皆さんは猫の「サイレントニャー」をご存じでしょうか。猫を飼っている方なら見たことがあるかもしれませんが、鳴いているように口を開くのに鳴き声が聞こえないことをサイレントニャーといいます。
今回は、猫の鳴き声が聞こえない理由とサイレントニャーの意味についてご紹介します。
この記事の目次
猫のサイレントニャーとは?
サイレントニャーとは、猫が口を開けて鳴いているように見えるのに、声が全く聞こえない鳴き方です。
どんなものなのか、動画を見ていただければすぐにわかるでしょう。
品種や年齢、性別などにかかわらず、さまざまな猫がサイレントニャーをしますが、中には全くしない猫もいるため、もしかしたら猫を飼っていても見たことがない飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。
鳴き声が聞こえない理由
このサイレントニャーですが、声が聞こえない理由は大きく分けて二つあると言われています。
1.非常に高い周波数で鳴いているため
人間が聞き取れる周波数の範囲は20〜20,000Hz(ヘルツ)であるのに対し、猫が聞き取れる範囲は30〜65,000Hzとされています。そのため、本当は鳴いていて猫同士には聞こえているが、人間には聞き取ることができないという可能性が考えられます。
実際に、子猫が母猫を呼ぶ時にサイレントニャーをすることがあります。このことから、猫には聞こえているという仮説には高い信憑性があるのではないでしょうか。
また、人間が聞き取れる周波数は年齢によって変化するため、子どもには猫の鳴き声が聞こえていても、大人には鳴き声が聞こえないことがあるようです。
2.そもそも鳴いていない
もしかしたら、鳴いているそぶりを見せているだけで、本当は鳴いていないのかもしれません。
例えば、飼い猫を呼んだ時に、そっけない反応を見せられたことはないでしょうか。サイレントニャーもそういった反応の一つとして、声を出すのが面倒だから出していない、という可能性もあります。
サイレントニャーの4つの意味
では、猫はどんな時にサイレントニャーをするのでしょうか。実は、猫がサイレントニャーをする裏には、とても可愛らしい理由があるのです。
1.飼い主さんに甘えたいから
サイレントニャーは、子猫が母猫を呼ぶ時や、甘える時に行われます。もし、飼い主さんに向かってサイレントニャーをしていたら、それは飼い主さんのことを母親だと思って、甘えようとしているのです。
2.簡単な挨拶として
飼い猫を呼んだ時に、その返事としてサイレントニャーをしてくれることもあります。尻尾を振ったり、顔をこちらに向けるのと同じように、口を開けることで挨拶をしてくれているのでしょう。
3.飼い主さんの反応を学習したから
もしかしたら、猫がサイレントニャーをした時の飼い主さんの反応を見て、何度もするようになったのかもしれません。サイレントニャーをした時におやつをもらえたり、甘やかしてもらえたということを学習して、サイレントニャーを繰り返すようになるケースもあります。
4.心細く感じているから
飼い主さんが近くにいなくて寂しくなったり、不安を感じたりした際に、母親である飼い主さんを呼ぼうとしてサイレントニャーをすることもあります。これは、飼い主さんに対する信頼の表れとも言えるでしょう。
もしかしたら体の不調かも
猫が口を開けて鳴くそぶりを見せているにもかかわらず声が聞こえないと、サイレントニャーかなと思う方も多いでしょう。しかし、もしかしたら、本当に声が枯れてしまい、出せない状態にあるのかもしれません。
ここでは、考えられる原因についてご紹介します。
1.鳴きすぎてしまった
環境の変化や飼い主の長期にわたる留守、新しい猫のお迎えなどでストレスを感じてしまうと、鳴きすぎてしまうことがあります。その結果声が枯れてしまい、聞こえなくなってしまうことも考えられます。
2.鳴き慣れていない
子猫の場合、そもそも上手な鳴き方を知らず、声がかすれてしまうこともあります。試行錯誤している段階ですので、そこまで神経質にならず、様子を見てみましょう。
3.手術をした直後である
去勢手術や避妊手術など、全身麻酔を伴う手術を受けた場合、全身麻酔では喉に「気管チューブ」と呼ばれる管を挿入するため、その刺激により喉が炎症を起こし、声が出なくなったり、かすれたりすることがあります。
4.病気の可能性もある
もし、声が聞こえないだけでなく、呼吸がしにくそうであったり、咳やよだれが出ている場合は病気かもしれません。
考えられる病気としては、以下のようなものが挙げられます。
- 喉頭炎
- 気管虚脱
- 猫伝染性鼻気管炎
声のかすれ以外の症状も見られたら、早急に動物病院を受診しましょう。
まとめ
今回は、猫のサイレントニャーについてご紹介しました。鳴いているふりだと思っていて、実際に鳴いているとは知らなかった飼い主さんも多いのではないでしょうか。
サイレントニャーは、飼い主さんに対する親愛の証でもあります。信頼している人にしかしない鳴き方ですので、たくさん可愛がってあげましょう。
しかし、サイレントニャーだと思っていたら、実はストレスや病気だったというケースもあります。甘えてサイレントニャーをしているだけなのか、それとも声が出なくなってしまったのか、見極めが重要です。
猫の鳴き声から気持ちを汲み取り、もし体調に不安があるようなら動物病院を受診してくださいね。