【2019年改正動物愛護法】生後56日以前の販売を禁止する「8週齢規制」とは?

【2019年改正動物愛護法】生後56日以前の販売を禁止する「8週齢規制」とは?

2019年6月に議員立法の改正動物愛護法が成立したことにより、今まであやふやにされていた犬猫販売の「8週齢規制」が明確化されました。

今回は、犬猫の販売・展示を生後8週間(56日)まで禁止し、それまでは母親や兄弟の元で過ごさせるよう促す「8週齢規制」についてお伝えします。

この記事の目次

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これまではどうだったのか?

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子犬や子猫の方が売れやすい現状

現行の動物愛護法では、本則として「8週齢規制」が定められているものの、附則として7週齢(49日)を超えれば販売できるようになっています。

子犬や子猫は幼い方がより売れやすく、また幼いうちに売り出した方が飼育コストが抑えられるため、実際には多くの販売者が生後50日目から犬猫の販売を始めていました。

海外では一般的な8週齢規制

しかし、「7週齢では不十分、最低でも8週齢までは親元で過ごさせた方がよい」という数多くの学術調査から、海外にはすでに8週齢規制を導入している国も多く存在します。

こうした事実を受けて、日本でも消費者意識に変化が見られるようになり、今まで8週齢規制に反発してきたペット業界にも変化が見られるようになりした。

ペット販売大手も推奨

2019年1月、ペット販売業界大手のコジマは犬猫の販売について「8週齢以降を推奨する」と公表しました。コジマのような大手のペット販売業者が積極的に動き出したことは、動物愛護法改正への大きな一歩となりました。

なぜ「8週齢」なのか?

8
では、なぜ8週齢まで親元から引き離さないことが重要なのでしょうか?

社会化に重要な時期だから

動物は生後8週齢を迎えるまでに、母親の教育や兄弟とのじゃれ合いから、他の犬との接し方などを学ぶと言われています。

それよりも前に親や兄弟から引き離されてしまうと、噛み癖や無駄吠えの癖がついたり、他の犬に対して攻撃的になったりします。

このような過度な問題行動によって飼い主が手に負えなくなり、飼育放棄につながる可能性もあることが問題視されていました。

免疫を高めるため

7週齢ではまだ体力や免疫力が未熟であり、その段階で売り出されてしまうと大人になってからも感染症などにかかるリスクが高くなります。

そのため、8週齢までは親元で過ごさせ、その後発育の状態に合わせて販売をすることが重要なのです。

無責任な衝動買いを防ぐため

8週齢規制には、幼い子犬や子猫のかわいさに惹かれて、金銭的・時間的余裕や飼育の知識が不十分なまま衝動買いをしてしまうのを防ぐ、という目的もあります。

準備や環境が不十分・不適切なまま飼ってしまうと、飼い主がさまざまなトラブルに悩まされたり、飼育放棄をしてしまうおそれがあるからです。

「7週齢も8週齢もそんなに変わらないのでは?」と思うかもしれませんが、1年で大人になると言われている犬猫にとって、生後49日〜56日の7日間は人間の170日ほどにも相当し、心も体も大きく成長する重要な期間なのです。

日本犬は規制の対象外に?

日本犬

天然記念物の保存という理由

改正動物愛護法で定められた「8週齢規制」ですが、実は附則により日本犬6種を規制の適用対象外とする方向で進められています。

公益社団法人、日本犬保存会会長の岸信夫衆院議員と、秋田犬保存会会長の遠藤敬衆院議員が日本犬を規制の対象外とすることを求めると、「天然記念物の保存のため」という理由でこれが受け入れられたのです。

規制の対象外となるのは、文化財保護法に基づいて天然記念物に指定されている日本犬6種(柴犬、紀州犬、四国犬、甲斐犬、北海道犬、秋田犬)です。

署名活動も広がる

こうした動きに対し、「日本犬除外の附則は販売業者の利益を守る手段に過ぎない」、「天然記念物の保存が目的であればなおさら、感染症のリスク等を減らすためにも8週齢規制を導入すべきではないか」といった批判の声が動物愛護団体や多くの市民から相次ぎ、2年後の施行を前に附則の是正に向けた署名活動も続けられています。

インターネット上での署名活動も実施されていますので、気になる方はぜひ検索してみてください。

生き物を販売し、飼育する責任を

犬の幸せ

8週齢規制が意味すること

「8週齢規制」は、すでに本則で定められているものの、ペット産業の利益を考慮した結果、附則によって7週齢での販売も可能となっていましたが、今回の法改正により8週齢規制が厳格化されました。

労働搾取や環境問題の深刻化を受け、世界中で「会社は消費者、労働者、環境など会社に関わる全てのステークホルダーに対し責任を持つべきだ」という考えが広まっており、ペット販売業者のあり方の変遷についてもそうした観点から説明することが可能でしょう。

生体販売の責任と飼い主の責任

商売という特性上、販売者利益以外のことをおろそかにしがちなペット販売ですが、「生き物を販売する」点で他の商売とは大きく異なり、販売業者はその自覚と責任を持つことが求められます。

ペットも人間も暮らしやすい社会の実現には、法律の改正だけでは不十分で、販売業者や飼い主など個々人が「生き物を販売する」「生き物を飼育する」という自覚と責任を持たなければなりません。

その他の2019年改正動物愛護法は?

この度成立した改正動物愛護法には「8週齢規制」の他にも、マイクロチップ装着の義務化や虐待への厳罰化などさまざまな内容が盛り込まれています。

マイクロチップ装着の義務化については以下の記事で紹介しておりますのであわせてご覧ください。

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