型コロナの影響でアルコール消毒をする機会が増えたご家庭も多いかと思いますが、くれぐれもペットの体にアルコールがついたり、ペットが舐めてしまったりしないように、細心の注意を払いましょう。