大切な愛犬のために、手作りおやつを食べさせてあげたいと考える飼い主さんもいらっしゃるでしょう。
しかし、「どのようなレシピで作ればいいのかわからない」「食べさせてはいけないものがあるの?」と悩んでしまうこともありますよね。
そこで今回は、愛犬のための手作りおやつについて、与えてよい適切な量やおすすめのレシピ、注意点を解説します。
この記事の目次
愛犬に手作りおやつを与えるメリット
まずは、手作りおやつを与えることにどのようなメリットがあるかを見ていきましょう。
素材を飼い主さんが確認できる
飼い主さん自身が素材を確認して、選べる点がメリットです。お店で鮮度や産地をチェックしたうえで購入できるため、安心感もあるでしょう。野菜でおやつを作る場合は、「飼い主さん自身が栽培したものを使う」といったことも可能です。
添加物が不要
家で作ってすぐ食べさせるため、保存料などの添加物が不要です。
市販のおやつに添加物が使用されている理由は、品質の安定や保存性の向上のためです。「ペットフード安全法」によって定められた添加物が適正に入っており、決して危険ではありません。
しかし、なるべく添加物を与えたくないと考える飼い主さんもいるでしょう。その点、手作りおやつは「衛生面に注意して作る」「すぐに食べさせる」ことを心がければ、添加物を入れる必要がないのです。
飼い主さんにやりがいが出る
愛犬が喜んで食べる姿を見ると飼い主さんもうれしく、やりがいを感じるでしょう。飼い主さんの感情は愛犬にも伝わります。うれしそうな飼い主さんを見ると、愛犬も明るい気持ちになるはずです。
愛犬のおやつを手作りするデメリット
手作りおやつを愛犬に与えることには、実はデメリットもあります。デメリットが大きくならないようにするには、「市販のおやつも利用する」「無理をしない」ことが大切です。
保存期間が短い
手作りおやつは、どうしても保存期間が短くなってしまいます。冷蔵しても長くて2日程度で食べきる必要があります。
保存料はもちろん使いませんし、塩や砂糖、しょうゆなどの味付けをしないため、腐敗しやすいのです。そのため、お出かけやドライブに持って行きたくても、傷む恐れがあります。
費用がかさみがち
保存期間が短い分、こまめに作る必要があります。こまめに作れば、それだけ材料費がかかってしまうでしょう。「大切な愛犬のためだから」と材料にこだわることで、ますます費用がかさむ恐れもあります。
手間がかかる
手作りおやつは、費用だけでなく手間がかかる点もデメリット。特に多忙な人にとっては負担になるでしょう。「絶対に手作りでなくては」と思い込んで、作れなかった時に罪悪感を覚えてしまう人もいます。
手作りおやつを楽しむコツ
せっかく愛犬のために作るのなら、気楽に楽しく続けたいですよね。愛犬のおやつ作りを楽しむコツは次の通りです。
市販のおやつも上手に利用する
シーンによって、手作りと市販を使い分けることがポイントです。
例えば、お出かけやトレーニングでは、保存がきいて小分けされている市販のおやつを利用します。一方、おうちでのごほうびおやつには手作りを与えます。
お誕生日やクリスマスなど、特別な日だけおやつを手作りする方法もあります。
気合いを入れ過ぎない
「絶対毎日手作り」「○○産のお肉でないとダメ」などと気合いを入れ過ぎると、おやつ作りそのものが負担になってしまいます。
「手作りを食べさせないと健康になれない」というわけではありません。負担になると継続できなくなるため、時には休憩することも大切です。
手作りおやつのおすすめレシピ①さつまいもボール
ここからは、愛犬のための手作りおやつのレシピを紹介します。愛犬の好みに合ったものや作りやすいものから作ってみてください。
まずは、加熱したさつまいもを潰して小さく丸めるだけのシンプルなおやつです。無塩バターや犬用ミルクを少量入れると混ぜやすくなります。カロリーが気になる場合は、ミルクだけにしましょう。
苦手なお薬を包むのにもおすすめです(事前に獣医師の許可を得てください)。
多くの犬はさつまいもが大好きです。食物繊維がお腹の動きを活発にしてくれますが、消化に時間がかかることもあります。子犬やシニア犬、お腹の弱い犬には、裏ごしして繊維を取り除くと消化の負担になりにくくなります。
■材料(カッコ内はおおよそのカロリー)
- さつまいも:1本
- (100gあたり約126kcal、皮をむいたさつまいもは1本およそ187gなので約235kcal)
- 無塩バター:少量
- (5gで約36kcal)
- 犬用ミルク:大さじ1程度
- (3gあたり13kcal、15gで約65kcal)
