メジロやウグイスなどの野鳥を見て、「きれいだな」「飼ってみたいな」と思うかもしれません。
しかし、残念ながら野鳥を飼育するのは法律で禁止されています。
野鳥の成長を近くで見守ってみたい方は、庭に鳥の巣箱を設置してみてはいかがでしょうか?
今回の記事では、鳥の巣箱の設置のポイントや、本来の自然の姿を壊さないために気をつけるべき餌付けの注意点などを解説します。
この記事の目次
野鳥は原則飼育禁止
現在の「鳥獣保護管理法」では、野鳥をペットとして飼育することを原則禁止としています。
「実家では昔野鳥を飼っていたけど…?」と思った方もいるかもしれません。
実は、野鳥の飼育に関する法律は、ここ数十年で何度か改定されているのです。
1950年 7種類の野鳥(メジロ、ウグイス、ホオジロ、ヤマガラ、ヒバリ、ウソ、マヒワ)のみ飼育可能に
2007年 飼育可能な野鳥はメジロのみ、1世帯1羽に限定された
2012年 野鳥の飼育が原則すべて禁止となった
※ただし、禁止になる前から飼われていたメジロに関しては飼育を続けて良いことになっています。
庭に鳥の巣箱を設置しよう
野鳥をペットとして飼育するのは違法ですが、庭に巣箱を設置して鳥を呼び込むことは違法ではありません。
特に都会では、野鳥が巣作りをできるような古くて太い木が少ないため、野鳥の繁殖を手助けするためにも鳥の巣箱の設置が推奨されている地域もあります。
鳥の巣箱の大きさの目安
呼び込む野鳥の種類によって、巣箱の大きさの目安が異なります。
特に穴の大きさは、鳥によっては1mmでも違うと入ってくれないことがあるので注意が必要です。
鳥の種類 | 穴の直径 | 高さ | 幅・奥行き | 設置する高さ |
---|---|---|---|---|
シジュウカラ | 2.8cm | 20~24cm | 15cm | 1.5~2.5m |
ヤマガラ | 2.8cm | 20~24cm | 15cm | 2.5m |
スズメ | 3.0cm | 24~28cm | 18cm | 3m |
ムクドリ | 5.5cm | 24~28cm | 18cm | 3m |
DIY?市販?
DIYが得意な方は、自分で鳥の巣箱を作ってみると楽しいかもしれません。
ただし、匂いに敏感な鳥も多いため、塗料や防腐剤などは極力塗らないほうが良いでしょう。
DIYが苦手な方は市販のものでも問題ありませんが、巣箱のサイズにはくれぐれも注意してください。
ノコギリなどを使わず簡単にできる、「巣箱の制作キット」なども売られているので、興味のある方はチェックしてみてくださいね。
野鳥に餌付けをする際の注意点
餌付けの時期は冬限定
1年中たっぷりと餌付けをしてしまうと、野鳥がそこに住み着いてしまいます。
本来の自然の姿を壊さないためにも、餌付けをする時期は12〜4月頃に限定しましょう。
食べ物が少なくなるこの時期にだけ野鳥の食事の手伝いをしてあげて、春になったら餌付けをやめます。
どんな餌をあげれば良い?
多くの野鳥は、柿やみかん、りんご、イチヂクなどの甘い果物を好みます。
鳥たちが食べやすいように、これらの果物を半分に切っておくと良いでしょう。
また、落花生などのナッツ類も好んで食べます。
落花生は殻付きのものを選び、殻の両端に穴を開けておくと食べやすいです。
庭に実のなる木を植えてみよう
餌台に餌を置いておくのも良いですが、実のなる木を庭に植えておくと、野鳥がより自然に餌を探すことができます。
どんな木を植える?
柿やイチヂクなどの果物の木の他にも、ヤマボウシ、ハナミズキ、ヤマモモ、クコ、サクラなどの木があります。
お住いの地域の公園やご近所のお庭にどのような木が植えられているのかを確認し、地域の植生に合った木を選ぶと良いでしょう。
高木が難しい場合は、ラズベリーやブルーベリー、ミニトマトなども野鳥の餌になります。
「赤い実」のなる木が特におすすめ
鳥は赤色をよく認識するので、赤い実のなる木を植えると見つけてもらいやすいでしょう。
そもそも植物が赤い実をつけるのは、鳥に実を食べてもらって、遠くで糞と一緒に種子を排泄してもらうことを目的としています。
ベランダにも鳥はやってくる?
猫やヘビなどの外敵が来ないベランダは、実は野鳥にとって安心安全な住みかになります。
ベランダに大きな木は植えられませんが、鉢に小さめの木を植えたり、鳥の巣箱を設置してみましょう。
ただし、マンションの高層階には小さな野鳥は来られません。
鳥の巣箱を設置するデメリット
病原菌を持ってくることがある
オウム病やニューカッスル病、トキソプラズマ症などの感染症を、野鳥が運んで来る恐れがあります。
排泄物の掃除や巣箱を撤去の際には、糞や羽毛を吸い込まないように注意が必要です。
また、鳥インフルエンザが流行している地域では、巣箱の設置は控えましょう。人間に感染することはありませんが、鳥同士が密集して感染を拡大させる恐れがあります。
糞をする
庭やベランダに糞をされることは覚悟しておかなければなりません。マンションやアパートの場合は、近隣の人に迷惑をかけてしまう可能性もあります。できるだけ、洗濯物を干すスペースには巣箱を置かない方が良いでしょう。
なお、鳥の糞には植物の種子が混じっていることがあるので、そこから庭に自生種が発芽する可能性があります。
そのようにして、鳥とのつながりを楽しむのも面白いかもしれませんね。
鳴き声がうるさい
特に繁殖期となる早春は、激しく鳴くことがあります。
ご自身が気にならなくても、ご近所から苦情が入る恐れがあるので注意しましょう。
まとめ
犬や猫のように、ペットとして野鳥を飼うことはできません。
しかし、鳥の巣箱や餌台を設置することで、野鳥の生息を手助けしてあげることは可能です。
注意点やデメリットを理解し、自然を壊さないようにマナーをしっかり守った上で、庭に野鳥を呼び込んでみてくださいね。