一般的に、野良猫よりも飼い猫の方が平均寿命が長いと言われています。では、元野良猫の場合の寿命はどうなのでしょうか。
大切な家族だからこそ、元野良猫でも「健康に長生きして欲しい」と思いますよね。
今回は、野良猫出身の猫の寿命の長さや猫の寿命を伸ばすために気をつけることをご紹介します。
この記事の目次
元野良猫の寿命は短い?
結論から言うと、野良猫の寿命が短いからといって、元野良猫の寿命も短いとは限りません。
通常、元野良猫であっても、家の中で飼い始めると次第に健康状態が良くなっていきます。
実際に、17歳になっても元気に過ごしている元野良猫もいました。
筆者が飼っている元野良猫も、飼い始めた当初はヨボヨボでしたが、保護して1年近くになると毛艶も良くなり、まるで別の猫のように若返っていきました。
寿命は健康状態や住環境に左右されるため、飼い方次第で元野良猫の寿命も長くなるでしょう。
飼い猫・野良猫で寿命はどの程度違うのか
一般財団法人ペットフード協会「平成30年全国犬猫飼育実態調査」によると、飼い猫の平均寿命は15.32歳とされています。
また、野良猫の平均寿命については明確な調査結果はありませんが、各自治体や動物愛護団体などでは一般的に3〜5歳と言われています。
もちろん、猫の体質や周辺環境によっても異なりますから、数字はあくまで目安ですが、それでも飼い猫と野良猫では寿命がおおよそ10歳以上も違うことが分かります。
元野良猫の寿命を考える上で、まずは野良猫と飼い猫の寿命にこれだけの差が出る理由を考えてみましょう。
野良猫の寿命が短い理由
野良猫の寿命が短い理由として、次のような要因が考えられます。
- 交通事故
- 夏の暑さや冬の寒さ
- 縄張り争いなどのトラブル
- ケガや病気をしても治療できない
- 感染症
- 食料の確保が難しい
2019年に発表された論文によると、「屋外飼育の猫は、完全室内飼育の猫に比べ、病原体や寄生虫に感染する確率が3倍近く高い」ことが分かりました。
誰にも飼われずに外で暮らすことは、猫にとって簡単なことではありません。屋外飼いの猫は常に上記のような危険にさらされているからこそ、寿命も飼い猫より大幅に短くなってしまうのでしょう。
飼い猫の寿命が長い理由
裏を返せば、飼い猫は野良猫のように食料不足や交通事故などの危険にさらされることが少ないため、野良猫よりも長生きできるのです。
他にも、キャットフードの改良や獣医療の発展によっても猫の寿命が伸びています。
野良猫も飼い猫になれば寿命が長くなる?
以上のことから、元野良猫であっても、外の過酷な環境から安全な住環境に移り住み、毎日お腹いっぱいごはんを食べられるようになれば、健康状態も改善していくと考えられます。
筆者が元野良猫を保護した際も、猫のお腹の中には寄生虫、慢性的な便秘、ストレスによる脱毛、栄養失調など明らかに健康状態が良くありませんでした。しかし、動物病院で治療を受けたり、安全な環境で毎日十分な食事を与えるうちに、だんだんと健康になっていきました。
つまり、これからの過ごし方次第で、元野良猫でも長生きできるのではないでしょうか。
混血種と純血種でも寿命は違う
「家庭どうぶつ白書2017」の調査によると、混血種の方が主な純血種と比較して平均寿命が長いことが分かります。
これは、混血種の猫の方が純血種の猫よりも遺伝的疾患を持ちにくく、病気になりにくいためです。
混血種の平均寿命
- 混血猫:14.3歳
純血種の平均寿命
- スコティッシュ・フォールド:13.4歳
- アメリカン・ショートヘア:13.5歳
- マンチカン:11.2歳
「家庭どうぶつ白書2017」より
野良猫は雑種猫が多いため、元野良猫は病気になりにくい遺伝子を持っている可能性が高くなります。
元野良猫の寿命を伸ばすためにも、ご飯や生活環境など猫が過ごしやすいように、飼い主さんが気を配ってあげたいですね。
猫が長生きするためにできること
最後に、猫が長生きするために飼い主さんができることを3つご紹介します。
1.ストレスを減らしてあげる
ずっと外で自由に過ごしていた元野良猫にとって、室内は窮屈に感じてしまいます。
室内での生活に慣れるまでは、新しい生活にストレスを感じることも多いでしょう。
猫のストレスをできるだけ減らすため、飼い主さんは次のようなことをしてあげましょう。
- 適度に遊んであげる
- キャットタワーを準備する
- 家の中での活動範囲を増やす
適度な運動ができる環境を用意して、猫のストレスが溜まらないように配慮してあげてください。
2.栄養いっぱいの適切な食事
長生きのためには食べる物も気をつけなければいけません。そのため、猫に必要な栄養が整っている「総合栄養食」のキャットフードをあげるようにしましょう。
もし体調面で気になることがある場合は、獣医師さんと相談の上、サプリメントを使うこともおすすめです。
筆者が保護した元野良猫は口臭や便秘が酷かったため、乳酸菌サプリをあげて腸内環境を改善するようにしていました。
3.定期的に病院へ連れて行く
猫の健康維持のために、ワクチン接種や定期的な健康診断は欠かせません。
猫は体に異変があっても隠そうとする習性がある動物です。
成猫ならワクチン接種のついでに年に1回、高齢になったら年に2〜3回行くと良いでしょう。
まとめ
野良猫の寿命は飼い猫よりも短いとされていますが、それは、常に危険と隣り合わせの住環境に置かれているためです。
したがって、元野良猫であっても、少ないストレスでお腹いっぱいご飯を食べることができれば、長生きできる可能性は十分にあります。
ご飯や住環境を工夫することで猫の健康状態を良好に保ち、元気な愛猫と少しでも長く一緒に暮らしたいですね。