- ※森永のドッグメンテナンスミルクで計算
■作り方
- さつまいもは、きれいに洗ってから皮をむいて角切りにする。
- 水に30分ほどつけてアクを抜く。
- 耐熱容器に入れて、さつまいもがかぶる程度のお水を加える。
- 電子レンジで7分ほど加熱する(様子を見ながらやわらかさを確認)。
- やわらかくなったら、水切りをしてさつまいもを潰す(熱いので火傷に注意)。
- 無塩バター、ミルクを加えてよく混ぜる。
- 冷めたら小さく丸めて与える。
■出来上がりのカロリー
約336kcal
さつまいもボールの応用編「さつまいもぼうろ」
作り方6の段階で、水で溶いた片栗粉(大さじ2)を加え、直径1センチほどのボールを作ります。上下を少し平らにすると、取り扱いが楽です。
ボールを天板に並べてオーブンで両面を焼けば「ぼうろ」になります。
手作りおやつのおすすめレシピ②かぼちゃ蒸しパン
かぼちゃのほんのりした甘さに愛犬も大喜び。さつまいもやにんじんでも作れます。
作り方3の段階で2つに分け、一方を人間用にして牛乳やお砂糖、シナモンなどを加えるのもいいですね。その際は卵も2分割します。愛犬と一緒におやつタイムが楽しめますよ。
■材料
- かぼちゃ:100g
- (西洋かぼちゃ100gあたり約80kcal)
- 薄力粉:100g
- (100gあたり約349kcal)
- ベーキングパウダー:小さじ1
- (約5kcal)
- 卵:1個
- (Mサイズ約74kcal)
- 犬用ミルク:大さじ1
- (約65kcal)
- ※森永のドッグメンテナンスミルクで計算
- サラダ油:小さじ1
- (約35kcal)
■作り方
- かぼちゃは一口大にカット。耐熱容器に入れてラップをし、電子レンジで加熱する。
- かぼちゃを加熱している間に薄力粉とベーキングパウダーを混ぜてふるっておく。
- かぼちゃがやわらかくなったら潰して冷まし、ボウルに入れる。
- 3に卵を入れて混ぜ、次にサラダ油を加えて混ぜる。
- 4に犬用ミルクを少しずつ加える。
- ふるった粉類を5に加えて混ぜる。
- ダマがなくなったら、カップなどに7分目まで入れ分ける。フチまで入れるとあふれるので注意。
- 蒸し器に入れて20分ほど蒸す。やわらかくラップをして電子レンジで3分ほど加熱してもよい。様子を見ながら加熱してください。
■出来上がりのカロリー
約608kcal
手作りおやつのおすすめレシピ③鶏ひき肉の混ぜおにぎり
茹でた鶏ひき肉とご飯を混ぜたおにぎり。食欲が低下した時などのおやつにぴったりです。愛犬のサイズに合わせて握ってあげましょう。
お肉を茹でた汁は捨てずに、ドッグフードにかけたり、飼い主さんのスープに使ったりできます。
鶏ひき肉の代わりに、アジやタラなどのお魚を茹でてもおいしく作れます。魚を使う場合は、骨をしっかり取り除いてください。いずれも塩を付ける必要はありません。
■材料
- 炊いたご飯:100g
- (約156kcal)
- 鶏のひき肉:20g程度
- (100gあたり約171kcal、20gで約34.2kcal)
■作り方
- 炊いたご飯から100g取り分ける。
- ひき肉をお湯で茹でる。
- ざるなどにあけてひき肉を取り出す。
- ご飯と混ぜておにぎりにする。
■出来上がりのカロリー
約190kcal
手作りおやつのおすすめレシピ④ペット用ミルクで作るゼリー
ほどよく冷やして夏のデザートに。口当たりがよくやわらかいので、シニア犬にもおすすめです。もう少しやわらかくしたい場合は、ミルクを増やしてください。
喉に詰まらせないように、細かくカットして与えることがポイント。茹でた鶏ひき肉などを混ぜ入れてもおいしくなります。ミルクの一部を無糖ヨーグルトに替えてもいいでしょう。
■材料
- ペット用ミルク:300ml
- (約180kcal)
- ※粉ではなく液体タイプが便利。ドギーマンのわんちゃんの国産牛乳で計算。カロリーを抑えたい場合は低脂肪タイプが便利です。
- 粉ゼラチン:5g
- 水:大さじ2
■作り方
- 粉ゼラチンは、水大さじ2でふやかしておく。
- 鍋か電子レンジでミルクを温める。
- ふやかしたゼラチンを入れてよく混ぜる。
- 容器に入れて冷やす。
- 細かくカットして与える。
■出来上がりのカロリー
約180kcal
愛犬に手作りおやつを与える際の注意点
愛犬のおやつを飼い主さんが作って与える場合、いくつか注意点があります。必ず事前にチェックしておいてください。
犬に与えてはいけない食材を使わない
