猫を飼うのであれば、猫という動物が持つ習性を理解しておく必要があります。
猫が何を考えているのか、猫はどのようなことを好むのか、猫の生活環境はどのようにセットアップするべきなのか、そして猫はそうやってしつけすればいいのかなどは、全て猫の習性からわかってくることだからです。
この記事では、猫を動物という観点から捉えて、その習性を紹介していきます。この記事は以下の記事の後編となっています。
この記事の目次
睡眠時間がとても長い
野生の猫は肉食動物なので、狩りをして食料を手に入れていました。
狩りのときには爆発的に体力を使い、獲物に全神経を集中するため、多大なエネルギーを消費します。
そのため、狩りをしない時はなるべく動かずに、エネルギーを消費しないようにしていたのです。
その理由としては、人に飼われるようになって狩りをする必要がなくなっても、眠って体力を温存するという習性だけは残っているので、猫はよく寝るという説が有力です。
猫の睡眠時間の大半は浅い眠りで、深く熟睡している時間は、ほんのひと時です。
飼い主さんのそばで安心してぐっすり寝ている猫を見ると、とても愛らしくて撫でたりしたくなってしまいますが、熟睡しているようであれば、貴重な深い睡眠の中にいるのかもしれません。気持ちはわかりますが、そっと寝かせておいてあげましょう。
爪研ぎと毛づくろい
日頃、猫を飼っているとよく見られる行動は、爪研ぎと毛づくろいではないでしょうか。それぞれの意味をご説明していきます。
爪研ぎ
爪研ぎには大きく分けて三つの意味があります。
- 古くなった爪を剥がす
- マーキングする
- ストレス解消
木製の家具やソファー、はたまた壁紙などで爪研ぎをされると、家の中がボロボロになってしまうので、できればやめさせたいという飼い主さんも多いかと思います。
しかし、爪研ぎをしないようにしつけてしまうと、発散できないストレスを溜めてしまうことも考えられます。
毛づくろい
爪研ぎ自体を無理にやめさせるよりは、爪研ぎボードを用意して、そこでのみ爪研ぎをさせるようにしつける方がいいでしょう。
また、毛づくろいにも二つの意味があります。
- 被毛の手入れ
- 体温調節
猫が毛づくろいをするのは、被毛がしっかりと機能するように保つためだけではなく、暑い時などに湿らせて気化熱で体温を下げているという場合もあります。
また、興奮を落ちつけたり、獲物から体臭を隠したりという役割もあるようです。
高いところに登る
猫が冷蔵庫の上に登ったり、キャットタワーの高いところから見下ろしていたりする様子や、段ボールや家具の隙間、カバンの中などに潜む様子は猫を飼っている人ならお馴染みのものかと思います。
猫が高いところを好むことについては、以下の三つの理由が考えられています。
- 外敵に襲われにくい
- 獲物を見つけやすい
- 他の猫に優位性を誇示する
高い場所は落ちるリスクよりもメリットの方が大きい場所と言えるようです。
しかし、子猫が高い場所に登っているようであれば、落ちそうになってはいないか、降りれなくなっていたりはしないかに注意してあげてください。
狭いところに潜り込む
狭い場所を好む理由には、二つの説があります。
- 手にした獲物を奪われないようにするため
- 大きな外敵に襲われないようにするため
これらの習性は、完全室内飼いとなって外敵がいなくなってもその名残が見られ、狭い場所に入っていると安心するようです。
水が苦手
猫は基本的に体毛や皮膚が濡れることを嫌います。
この特徴の理由は、猫の祖先が寒暖差の激しい砂漠出身で、ずぶ濡れになったまま寒い夜を迎えると水分が蒸発する時の気化熱で体温を奪われてしまい、命取りになったからだと言われています。
シャンプーをしようとした時に狂わんばかりの勢いで抵抗するのはそのためなのでしょう。
しかし、猫によっては水を全く怖がらずに好んでシャワーを浴びるような子もいるようです。
まとめ
習性を利用することによって、猫と友好的な関係を築くことができるだけでなく、飼い猫のしつけを怒ることなく行うことができます。
前編記事から後編記事にかけて、10個の猫の習性を紹介しましたが、猫ならではと言える習性は他にもたくさんあります。
基本的な性格は、猫自体の持つ習性や、猫種によるところが大きいとされていますが、やはり個体差やそれまでの環境によるところも大きいです。そのため、これらの習性を生かして、お互いにとって暮らしやすい家庭を築いていくためには、お飼いになっている猫の様子や好き嫌いを日頃から観察し、把握しておくことが最も重要なことと言えそうです。
猫の習性をよく理解することは、同じ室内で人間と猫がうまく共生するための秘訣となります。これらの基本知識をインプットして、暮らしやすい生活環境を整えていきたいですね。