犬と生活していてお悩みが増えたのはいつ頃でしょうか。子犬のうちは「かわいい」が先行していることや、力なども弱く、悩みはあるものの深い悩みには繋がらないことも多いかもしれません。
しかし、月齢、年齢を追うごとに悩みは深刻になり、どうにかしなければと焦る飼い主さんに多く出会ってきました。
飼い主さんが後悔することの多くは、様々なことへの慣れである社会化がメインですが、具体的にどんなことに慣れておけばよかったと感じるのでしょうか。詳しくご紹介していきます。
この記事の目次
自然に解決する悩みはない
子犬の飼い主さんとお話をしていて、「これは成犬になれば自然に治りますか?」と聞かれることがありますが、基本的に年齢に関わらず、トレーニングなどをせずに人が困っている行動が無くなることはないと思っていいでしょう。
逆に吠え、咬み、興奮、散歩時の引っ張り、お手入れの拒否など、人が困ったと感じる行動は、経験を重ねれば重ねるほどその行動が定着し、行動を減らすのに多くの時間を要します。
そのため、深い悩みにしないためには、1日も早くトレーニングを通じて愛犬に人が取って欲しい行動を覚えてもらったり、様々なものに慣れてもらう必要があります。
1. 来客慣れ
来客時に激しく吠えて困るというお悩みは、多くの方が経験しているのではないでしょうか。来客時の吠えを予防するためには、様々なことに慣れ、来客時の行動を教えていくことが大切です。
来客の慣れ方
ご自宅のインターホンの音、鍵が開く音、ドアが開く音、人が入ってくること、人が家の中で話したり動いたりすることに慣らしてあげましょう。最後はそれら一連の流れで慣れることも必要です。
まずは、愛犬がどの段階で反応するかを把握し、反応せずにいられるように慣れをしっかりと行っていきましょう。
また、吠える以外の行動を覚えてもらうのもおすすめです。インターホンが鳴ったら、ハウスやクレートに入って落ち着けるようになると、愛犬にも飼い主さんにも負担がなくなりおすすめです。
2. 歯磨き・ブラッシング
飼い主さんを悩ませ、愛犬にもストレスがかかるのがお手入れではないでしょうか。特に歯磨きやブラッシングは基本的に毎日必要なものですが(ブラッシングは犬種による)、嫌がる子も多く、無理矢理行うと咬みに繋がったり飼い主さんと愛犬の関係性が悪化しかねません。
歯磨き・ブラッシングの慣れ方
歯磨きもブラッシングも段階を追って、少しずつ、愛犬が嫌がらないレベルで慣れていくことが大切です。愛犬が嫌がる素振りを見せるまでやってしまうとお手入れに対して嫌なイメージがどんどん付いてしまいます。
もどかしいくらい少しずつ、おやつを使いながら愛犬が平気でいられる時間や強さ、触る場所を増やしていきます。お手入れを落ち着いてできるようになると、お手入れも飼い主さんとのスキンシップの時間に変わっていきます。
3. 散歩(お外慣れ)
散歩で歩かない、引っ張る、人に吠える、犬に吠えるは、散歩に関するよくあるお悩みです。
日本では未だに3回の混合ワクチン接種を待ってから外を歩かせるという考えが主流ですが、それを待っていると社会化期(3~12週)は過ぎてしまいます。社会化を過ぎてから初めて見る自分よりはるかに大きい人間、音もしてスピードのある車やバイク、自転車や犬など様々なものを怖がり、歩けなくなってしまうのは無理もありません。
散歩の慣れ方
まずは外に慣れることが大切です。子犬をお迎えした場合、1日でも早く外を犬の足で歩かせることをおすすめします。感染症のリスクが上がる草むらや水回り、土を歩いたり、他の犬と交流はしなくて大丈夫ですので、アスファルトをまずは歩くところからスタートしてみるのがおすすめです。
また、人や犬など決まった対象物に吠えや引っ張りがある場合は、外でも人に意識を向ける練習からしましょう。おやつを使い、愛犬が飼い主さんを見てくれたらおやつをあげる、おやつを使いながら人の横を歩く練習から行うのがおすすめです。