人にとってはおいしくヘルシーであっても、犬には与えてはいけない食材があります。以下に挙げるような犬が食べると中毒を起こす危険のある食材は、絶対に使わないようにしましょう。
玉ネギ、長ネギ、ニラ、ニンニクなどネギ類全般
犬の赤血球を破壊する成分、「有機チオ硫酸化合物」が含まれています。犬が食べると貧血などを起こし、命にかかわることもあります。
たとえネギ類だけを取り除いても、スープや煮汁には成分が溶け出しているため、絶対に与えないでください。
チョコレート、ココア
「テオブロミン」という成分により、犬が中毒を起こす恐れがあります。チョコチップやココアパウダーなども犬の手作りおやつに使わないようにしましょう。
ブドウ、干しブドウ
ブドウを与えると急性腎障害を発症するリスクがあります。ブドウの品種はすべて危険です。干しブドウも与えてはいけません。
アボカド
アボカドの果肉や皮には、犬にとって有害な成分「ペルシン」が含まれています。ヘルシーな印象がありますが、手作りおやつには使わないようにしましょう。
コーヒー、紅茶、抹茶などカフェインを含むもの
カフェイン中毒を起こすリスクがあります。血圧上昇や心拍数増加などの症状のほか、重症になるとけいれんなどを起こすことも。
キシリトール
犬には有毒で中毒を起こすリスクがあります。摂取すると血糖値が低下し、低血糖や肝機能障害を引き起こし、最悪の場合は命にかかわることもあるため注意が必要です。
持病のある犬は事前に獣医師に相談する
持病がある犬や、薬や療法食を食べている犬は、おやつを手作りする前に必ずかかりつけの獣医師に相談しましょう。素材によっては病状を悪化させたり、薬や療法食の効果を妨げたりする恐れがあります。
どのような食材なら手作りおやつが可能かを相談してから、おやつ作りをスタートさせましょう。
おやつの量は1日の摂取カロリーの10%
おやつの量は、1日に摂取するカロリーの10%程度にとどめます。おやつを与えすぎると栄養バランスを崩したり、肥満を招いたりする恐れがあるためです。
とはいえ、犬に必要な1日のエネルギー量がわからないと、10%がどのくらいの量なのかわからないですよね。そこで、犬に必要な1日のエネルギー量「DER」の求め方を解説します。
DERの求め方
DERを求めるには、安静時のエネルギー要求量「RER」の数値が必要です。RERは体重、または体表面積から求める方法がありますが、ここでは体重から計算する方法をご紹介します。
RER = 体重(kg)× 30 + 70
体重に30をかけ、70を加えた数値が、RERです。この数値に「係数」をかけるとDERがわかります。
DER = RER × 係数
係数は、犬の成長段階や活動量などの条件によって変わる数字です。条件の例として「散歩や運動量が多い」「成長期」「高齢期」「避妊去勢済」などがあります。
例えば、1回20分程度の散歩を1日2回行う健康な成犬なら「中程度」の活動量となり、係数は1.6です。では、体重10kg、避妊去勢済みで中程度の活動量の犬で計算してみましょう。
- RER : 10kg × 30 + 70 = 370 kcal
- DER : 370 × 1.6 = 592kcal
1日に必要なエネルギー要求量は592kcalです。そうなると、おやつは要求量のうちの10%なので59.2kcalとなります。
与えていいカロリーがわかったら、レシピの総カロリーを参考に大きさを調整してください。係数は飼い主さんだけでは判断しにくい面もあるため、動物病院で相談することをおすすめします。
初めて与える場合は少しずつ
手作りおやつを初めて与える場合は、少量ずつ様子を見ながら与えてください。
いきなりたくさん食べさせると、下痢や体調不良を引き起こす恐れがあります。食材によっては、アレルギー症状が出ることもあるので慎重に与えましょう。
万が一体調不良になった場合は、食べさせたおやつを持参して動物病院を受診してください。
まとめ
愛犬のおやつを手作りすると、飼い主さん自身が素材を確認して選べる安心感や、やりがいを感じるといったメリットがあります。
一方で、手作りは保存期間が短く、こまめに作る必要があるので手間がかかり、負担になるデメリットもあります。気合いを入れ過ぎず、市販のおやつも上手に利用することが長続きのコツです。
おやつを作る際は、犬が食べてはいけないものを使わないことが大切です。持病がある犬は事前に獣医師に相談しましょう。
栄養バランスを崩さないためにも、1日に必要なカロリーの10%程度にとどめることも忘れずに。万が一具合が悪くなった場合は、すぐに動物病院を受診してくださいね。