高齢猫の死亡原因となる病気のひとつでもある腎臓病。そのリスクは、7-8歳頃から急速に高まると言われています。何が原因で、どんな症状があり、どのような予防をすればいいかを知っておくことは猫を飼育する上でとても大切なことです。
突然、腎臓病と診断されて戸惑わないためにも、腎臓病について知り、少しでも長く愛猫と一緒に居られるように予防を心がけるようにしましょう。最後に日頃の生活の中で気をつけて欲しいポイントもまとめていますので、まだ若い猫を飼っている方は、こちらを参考にしてみてください。
この記事の目次
腎臓病とは
腎臓は体の毒素や老廃物の除去、水分の調節など、生命を維持し、体の環境を一定に保つ役割を担っています。
腎臓病は、そのような腎臓の機能が低下することで起こり、貧血やおう吐、脱水など、身体中にさまざまな問題を引き起こします。一度機能が失われた腎臓はほとんど回復することがないため、普段から腎臓に負担がかからない生活をすることが大切です。
なぜ猫は腎臓病にかかりやすいの?
では、なぜ猫は腎臓病にかかりやすいのでしょうか?
2016年の東京大学大学院での研究により、猫がもつAIM(マクロファージ細胞自然死阻害タンパク質)が十分に機能していないことが分かりました。そのため、腎臓に傷がついても修復されず、腎臓病にかかる可能性が高くなってしまうのです。(参考:http://first.lifesciencedb.jp/archives/12082)
それに加えて、腎臓を構成するネフロンの数が関係していると考えられています。ネフロンは、人間には両方の腎臓に約200万個ありますが、犬には約80万個、猫には約40万個しかありません。この数の違いが、より腎臓病を引き起こす可能性を高めているのです。
また、猫は7歳を超えると腎臓病にかかる確率が上がります。理由には諸説ありますが、ネフロンの数が加齢とともに減少していくためだと考えられています。健康な猫でも、年齢を重ねるごとに減少していき、全体の60%以上が壊れるか機能が低下すると腎臓病の症状が表れると言われています。
腎臓病にかかりやすい猫種
猫の中でも特に腎臓病にかかりやすいとされている猫種がこちらです。
- シャム
- アビシニアン
- ペルシャ
- ソマリ
- ロシアンブルー
- 三毛猫
もちろん、飼っている猫が上記に該当する・しないで、腎臓病にかかる・かからないと明確に区別されるわけではありません。あくまで参考程度に留めておくと良いでしょう。しかし、あらかじめ腎臓病にかかりやすい猫種だということを知っておくことが大切です。
腎臓病チェックリスト
腎臓病は症状がわかりにくい病気で、単なる加齢による症状だと勘違いしてしまうことも多いため、気付いた時には腎機能が7割以上も失われていることがあります。大切な愛猫が腎臓病にかかっていないか、些細な症状も見逃さないようにしたいですね。
まずは、以下のリストでチェックしてみましょう。
- 以前より水を何度も飲むようになった
- トイレの回数が増えた
- 1回のオシッコの量が増えた
- オシッコの色がうすくなった
- オシッコのにおいがしなくなった
- 毛並みが悪くなってきた
- 体重が減少してきた
もし該当する点がある場合は、かかりつけの獣医さんに診てもらいましょう。特に、水を飲む回数が増えたり、トイレの回数が増えたりした場合は、なるべく早く受診することをオススメします。
予防するには
猫の場合は、規則正しい食生活をしていても腎臓病にかかってしまうことがあります。
その可能性を少しでも減らすために、以下の点に気をつけましょう。
食事を気をつける
塩分や脂肪の多い食事は腎臓に負担をかけてしまうため、与えないようにしましょう。
また、タンパク質を分解してできる老廃物を体の外に出すのも腎臓の役割です。タンパク質の過剰摂取にも気をつけましょう。
トイレを清潔に保つ
猫はきれい好きな子が多く、トイレが気に入らないと排泄を我慢してしまうことがあります。
排泄を我慢することで腎臓に負担がかかりますので、トイレは常にきれいにしておきましょう。
ストレスを与えない
猫はストレスに弱く、体調に影響を与えます。
なるべくストレスを与えないよう、のんびりできる環境を整えてあげましょう。
年に一度は定期検診を
腎臓病はなかなか症状が表れにくく、違和感を感じた時にはすでに腎臓病は進行してしまっています。進行を遅らせるような治療方法も進歩してきていますが、一度ダメージを受けた腎臓は元には戻りません。
早期に発見するために、定期的に血液検査や尿検査をすることがとても大切です。
最後に
腎臓病は猫を飼う上で決して目を背けてはいけない病気です。原因や予防方法をしっかりと理解し、健康に良い食事やストレスをなるべく感じないような環境を整えてあげましょう。少しでも長く愛猫と一緒にいられるように、飼い主さんがしっかり気にかけてあげてください。