犬を飼っていて大変なことの一つに、被毛のお手入れの問題があります。ペットを飼っている人を対象にしたアンケートでは、ペットとの生活で困っていることの1位が「掃除が大変」、2位が「抜け毛」と大きな割合を占めている問題です。(2023年 株式会社TYL「ペットの健康と動物病院に関する実態調査」より)
多くの飼い主を困らせているペットの被毛の問題ですが、犬の場合は純血種であれば、ある程度どのくらい毛が抜けるか、犬を飼う前に想定出来ます。
そこで今回は、人気犬種の抜け毛の量やお手入れの頻度など、犬の毛についてお話していきます。
この記事の目次
シングルコートとダブルコートについて
犬の抜け毛について知るため下の図を参考に、まずその構造を学んでいきましょう。
毛の種類①オーバーコート
体の表面に出ている太い毛。主に紫外線、雨や水、細菌などから皮膚を保護する役割があります。人間の髪の毛が抜けて生えるのと同じ様に、1年を通して徐々に生え替わります。
毛の種類②アンダーコート
オーバーコートの下に密集して生えている細く柔らかい毛。主に防寒、保温、保湿、防水といった役割があります。春と秋の換毛期に集中して抜け替わり、体温調整に役立てています。
毛の生え方①シングルコート
オーバーコートのみを持つ毛の生え方です。換毛期がないため抜け毛は少ないというメリットはありますが、こまめなブラッシングや、トリミングを必要とする犬種がいます。
毛の生え方②ダブルコート
オーバーコートとアンダーコートの両方を持つ毛の生え方です。換毛期には大量に毛(アンダーコート)が抜けるため、ブラッシングや掃除が大変ですが、トリミングは必要ない犬種が多くいます。
抜け毛の量の違い
アメリカン・ケネル・クラブでは、犬種ごとの抜け毛の量を5段階のスコアに分けています。そのデータを元に、犬種ごとにどの程度毛が抜けるのか見ていきましょう。
以下、対象となる犬種は日本の人気犬種トップ20です。
- スコア参考:Dog Breeds – American Kennel Club
- ランキング参考:2022年犬種別犬籍登録頭数 |ジャパンケネルクラブ
スコア1(抜け毛が少ない)
- トイ・プードル
- マルチーズ
- ヨークシャー・テリア
- シー・ズー
- ビション・フリーゼ
スコア2(抜け毛は少なめ)
- チワワ
- ダックスフンド
- ポメラニアン
スコア3(標準的な抜け毛の量)
- ミニチュア・シュナウザー
- フレンチ・ブルドッグ
- 柴犬
- パピヨン
- ジャック・ラッセル・テリア
- ボーダー・コリー
- ペキニーズ
スコア4(抜け毛は多め)
- ゴールデン・レトリーバー
- パグ
- ラブラドール・レトリーバー
- ウェルシュ・コーギー・ペンブローク
- イタリアン・グレーハウンド
スコア5(抜け毛がかなり多い)
- 日本で人気の犬種には該当がありませんでした。
毛の手入れをする頻度の違い
どのくらいの頻度で毛の手入れが必要か、さきほどと同様にアメリカン・ケネル・クラブのスコアを見ていきましょう。こちらも5段階に分かれています。
スコア1(月に数回程度)
- チワワ
- フレンチ・ブルドッグ
- イタリアン・グレーハウンド
スコア2(1週間に1.2回程度)
- ダックスフンド
- 柴犬
- ゴールデン・レトリーバー
- パグ
- ラブラドール・レトリーバー
- ウェルシュ・コーギー・ペンブローク
- パピヨン
- ジャック・ラッセル・テリア
スコア3(2.3日に1回)
- ポメラニアン
- ボーダー・コリー
- ペキニーズ
スコア4(出来れば毎日)
- トイ・プードル
- ミニチュア・シュナウザー
- マルチーズ
- シー・ズー
スコア5(毎日必ず)
- ヨークシャー・テリア
- ビション・フリーゼ
被毛の種類とトリミングの要・不要
犬を飼う上でトリミングが必要な犬種かどうかは、飼い方に大きな差が生まれます。どの犬種がトリミングを必要とするのか、先述した被毛の種類と共にチェックしていきましょう。
トリミングが必要な犬種
シングルコート
- トイ・プードル
- マルチーズ
- ヨークシャー・テリア
ダブルコート
- ミニチュア・シュナウザー
- シー・ズー
- ビション・フリーゼ
- ペキニーズ
トリミングが不要な犬種
シングルコート
- パピヨン
- イタリアン・グレーハウンド
ダブルコート
- チワワ
- ダックスフンド
- ポメラニアン
- フレンチ・ブルドッグ
- 柴犬
- ゴールデン・レトリーバー
- パグ
- ラブラドール・レトリーバー
- ウェルシュ・コーギー・ペンブローク
- ジャック・ラッセル・テリア
- ボーダー・コリー
「抜け毛が少ない犬」と「手入れが楽な犬」は違う
ここまで人気犬種の被毛の特徴を説明してきましたが、抜け毛が少なく、かつ手入れが楽な犬は、あまりいないことにお気付きでしょうか。
例えば、人気犬種のトイ・プードルの場合、抜け毛はほとんどありませんが、毛玉になりやすいため毎日のブラッシングや、毛が伸び続けるため月に一回程度のトリミングが必要になります。
逆にフレンチ・ブルドッグの場合は、短毛種なので毎日のブラッシングやトリミングは必要ありませんが、ダブルコートの犬種のため換毛期の抜け毛はかなり多く出ます。
もし、これから犬を飼おうと思っている方は、「トリミングの費用」、「手入れの頻度」、「換毛期の大量の抜け毛」など様々な面を考えて、検討してください。
まとめ
今回は、犬の毛の構造や犬種ごとの特徴を解説しました。
初めて犬を飼う方はシングルコートの犬の抜け毛でも、最初は気になることが多いようです。さらにダブルコートの犬種の場合は初めての方だけでなく、シングルコートの犬を飼ったことがある方でも、換毛期の抜け毛の多さに驚かれることがあります。
どちらにせよ「犬は毛が抜けるし、手入れが必要」と心構えをしてから、飼うことをおすすめします。
また、被毛の特徴は犬を選ぶポイントの一つですが、その他にも「体の大きさ」、「必要とする運動量」、「警戒心が強いかどうか」なども、ご自身やご家族のライフスタイルと合うかどうかチェックしましょう。
犬との幸せな生活のために、事前に飼い方を学ぶことはとても重要です。じっくりと時間をかけて行いましょう。