飼い猫のグルーミングが異常に長い、ときどき何かにおびえるような姿勢を見せる、最近めっきり動かなくなってしまった、なんてことはありませんか?
飼い主が「まあそんなこともあるか」と見落としがちなしぐさ、実は猫がストレスを抱えているサインなのかもしれません。
今回の記事では、猫がストレスを抱えたときに見せるしぐさや、ストレスの原因、そしてその解消方法を紹介していきます。
この記事の目次
猫がストレスを感じた時の行動と変化
猫がストレスを感じた時、行動や様子にさまざまな変化が現れてきます。ここでは、そんな変化について見ていきましょう。
行動の変化
猫が緊張しているとき、ストレスを感じているとき、不安がっているときのサインには、以下のようなものがあります。
- 早い速度で呼吸している
- しっぽを股の間に入れている、体にぴったり添わせている
- 頭をかがめてじっとしている
- 足を完全に曲げて縮こまっている
- うなる、悲しげにミャオと鳴く
- 全く動かない
- 目をカッと見開いて、黒目が大きくなっている
- 耳を完全にたたんでいる
- ヒゲを後ろに向けている
- しっぽを強くかんでいる
- トイレの失敗が増える
このような行動が見られたら、猫がストレスを感じている可能性があります。
他の猫とのケンカ中や来客があったときなどは原因がはっきりしているので過度に心配する必要はないでしょう。しかし、普段、何もないときにこれらの行動がよく見られるようであれば、周りに何かストレスの原因となるようなものがある可能性が高いと考えられます。
猫のボディーランゲージについては以下の記事でも詳しくまとめられていますので、併せてご覧ください。
脱毛が見られる
猫は不安を感じたときや怒られたときなどに、被毛をなめる習性があります。不安を感じている状態が長く続くと、過度なグルーミングによりからだの毛が抜け落ちてしまうことがあります。
この症状を心因性脱毛と呼び、前あしの外側やおなかに脱毛がよく見られます。ただ、脱毛の原因はさまざまで、病気の可能性もあるので、すぐにストレスのせいだとは判断せずに、まずはかかりつけの病院に相談してみましょう。
体調不良
人間の医学の分野では、ストレスが原因で発症する病気のことを「心身症」と呼びますが、猫でもこの心身症に近いものがあります。猫の心身症には、以下のようなものがあります。
- 突発性膀胱炎(FIC)
- 猫ウイルス性鼻気管炎
- ストレス性のおう吐や下痢
- 強迫神経症
これらの心身症が発現したときには、すでに猫は極限のストレス状態にあると考えられます。動物病院にかかったときにこれらの病気が見つかった場合は、早急に猫のストレスとなるようなものを取り除いていく必要があります。
ストレスの原因と対処法
ここまでのチェックで、猫がストレスを感じていることがわかったら、次にストレスの原因となる事象を特定し、それに対処していく必要があります。ここでは、そんな原因とその対処法について見ていきたいと思います。
猫どうしの相性
多頭飼いをしたときに猫どうしの相性が悪いと、非常に大きなストレスとなってしまう場合があります。
特に、年齢の離れた猫どうしを同居させたときに不仲が起こりやすいので、多頭飼いをする場合には注意しましょう。多頭飼いをする場合には、事前に相性チェックをするなど、なるべく慎重に決定したいところです。
相性が最悪で、どうしてもお互いが慣れてくれない場合、部屋を別々にして飼う必要が出てきます。
引っ越し
環境の大きな変化は、猫にとって大きなストレスです。自分の匂いのするものやいつも身を落ち着けていたスペースが突然消え、見るもの嗅ぐもの全てが変わってしまうからです。
引っ越しをしたときには、全て新調したいと思うものですが、できるだけ家具や猫グッズを変えずに、前の住居と同じ配置でそれらを置いてあげると良いでしょう。最初は体調の変化があるかもしれませんが、じきに落ち着いてくるはずです。
飼い主との関わり合い
長時間のお留守番は、飼い主さんのことが大好きな猫にとって大きなストレスです。それらのストレスは、家が荒らされていたりすることで表面化することが多いようです。
また、かまい過ぎも同じく猫のストレスです。一匹でいる時間を好むような猫とスキンシップを図る場合、猫が自分の元を立ち去ったらあとを追いかけずにそこで遊びを止めるようにしましょう。
なお、猫はおなかや肉球への接触を嫌がることが多いと言われています。気持ちがいいので触りたくなってしまうのもわかりますが、なるべく触らないようにしてあげましょう。
猫の住環境
最低限必要な住環境が整っていない場合にも、ストレスを感じることがあります。猫の住環境を整えるために重要なことは以下の点です。
- プライベートゾーンを用意してあげること
- 生活環境(特にトイレやキャットフードの食器)を清潔にすること
- 静かな空間にすること
- 猫自身の匂いのするものを部屋に配置すること
これらのうち、どれか一つが欠けているだけでも猫はストレスに感じてしまう場合があるので、このような住環境を整えるように心がけましょう。
来客の多さ
見知らぬ人が訪れるとサッと物かげに隠れてしまうような猫は、来客や他の動物がいることにもストレスを感じます。
そのような猫を飼っている場合、来客があったときは、あらかじめ猫を別室に避難させてあげるなどして対処してあげましょう。また、なるべく家の外で会うようにして、自宅には人を呼ばないようにするというのも手です。
栄養バランス
人間もそうですが、栄養バランスの悪い食生活は、体調に影響を与えることがあります。
キャットフードを購入するときは、なるべくタンパク質の配合が多いものを選んであげましょう。特に、成長期の子猫や若猫の場合、からだの発育にとって非常に重要な栄養素となります。栄養バランスの良い食事を心がけることで、ストレスが軽減され、体調が回復することもあります。
最後に
猫によって原因は大きく異なります。しかし、猫には環境の変化や騒音に敏感な反応をみせる子が多いようです。
一緒に生活していくのですから、飼い猫のことを十分に観察し、どんな物事が自分の猫のストレスになるのかをきちんと理解しておく必要があります。何が嫌いで、何に対して神経質に反応するのかということをよく把握しておき、日頃から猫に目立った行動の変化や異常がないかを観察するようにすることで、猫のいる生活がきっと充実したものになりますよ。