猫は人間のそばで暮らし、深く関わってきた歴史を持つため、日本全国には猫とゆかりのある神社や仏閣が数多く存在します。そして、日本の文化や信仰において縁起の良い生き物として長い間愛され、親しまれてきました。
この記事では、東日本にある猫にまつわる神社や仏閣についてご紹介します。
この記事の目次
①宮城県「猫神社(美與利大明神)」
宮城県の牡鹿半島沖に位置する田代島は猫好きに有名な島で、住民よりも猫の方が多いほど、たくさんの猫が暮らす人気観光スポットです。この島には猫神社が建てられており、美與利大明神(みよりだいみょうじん)を祀っています。
田代島ではかつて養蚕が行われていたため、ねずみから蚕を守るために猫が飼われ、大事にされていました。また、猫の行動や様子を観察し、天候や漁の状況を予測する手がかりとしていたとも言われています。
ある日、漁師が石を取るため岩を割る作業をしていたところ、その一つが猫に当たり、その猫は亡くなってしまいました。漁師たちは亡くなった猫に可哀想なことをしたと心を痛め、亡骸を手厚く葬ったそうです。この猫が猫神社で祀られている猫神様だと言われています。
猫神社
宮城県石巻市田代浜(Googleマップ)
https://www.city.ishinomaki.lg.jp/cont/10053500/0050/3639/3639.html
※「田代島」については、こちらの記事もご覧ください
猫好きは要チェック!「猫島」と呼ばれる日本の島5選
https://cheriee.jp/entertainments/32712/
②栃木県「日光東照宮」
世界遺産でもある「日光東照宮」は、徳川家康公を祀る神社として知られています。境内には、一日中眺めていても飽きないことから「日暮らし門」と呼ばれる「陽明門」をはじめ、国宝8棟と重要文化財34棟を含む55棟の建造物が立ち並び、その壮麗で華麗な美しさは参拝者を圧倒します。
東照宮の回廊には「眠り猫」という有名な木彫像があります。さらに、猫の彫刻の裏側には竹林で遊ぶ2羽の雀の彫刻も施されています。これは、猫が眠っているため雀のような弱者も安心して暮らせる状況を象徴し、家康によって過酷な戦国時代が終わり、平和な時代が訪れたことを示すものとされています。
また、眠り猫には「実は薄目を開けている」という説も存在します。猫が寝ているように見せかけながら、いつでも飛びかかれる体勢をとり、狸寝入りをする徳川政権の威厳と恐ろしさを示すとも、外様大名へ睨みを利かせているとも解釈できます。このため、眠り猫の真の意味は謎に包まれたままとなっています。
日光東照宮
栃木県日光市山内2301(Googleマップ)
https://www.toshogu.jp/
③東京都「豪徳寺」
豪徳寺(ごうとくじ)は、彦根藩主・井伊家の菩提寺であり、曹洞宗のお寺です。境内では梅、桜、牡丹、芍薬、つつじ、もみじなど多くの草木が四季折々に美しい彩りを見せ、訪れる参拝者を魅了しています。
そんな豪徳寺ですが、一説には招き猫発祥の地と言われています。境内にある「招猫殿」には、願い事がかなったお礼として、数多くの招福猫児が奉納されています。また、「三重塔」には十二支の動物といくつかの猫が飾られているので、その動物たちを見つけることでも楽しいひとときを過ごせます。
豪徳寺
東京都世田谷区豪徳寺2-24-7(Googleマップ)
https://gotokuji.jp/
※「豪徳寺の招き猫」については、こちらの記事もご覧ください
9月29日は「招き猫」の日!縁起物になった理由とおすすめスポット
https://cheriee.jp/entertainments/37671/
④東京都「今戸神社」
今戸神社(いまどじんじゃ)は、ご祭神の應神天皇(おうじんてんのう)、伊弉諾・伊弉冉尊(いざなぎ・いざなみのみこと)、福禄寿(ふくろくじゅ)を祀る神社です。
伊弉諾・伊弉冉尊の夫婦神を祀るこの神社は、縁結び、恋愛成就、夫婦円満などのご利益があるとされています。近年では、人気テレビドラマのロケ地としても知られ、多くの人が訪れる巡礼地となっています。
この今戸神社も招き猫発祥の地とする説があります。本殿の横には2体の招き猫が仲良く並ぶ「石なで猫」が鎮座し、なでると縁結びのご利益があるといわれており、大変な人気があります。さらに、石なで猫の写真を撮り、スマホの待ち受け画面に設定すると、願いが叶うといわれています。
今戸神社
東京都台東区今戸1-5-22(Googleマップ)
https://imadojinja1063.crayonsite.net/
⑤東京都「阿豆佐味天神社」
阿豆佐味天神社(あずさみてんじんじゃ)は、寛永6年(1629年)に村の鎮守の神として建立されました。この神社は、医薬、健康、知恵の神である少彦名命(すくなひこなのみこと)と、文学、芸術の神である天児屋根命(あめのこやねのみこと)の2柱を祀っています。
阿豆佐味天神社の境内には9つの社があります。そのうちの一つである蚕影神社(こかげじんじゃ)は、養蚕の守り神を祀っており、猫にゆかりがあります。この地域はかつて養蚕が盛んであり、蚕の天敵であるねずみを捕る猫が大事にされ、守り神とされています。
この神社が「猫返し神社」と呼ばれるようになったのは、ジャズピアニストの山下洋輔さんの飼い猫が行方不明になり探し回っていた時、偶然通りかかった蚕影神社で参拝したところ猫が戻ってきたという逸話があります。
近年では、猫を探している人だけでなく、猫の健康祈願に訪れる人など、猫好きが集まるスポットとして注目されています。
阿豆佐味天神社
東京都立川市砂川町4-1-1(Googleマップ)
https://azusami-suitengu.net/
※「阿豆佐味天神社」については、こちらの記事もご覧ください
【行ってみた】「猫返し神社」とも呼ばれる立川の阿豆佐味天神社とは
https://cheriee.jp/cats/30778/
まとめ
猫にゆかりのある神社や仏閣を知ることによって、猫は古くから人間との特別なつながりを持ち、ねずみ捕りや縁起物として愛されてきたことが感じられます。
今回は、東日本に点在する猫にゆかりがある神社や仏閣を厳選してご紹介しましたが、このほかにも猫にまつわる場所は全国に数多く存在します。これを機に、お近くの神社や仏閣を調べて訪れてみてはいかがでしょうか。