「愛犬のしつけをしよう!」と思っても、「具体的に何を教えれば良いのかわからない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
家の中でのしつけは家庭によってルールは様々ですが、外出する際に身に着けておきたいしつけは、「犬」、「飼い主」、「第三者」が気持ちよく過ごせることを目的としているため、ある程度決まってきます。
そこで今回は、家庭優良犬になるための認定試験「グッドシチズンテスト」のテスト項目を元に、犬と外出する時に身に着けておきたいしつけをご紹介していきます。
ご自身の愛犬が得意なこと、苦手なことをチェックしてみて下さい。
この記事の目次
グッドシチズンテストとは
犬と飼い主に対して、グッドシチズン(良き市民)としてのマナーが身についているかどうかをチェックするテストです。様々な国で行われており、テスト項目はその国の生活様式に合わせて作られています。
日本ではアメリカン・ケネル・クラブ(AKC)で行われている「Canine Good Citizen Test」を元に、日本向けのテストが作られ、優良家庭犬普及協会がテストの運用、認定を行っています。
一般的な家庭犬の場合は、この試験に合格する程のしつけは求められていないかもしれませんが、他者を不快にさせないような「犬と飼い主のマナー」を知る上で大変参考になるため、13のチェック項目についてシチュエーションごとに解説していきます(一部のテストを割愛しています)。
見知らぬ人に慣れているか
毎日の散歩や犬と一緒に出かける時、他の人と全く会わないということはほとんどないでしょう。他人を不快にさせないために、ある程度見知らぬ人に慣れさせることは、犬が人間社会で生きていくためにとても重要です。
チェック①飼い主が他人に挨拶をする間、座って待つ
毎日の散歩で取り入れられるトレーニングのため、比較的練習しやすいのではないでしょうか。挨拶の有無は関係なくても、人とすれ違って人が去っていくまで、落ち着いて座っていられるようにしましょう。
チェック②他人に触れられている間、座って待つ
犬を散歩していると、犬好きの方に撫でさせて欲しいと言われることも多いと思います。人嫌いな犬や、逆に人が好きすぎる犬は落ち着いて座っていることは難しいかもしれません。
友人などに協力してもらって、人嫌いな犬の場合は他人の手の匂いを嗅ぐ、くらいを目指しましょう。人が好きすぎて興奮する犬の場合は、「オスワリ」で一旦待たせ、「ヨシ」のコマンドで犬を開放し、撫でてもらうようにしましょう。
外の刺激に慣れているか
家から一歩出れば、いろいろな匂いや音、見慣れない物など、犬にとっては刺激がたくさんあります。過度に刺激に対して反応して、興奮したり、吠えたりすると他者にとっては非常に迷惑になります。
チェック③リードをつけて飼い主について歩く
リードを緩ませた状態で、飼い主の歩く速度にあわせて歩けるようにしましょう。
また、匂いをずっと嗅ぎながら歩いていると他人の家の前で排泄してしまい、迷惑になることもあります。
散歩前にトイレを済ましておくのがベストですが、歩く場所では飼い主について歩き、草むらなどの迷惑にならない場所で匂いを嗅がせるなど、お散歩にメリハリをつけて歩くことも重要です。
チェック④リード付きで人混みを歩く
特に大型犬の場合は、人混みできちんと歩いていないと他者に恐怖を与える可能性があります。大勢の人に興奮したり、怯えたりしないように、おやつなどを使って犬の意識を飼い主に向けておきましょう。
小型犬の場合は、上手く歩けない場所や、踏まれてしまいそうなくらい人が多い場所ではカートを使うことも有効です。
チェック⑤いろいろな「刺激」の中を歩く
刺激が多い場所でも、落ち着いて飼い主に合わせて歩けるようにしておきましょう。犬が反応しやすい「刺激」は大きく分けると以下の3つです。
臭覚刺激
- 他の犬の匂い
- 野生動物の匂い
- 落ちている食べ物
などの匂いの刺激です。
「ツケ(ヒール)」のトレーニングが出来ていれば、においに過度に反応することを減らしていけます。
視覚刺激
- 自動車、自転車、キックボードなどの乗り物
