外でトイレをする犬を飼っている方は、犬の糞尿の後始末をしっかりとしていますか?
犬の糞尿を処理することは飼い主の義務とされており、これを放棄すると法律に違反します。
また、家の前に糞尿を放置されて困っている方は、どのような対策を取っていますか?
警察に相談してもうまくいかないこともあるので、自分で対策を取ることが重要です。
今回の記事では、犬の糞尿に関する法律や、自分でできる糞尿対策についてご紹介します。
この記事の目次
ペット人気の高まりと犬の飼育に関するトラブル
近年、日本でもペットを飼う人が増えており、特に新型コロナウイルスの流行が始まってからは、おうち時間のお供としてペットの人気がさらに高まりました。
一方、ペットを飼う人が増えると、ペットに関するご近所トラブルが増えることもあります。具体的には、どのようなことがトラブルの原因となるのでしょうか?
吠え声がうるさい
特に、早朝や夜中の時間帯に犬が吠えたり鳴いたりしてしまうと、「うるさくて眠れない」と苦情が入ることが多いです。
昼間でも、最近では在宅勤務をする人が増えているため、トラブルの原因になりやすいです。
他人に咬み付いてしまう
しつけができていないと、ほかの犬や人に咬み付いてしまうことがあります。
特に、子供に咬み付いてしまうと重症化しやすく、最悪の場合、死に至ることもあるので、飼い主は咬傷事故を絶対に起こさないようにしなければなりません。
糞尿の放置
自分の家の前に犬の糞を放置されたら、ニオイも気になりますし、嫌な気分になりますよね。
また、糞だけでなく、最近では尿をしたらキレイに洗い流すのがマナーとなってきており、知らないでそのままにしてしまうとトラブルの原因になります。
さらに、都市部や住宅地では、そもそも外でトイレをさせること自体がマナー違反だと考える人も増えているため、トイレは家の中でできるようにしつけておくと良いでしょう。
犬の糞尿に関する法律
軽犯罪法
軽犯罪法第一条二十七では、罰則対象になるものを以下のように規定しています。
公共の利益に反してみだりにごみ、鳥獣の死体その他の汚物または廃物を棄てたものを拘留または科料で処罰できる。
犬の糞は、軽犯罪法が定める「その他の汚物」とみなされるため、放置している場合、罰則が課せられるケースがあります。
廃棄物処理法
犬の糞尿は、廃棄物処理法が定義する「廃棄物」にも該当します。
廃棄物処理法第二条では、廃棄物を以下のように定義しています。
ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であって、固形状又は液状のもの
犬の「糞尿」をみだりに廃棄することは違法とされ、違反者には「5年以下の懲役または1000万円以下の罰金」が課せられる場合があります。
地方自治体による条例
自治体によっては、条例で犬の糞害に関する規定を設けているところもあります。
各自治体には、公園や道路などの公共の場の衛生環境を保つ責任がありますが、犬の糞尿の放置は環境美化の妨げになるとみなしている場合が多いです。
糞尿を放置した場合の飼い主に対する対応は自治体によって異なり、罰金などの罰則が定められているところもあれば、指導や勧告までとしているところもあります。
ここに例を見てみましょう。
自治体名 | 条例名 | 犬の糞尿に関する内容 | 対応 |
---|---|---|---|
東京都渋谷区 | 「きれいなまち渋谷をみんなでつくる条例」 | 飼い主等の責務(犬のふんの放置禁止) | 罰則(2万円以下の罰金) |
東京都小金井市 | 「小金井市まちをきれいにする条例」 | 犬・猫のふん害防止 | – |
新潟県長岡市 | 「長岡市生活環境の保全及び美化に関する条例」 | 犬等のふんの適正処理 | 助言及び指導、勧告及び命令、公表、立入調査、罰則 |
自分の自治体がどのような規定を定めているのかは、環境省のサイトや、自治体のサイトなどを確認してみましょう。
「ふん害等防止条例の概要(環境省)」
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/prevent.pdf
犬の糞害に困ったらどうする?
犬の糞尿の放置で迷惑をしている場合、「法律に違反するのなら、訴えることもできるのでは?」と思うでしょう。しかし、実際には糞害の相談を警察にしても、取り合ってもらえないケースが多いです。
犯人を特定できていて、その人から継続的な被害を受けていることを証明できなければ、訴えることは難しいのが現実です。
警察に頼る前に、まずは自分でできる工夫をしてみましょう。
1. 犬の糞尿禁止警告の看板を立てる
無難ですが、「犬の糞尿放置禁止」と書いた看板を立てるのは一つの手です。
単に「禁止」と書くだけでなく、犯人が特定できた際には警察に通報することや、防犯カメラを設置していることなどを付け加えるとより効果的です。
2. 犬の嫌がる成分が入った薬剤を撒く
「飼い主が糞尿を処理してくれないなら、そもそも犬に糞尿をさせない」という考えです。
犬が嫌うニオイのする薬剤を撒いたり置いたりすることで、犬が近寄りにくくなります。
専用のものもありますが、木酢液や竹酢液など、害虫忌避用の薬剤も有効です。
当然ながら、犬や猫が口にした時にすぐに体調不良になるような有毒性の強いものを置くのはやめましょう。それはそれで、トラブルのもとです。
まとめ
犬の糞尿の放置は、日本中のさまざまな地域で問題となっています。
しかし、法律や条例に違反する場合でも、実際には訴えるのが難しい現状もあります。
犬を飼っている方には、最低限のルールを守ることが求められますが、それでも糞尿の放置に悩んでいる方は、看板や薬剤などを使って対策をしてみてくださいね。