※感染症のリスクはゼロではありませんので、どのタイミングで外を歩かせるかは獣医師と相談の上、飼い主さんがご判断ください。
4. 飼い主と離れる
コロナでの外出自粛や在宅ワークへの移行などもあり、飼い主さんと離れる経験をあまりしておらず、家の中にいても離れられない、飼い主さんが動くと落ち着けないといったお悩みも耳にします。
飼い主との慣れ方
まずは5〜10秒くらい飼い主さんの姿を愛犬から見えないようにし、すぐに戻るところからスタートします。時間を伸ばす際は、知育玩具などを使い、愛犬が何かに夢中になっている間にひとりの空間にし、そのことに愛犬が気付かないうちにまた戻ってくるようにします。そして、愛犬の元に飼い主さんが必ず戻ってくるという安心感も与えてあげるようにします。
長時間の留守番になる場合は、留守番中に寝られるよう留守番前にお散歩やおもちゃ遊びなどで体力を十分に使い、良い疲れを感じられるよう事前準備も必要です。
あると便利な知育玩具
5. 犬慣れ
愛犬が他の犬と遊ぶ姿を見たいというのは飼い主さんの多くが望むことだと思います。一方で、犬を見ると吠える、逃げる、固まるといったお悩みが多いのも事実です。
他の犬と遊べるようにさせたいという話を聞くこともありますが、愛犬にとってそれが最善の選択かを考える必要があります。
犬にも相性があったり、既に犬に対してネガティブなイメージがある犬にとって、犬のイメージを良くし、さらに一緒に遊べるようになるというのは難しい場合も多々あります。
犬の慣れ方
犬と触れ合う機会を子犬のうちから設け、かつ犬へ良いイメージがもてるような触れ合い方をさせることが大切です。
ただし、犬と遊べることだけを目指すのではなく、犬と遊ぶこともできるし、犬がいても落ち着くこともできる状態を目指すことをおすすめします。犬と安全に触れ合うには犬の保育園や幼稚園がいいでしょう。犬に慣れるには、周りの犬の対応がとても重要です。ドッグランでの犬慣れはネガティブなイメージが付くリスクがあります。
もし、現時点で犬に吠えてしまう場合は、決して無理に近付けたりせずに、まずは吠えずに通過したり、その場に落ち着いていられることを目標にトレーニングしていきましょう。
トレーニングにおやつは必要か
トレーニング時にはおやつをしっかりあげることをおすすめします。せっかく愛犬がトレーニングを上手にできていても、「おやつをもらうためにやってるだけ」と冷たい飼い主さんの反応を見ることがあります。
しかし、おやつがあってできるのも十分すごいことではないでしょうか。ほとんどの人が無償では仕事をしないのと同じように、その行動を取ることで良いことがあるからモチベーションになり、再びその行動をとるようになります。
トレーニングのレベルが上がったらおやつをあげる頻度を減らしたり、おやつをあげることに抵抗がある場合には、一日にあげるフードの一部をトレーニング時に使うといいでしょう。しかし、そのフードが愛犬のモチベーションになっているかどうかを見る必要はあります。
おやつ選びのポイント
- 愛犬が大好きなもの
- ニオイがしっかりあるもの
- 肉の比率が高いもの
- ちぎれるけど、おやつの一部が崩れやすくないもの(ポロポロ落ちるものはトレーニングがやりにくくなります)
まとめ
慣れやトレーニングには愛犬が大好きなおやつをしっかり使い、一日でも若い「今」から始めましょう。後悔しなくて済むか否かは飼い主さん次第です。愛犬頼みでは何も変わりません。
年齢、愛犬の具体的な行動によって、慣れ方やトレーニングの方法も変わってきますので、正しい方法で確実にトレーニングを進めるために、信頼できるプロのドッグトレーナーに愛犬を見てもらうのをおすすめします。