- 公園などでの他者のボール遊び
- ジョギングしている人
などの目に見える刺激です。
動くものを追いかけてしまう場合は、一旦「オスワリ」をさせ、落ち着かせてみましょう。
聴覚刺激
- 破裂音
- 人工的な音
- 他者の大声
などの音による刺激です。
極度に反応してしまう場合は、まずは家の中で慣れさせるトレーニングをしてみましょう。
音に慣れさせるトレーニングはこちらの記事をご参照下さい
愛犬が怯えないために対策を。生活音や環境音の音源集9選
チェック⑥他の犬とのすれ違い
よく知っている顔見知りの犬と全く知らない犬では反応が違ってくるかもしれません。また、特定の犬種や大型犬が苦手という犬も多くいます。
近距離でのすれ違いが難しい場合は、犬が興奮したり、怯えたりしない程度の距離を保って、歩いている他の犬を落ち着いて眺めることから始めてみましょう。
外出先でも落ち着いていられるか
若く好奇心旺盛な犬、活発な犬などは「落ち着く」ことを意識して教えないと、外で興奮しっぱなしになることも珍しくありません。外出先でも落ち着く時間を作るように意識していきましょう。
チェック⑦食事中テーブルの下で待つ
食事中に飼い主が食べ物のお裾分けをする習慣がついている犬は難しいかもしれません。まずは家で「フセ」&「マテ」を練習し、ドッグカフェなどで飼い主の食事中でも落ち着いて待っていられるようになるのが理想的です。
チェック⑧活発に動いたあとに落ち着かせる
散歩中やドッグランなどで興奮してしまい、なかなか落ち着くことが出来ない犬も多いのではないでしょうか。
興奮している犬は周りが見えていないため、事故やケガの原因にもなるので、興奮した後に落ち着かせるトレーニングも必要になってきます。
普段お家で遊ぶ時に「フセ」や「マテ」のコマンドを遊びの中に入れてみたり、興奮してきたら一旦遊びをやめてみたりして、興奮した後に落ち着く習慣を作っていきましょう。
チェック⑨クレートに入り飼い主を待つ
動物病院の待合室や車で移動する時など、外出先でもクレートの中で待たなければならないシチュエーションはあります。落ち着いて待てない場合は、長く噛めるおやつを与える、外が見えないように布をかけるなど、その犬に合った方法で落ち着かせていきましょう。
外出先でも飼い主のコマンドに従えるか
家で出来るコマンドでも、刺激の多い屋外では出来ないことも多々あります。家で覚えたコマンドを、日々の散歩の途中などにやってみて下さい。
はじめは家のそばで、人通りや車などの刺激が少ない時間帯からトレーニングしていくと上手くいく可能性が高くなります。
チェック⑩基本的なコマンド
「オスワリ」、「フセ」、「マテ」の基本的な3つのコマンドと「アイコンタクト」は、外出先でも出来るようにしておきましょう。
チェック⑪呼び戻し「オイデ(コイ)」
ドッグランに行った時などに必要になるしつけですが、不注意で首輪やハーネスが抜けて犬が離れてしまった場合にも役に立ちます。
体に触られることに慣れているか
犬の健康維持や家の中を清潔に保つために、体の全ての部分を触れるようにしておくことが理想的です。
チェック⑫犬の四肢をタオルで拭く
日本独自のテスト項目ですが、足を拭かれるのが苦手な犬も多くいます。苦手な場合は特別美味しいおやつを用意して、犬がおやつに夢中になっている間にサッと拭くことからはじめてみましょう。
チェック⑬獣医師による検診・グルーミング
多くの犬は動物病院が好きではありません。可能であれば診察が終わった後に、獣医師や看護師におやつをあげてもらうとストレスが減る可能性があります。
また、元気な犬であれば、動物病院の後に犬の喜ぶ場所に連れていくなどのアフターケアをしてあげましょう。
まとめ
2010年の内閣府の世論調査によると日本人の25%が「ペットを飼うのが嫌い」と答えています。その中には「しつけのされていない犬」や「マナーの悪い飼い主」が原因で嫌いになった方も一定数いるものと考えられます。
愛犬に何を教えればいいのかわからない場合は、今回のチェック項目を参考にしてみて下さい。他者を不快にさせないしつけやマナーを身に着けて、犬を飼いやすい世の中を目指していきたいですね。