【獣医師監修】太り過ぎに注意!アメリカンショートヘアの好発疾患

2024.04.23
【獣医師監修】太り過ぎに注意!アメリカンショートヘアの好発疾患

アメリカンショートヘアは、昔から日本で人気の猫種です。

猫を飼ったことがなくても、アメリカンショートヘアの名前くらいは知っているという人も多いでしょう。それだけメジャーで、日本でも飼育頭数が多い猫です。

では、猫の品種によって気をつけなければならない病気や、飼育環境はあるのでしょうか。今回はアメリカンショートヘアの好発疾患と飼育環境についてまとめました。

この記事の目次

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アメリカンショートヘアの歴史

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アメリカンショートヘアの祖先はイギリスのブリテッシュショートヘアで、1620年に移民を乗せたメイフラワー号のネズミ退治猫としてアメリカにやってきました。

もともと使役猫として飼われていたことから、愛玩目的の純血種である必要がなく、異なる種の猫との交配が行われました。そのため、比較的丈夫な体になったとされています。

その後、アメリカの愛好家たちの手により品種が固定され、「アメリカンショートヘア」という純血種として現代にまで受け継がれてきました。

アメリカンショートヘアの好発疾患7つ

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純血種というのは、近い血を交配し続けることで守られています。それ故に遺伝的に発生しやすい疾患があり、体が丈夫とされるアメリカンショートヘアも例外ではありません。

それでは、アメリカンショートヘアの好発疾患について詳しく見ていきましょう。

肥大型心筋症

【症状】
・呼吸速拍
・胸水
・腹水
・嘔吐
・食欲不振

【原因】
心臓の筋肉(心筋)が大きくなり、心臓の拡張能が低下することによる。アメリカンショートヘアでは遺伝性の肥大型心筋症が報告されている。

【備考】
診断には超音波検査が必要。また動脈血栓塞栓症が続発することが多く、注意が必要。

動脈血栓塞栓症

【症状】
・突然の後肢麻痺
・後肢の冷感
・大声で鳴く

【原因】
心臓などで形成された血栓が、動脈の細い部分(特に大腿動脈)に詰まる。

【備考】
肥大型心筋症では血栓が形成されやすい。治療には血栓を溶かす薬剤を用いるが、長く閉塞した血栓がなくなると、末端の壊死した組織や細胞が全身を巡る「腫瘍溶解症候群」が起こり、時に命に関わる。

糖尿病

【症状】
・多飲多尿
・脱水
・易感染性
・嘔吐
・下痢
・昏睡
・低体温

【原因】
インスリンの分泌不足や、インスリンの作用不足。猫の場合、インスリンは分泌されていることが多く、ヒトのⅡ型糖尿病と類似する。

【備考】
雄は雌の1.5倍発生が多く、肥満はインスリンの効きを悪くする。他の危険因子としては加齢、膵炎、腫瘍、感染症も挙げられる。

多発性嚢胞腎

【症状】
・多飲多尿
・尿が薄くなる
・食欲不振
・嘔吐
・口内炎や消化管潰瘍などの尿毒症症状
・貧血

【原因】
多くは遺伝性で、両親に発病がないか確認する必要がある。

【備考】
治療法や予防法がないため、早く発見してできるだけ症状を緩和していく。

肝リピドーシス

【症状】
・急激な体重減少
・食欲不振
・嘔吐
・下痢
・便秘
・黄疸

【原因】
肥満の猫が、2週間以上の食欲不振などで栄養が偏ると肝臓に過剰な脂肪が蓄積する。

【備考】
肥満の予防が重要であるが、他の病気による食欲不振も引き金になり得る。

尿石症

【症状】
・血尿
・頻尿
・トイレに行くが排尿しない
・腹痛

【原因】
腎臓や膀胱などの泌尿器に結石が形成されることによる。

【備考】
結石は普段の食事や、体質によって形成されやすいものがある。また雄の場合は、尿道に結石が閉塞することも多く、緊急手術が行われる。

関節炎

【症状】
・動きたがらない
・患部を舐める
・関節の腫れ
・痛み

【原因】
慢性的な関節への負担、肥満などにより関節軟骨が擦り減ると、骨の変形が引き起こされる。

【備考】
肥満の予防が重要。

アメリカンショートヘアを飼うなら注意したい4つのこと


「猫は犬と違って散歩も必要ないし、手間がかからない」と思っていませんか?しかし、人間と一緒に生活をする以上、愛猫の健康を守るためにはやはり気をつけなければならない生活習慣があります。

アメリカンショートヘアの好発疾患を理解し、どんなことに注意すべきかを確認しましょう。

①太りにくい食事管理

糖尿病や関節炎、あるいは膀胱にできた結石が尿道に閉塞しないためにも、肥満を防止することが重要です。そのためには、栄養バランスの整った太りにくい食習慣を作りましょう。

特に避妊や去勢をした子は太りやすい傾向にありますので、ライフステージにあった食事を用意してあげてください。

②しっかりした運動

食事管理と同様に、肥満の予防のためには適度な運動も必要です。

もともと、日常的にたくさんの運動を必要とする猫種ではありませんが、キャットタワーを設置するなどの工夫は必要でしょう。時間がある時はおもちゃで遊んであげるのも良いですね。

③尿のチェック

アメリカンショートヘアの好発疾患には、腎臓疾患や糖尿病など尿に異常が現れるものが多くあります。
日々の生活の中で、尿量がいつもより増えていないか、あるいは減っていないかを確認しましょう。また、尿の色が薄い、赤いなどの見た目の異常もあるかもしれません。

トイレをただ片付けるのではなく、排泄物を確認する習慣をつけましょう。

④飲水量の把握

尿の量は、飲水量と密接に関係しています。

留守の間は置き水をすることになりますが、一日で愛猫がどのくらい水を飲んだかを把握しておくことはとても大切です。
目盛りのある容器を用意すると、飲んだ量が分かりやすいのでおすすめです。

また、夏場などは特に、飲み水を切らさないように注意してください。
常に新鮮な水を飲めるような環境を整え、しっかり飲んでしっかり排泄をしてもらうことで、腎臓への負担を軽減します。

まとめ

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アメリカンショートヘアは、猫の純血種の中では特に病気が多いというわけではありません。しかし、やはり生き物ですので、どうしても体調を崩すことはあるでしょう。

病気にさせない環境を整えると同時に、病気を早く見つけられるよう、排泄物のチェックや飲水量の確認を習慣づけることが大切です。

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