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ペットだけじゃない!家畜の動物福祉に世界が大注目

2020.09.22
ペットだけじゃない!家畜の動物福祉に世界が大注目

犬や猫などのペットの動物福祉は日本でも関心が高まっていますが、今、欧米を中心に家畜の動物福祉も大きな注目を集めています。みなさんが普段口にしている食肉の裏には、どのような現実が隠されているのでしょうか。

世界に遅れをとっている日本は、何を考え直さなければならないのでしょうか。

今回は、家畜の動物福祉をテーマに世界と日本の今を考えましょう。

この記事の目次

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日本の畜産業の動物福祉は遅れてる?

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国産のお肉と聞いて、何を思い浮かべるでしょうか。なんとなく、美味しく安全で清潔なイメージが浮かぶかもしれません。

では、家畜の動物福祉についてはどうでしょうか。

イメージが湧きにくいかもしれませんが、実は家畜の動物福祉に関して、日本は残念ながら「後進国」と言われています。

国際基準では・・・

OIE(世界動物保健機関)の陸生動物衛生規約(2004年に作成され、最新版は2019年版)では、基本原則として、次の5つの「自由」が掲げられました。

①飢えと渇きからの自由
②恐怖と苦痛からの自由
③寒暖の不快からの自由
④痛み、傷、病気からの自由
⑤正常な行動様式を発言する自由

OIEは、これらの家畜の「自由」を守るよう求めています。具体的には、動物が十分に動き回れる十分なスペースや清潔な環境を保つことや、動物が感じる痛みや恐怖を最小限にまで抑えた方法で飼育や屠殺を行うことが必要とされます。

日本政府はこの指針作りに携わりましたが、残念なことに、日本語訳は未だ正式には公表されていません。

欧米で進む畜産業の改善

主に欧米先進諸国では、家畜の動物福祉を推進する飼育方法や屠殺方法にシフトする動きが見られます。

例えば、鶏をケージにぎゅうぎゅう詰めにすることなく、自由に地べたを歩き、羽を広げられるように放し飼いをする「ケージフリー」方式をとることが、多くの企業、地域、さらには国レベルで宣言されています。

牛や豚などの他の家畜動物に関しても、OIEの指針に基づいて飼育・屠殺するよう、各国で法律の整備や監視の強化がなされています。

日本は動物福祉の後進国

各国で畜産業の動物福祉への取り組みが加速する中、日本は他国に遅れをとっています

実際、OIEや、動物愛護団体の国際NGO「ワールド・アニマル・プロテクション(WAP)」などによる動物福祉の視点からみた日本の畜産業の評価は、「先進国と比較するとかなり低いレベルである」という結果が出ました。

OIEの勧告を受け、2019年6月に改正された改正動物愛護法では、畜産業者に対し地方自治体などが動物愛護法の視点から指導をすることが努力義務として盛り込まれましたが、改善のスピードはかなり緩やかなのが現状です。

動物福祉に一歩前進した企業たち

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家畜の動物福祉に考慮した企業は、日本ではまだごく一部ですが、ここでは、アニマルライツセンターが公表した「アニマルウェルフェアアワード2020」に選ばれた企業をご紹介します。

イオン

プライベートブランドのケージフリー卵の販売を始め、今後、販売店舗を全国に増やしていく姿勢を示しました。

ラッシュジャパン

これまでもケージフリーの卵を選んでいましたが、2019年にはさらに、卵を全く使わない「エッグフリー」を宣言しました。他にも、動物実験を行わずに作られたもののみを販売する宣言もしています。

貞光食糧工業

日本で初めて、ガスで鶏の意識を失わせてから屠殺する「ガススタニング」という手法を導入しました。

ホライズンファームズ

日本で初めて、母豚をストールに閉じ込めない「ストールフリー宣言」を出しました。

日本では一般的に、母豚は一頭ずつ「ストール」に閉じ込められ、ほとんど身動きのできない状態で過ごさなければならず、その間強いストレス症状を示します。他国ではすでに規制がある国も多いですが、日本ではいまだにこの方法が主流です。

イケア

ホットドッグやミートボールなど、植物性たんぱく質を使った手に届きやすい価格の販売を増やしています。植物性ホットドッグ『ベジドッグ』は、COP24(気候変動枠組条約第24回締約国会議)でも提供されました。

世界で広がるヴィーガニズム

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ヴィーガンとは?

