モルモットやウサギの飼育には欠かせないチモシー。実はチモシーにも種類があり、栄養量やペットの食いつきが異なります。チモシーを与えているけどあまり食べてくれないと感じる場合は、ペットの好みと合っていない可能性があります。
この記事では、チモシーの種類とチモシーを与えるべき理由について解説していきます。
この記事の目次
チモシーとは
チモシーはイネ科の多年草で、牧草として広く普及しています。もともとはヨーロッパ原産で、アメリカには牧草として伝わり、日本には明治初期に北海道に導入されました。
チモシーは、げっ歯類やウサギなどのエサとしても用いられ、収穫する時期や生産されている地域、プレスの方法によってさまざまな種類があります。
刈る時期の違い
チモシーは刈る時期によって、固さや栄養素が異なります。まずは一番刈りを与えてみて、食いつきが悪ければ二番刈り、三番刈りと変えていくのがおすすめです。
一番刈り
種をまき、芽が出て最初に育ってきた茎や葉を刈り取ったものを一番刈りといいます。茎が固くて長く、栄養が豊富で、繊維質を多く含んでいるため、ペットが喜んで食べるようであれば一番刈りを与えると良いでしょう。
二番刈り
一番刈りをしたあとに、残った株から再び伸びてきた茎や葉を刈り取ったものを二番刈りといいます。一番刈りと比べると、繊維質が少なく、茎は細くて柔らかいです。
三番刈り
二番刈りをしたあとにさらに成長した分を刈り取ったものを三番刈りといいます。チモシーは刈れば刈るほど茎や葉がやわらかくなり、ペットも喜んで食べます。一方で、栄養や繊維質は減っています。
しかし、チモシーから栄養を摂るというよりは、チモシーを食べるという行為自体に意味があるため、ペットが喜んで食べるものを与えてあげてください。
産地の違い
チモシーは産地によっても異なります。ペットによって好みは様々ですので、普段与えているチモシーの食いつきが悪い場合は、産地を変えてみるといいかもしれません。
アメリカ産
日本で販売されているチモシーのうち、多くはアメリカ産です。茎がしっかりしており、固いチモシーを好む子におすすめです。
カナダ産
アメリカ産よりも若干柔らかく、葉も多く混じっています。また、穂も小さめです。固すぎるのはあまり好きではないという子におすすめです。
北海道産
カナダ産と同じくらいか、それより少しやわらかいです。青々としている外国産のものとは異なり、枯れたような茶色をしています。独特な香りがあり、好きな子はハマります。
プレスの回数の違い
チモシーは、収穫したままの状態では保管や運搬に不便なため、機械により圧縮されます。一度圧縮したものをシングルプレス、二度圧縮したものをダブルプレスといい、固さに違いが生じます。
・シングルプレス…茎や葉、穂が少しだけ潰れていて、適度な固さがある
・ダブルプレス…茎・葉・穂がよく潰れていて、シングルプレスよりもやわらかい
チモシーの役割
ペットには専用のペレットだけ与えていればいいのでは?と思う方もいるかもしれません。しかし、齧歯類やウサギが健康に暮らしていくためにはチモシーなどの牧草を必ず与える必要があります。
では、小動物においてチモシーなどの牧草にはどのような役割があるのでしょうか。
肥満の防止
ウサギは常に何かを食べて胃腸を動かす必要があります。12時間以上何も食べない状態が続くと、胃腸内の食べ物が異常発酵してガスが溜まり、命に関わることがあります。
しかし、ペレットなどの栄養がありすぎるものを食べすぎてしまうと肥満の原因にもなってしまいます。低カロリーのチモシーであれば、肥満を気にせず安心して与えられるでしょう。
不正咬合の防止
モルモットなどのげっ歯類やウサギは歯が一生伸び続けるという特徴があります。そのため、牧草を食べることで歯を削り、歯並びを整えています。しかし、何らかの原因で歯並びのバランスが崩れてしまい、歯が伸びすぎて噛み合わせが悪くなることがあります。これを不正咬合といいます。
ペレットや野菜は、げっ歯類やウサギにとってとてもやわらかいエサであるため、歯は削れず、不正咬合を予防できません。
不正咬合は完治が難しく、時には全身麻酔による手術も必要になります。体の小さいモルモットやウサギが不正咬合になってしまうと命に関わるため、予防のためにも毎日好きなだけ牧草を食べられるようにしてあげましょう。
チモシーの与える時のポイントと注意点
与える量は好きなだけ
チモシーは低カロリーで繊維質が多いため、与える量に制限はありません。むしろ健康のためにたくさん食べた方が良いので、足りなくならないようにしてあげましょう。
なお、鮮度が落ちたり、うんちやおしっこなどで汚れたチモシーは食べないことが多いため、ケージを掃除するタイミングでチモシーも入れ替えてあげましょう。
チモシーだけでは栄養不足に
チモシーには栄養がほとんどなく、必要な栄養はペレットから摂る必要があります。ペットがチモシーばかりを食べていてペレットを食べない場合は、栄養が不足してしまうため、まずは獣医師に相談して指示を仰ぎましょう。
うんちの量もチェック
チモシーをたくさん食べる分には問題ありませんが、食べている量に比べてうんちが極端に少ない場合は要注意です。胃腸の動きが悪くなる「うっ帯(たい)」を起こしているかもしれませんので、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。
最後に
今までなんとなくチモシーを与えていた人も多いかもしれません。チモシーは刈るタイミングによって栄養や食感が大きく変わるため、あまり食べないようであればいろいろなチモシーを試してみましょう。
モルモットやウサギなどの小動物が健康に生きていくためには、チモシーなどの牧草を必ず食べさせる必要があります。チモシーを与えることの重要性を今一度確認し、愛するペットが健康でいられるようにしてあげましょう。