ヴィーガンとは、宗教や体質以外にも、動物福祉、環境保全、健康維持など様々な理由から、動物性の食べ物(肉、魚、卵、牛乳、蜂蜜など)を一切食べず、植物性の食べ物(野菜、果物、穀物、豆類など)から栄養を摂る人たちのことを言います。

なぜ今、ヴィーガンか?

今、世界のヴィーガン人口が爆発的に拡大しています。
Instagramでも、「#vegan」のタグを付けた投稿は1億件近くに達し、ヴィーガンが大きな注目を浴びていることがわかります。

1.動物愛護

近年、ペットの動物福祉については欧米を中心に関心が高まっていましたが、今度は家畜についても動物福祉を見直す動きが広まっています。

中でも多くの人に食肉について考え直すきっかけとなったのが、畜産業の裏側を映し出したいくつかのドキュメンタリー映画です。

ほとんど動き回れないほど狭い飼育場で育てられ、生きたまま痛めつけられて泣き叫ぶ悲惨な動物の姿を見て大きなショックを受け、「少なくとも自分はこの動物虐待に加担したくない」と思った人たちも多いようです。

2.環境保全

畜産業開拓のための大規模な森林破壊や、家畜の排せつ物などを合わせると、畜産業が排出する温室効果ガスは、世界中の全ての交通手段(飛行機、車、船、列車など)が排出する量とほぼ同レベルであるのが現状です。

さらに、世界中の陸地の実に26%が家畜の放牧地に使われている上、農地の75〜80%が家畜が食べる飼料の生産にあてられており、仮に畜産業をなくしたとしたら、現在の世界の人口の3倍もの人々の食事を賄えるようになるとの研究もあります。

環境保全が世界中で緊急かつ重大なトピックとなっている今、特に環境保全に意識の高い欧米を中心に畜産業の見直しが進んでいます。

3.健康維持

ヴィーガンは不健康だと思う方もいるかもしれませんが、実はヴィーガンにはダイエットや腸内環境改善効果のほか、ガンや糖尿病、心臓病などの疾患のリスクが下がるという研究も次々と発表されています。

ただし、ヴィーガンとひとくちに言っても、豆や穀物を食べない偏った食事をしたり、砂糖などを多く含む加工食品を食べ過ぎれば、健康には当然被害が及びます。一方偏食が体に悪いのは肉食でももちろん同じで、「ヴィーガンだから不健康」という理解は早とちりでしょう。

あの有名人もヴィーガン

ヴィーガンの有名人として、シンガーソングライターのアリアナ・グランデビリー・アイリッシュ、テニス選手のノバク・ジョコビッチのほか、タイタニックでヒロインを演じたケイト・ウィンスレットなどが知られています。

少し前までは、欧米においてもヴィーガンに対しては偏見が多かったようですが、有名人が次々にヴィーガンを宣言することで、ヴィーガンに関心を持つ人が増えたとも考えられます。

日本でも大人気のアリアナ・グランデは、記者に対し、「私、人間よりも動物の方が好きなの。冗談じゃないわ、本当よ。」と答えたそうです。そんな彼女は、日本の枝豆や豆腐、ひじきなどがお気に入りの食材だと明かしています。

まとめ

家畜 屠殺 動物福祉 食肉

今回は、ペットから少し離れ、家畜の動物福祉について、世界と日本の今を考えました。

家畜動物の境遇の改善だけにとどまらず、環境保全や健康への関心の高まりも相まって、世界中でヴィーガン人口が増え続け、ベルリンでは15%がヴィーガン、他のEU諸国でも若者を中心に国民の約10%がヴィーガンという時代になっています。

アメリカでも、ここ数年でヴィーガン人口が6倍に増え、欧米のレストランではヴィーガンメニューが当たり前のように提供されるようになっています。

ペットの飼育に関しても遅れを取る日本ですが、家畜に関してもそれは同様です。食肉の裏側に目を背け続けてきた日本は、まだまだ畜産業について海外諸国の事例から学ぶべきことが多いのではないでしょうか。

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