青や黄色など、猫の目はさまざまな色をしており、その美しさは多くの人を魅了しています。
そんな猫の目ですが、その色は同じ品種の中でも異なる場合があることをご存じですか?また、同じ猫でも成長するにつれて、その目の色が変化することがあり、その原因が病気である可能性もあります。
今回は、猫の目の色に隠された秘密について解説します。
この記事の目次
猫の目の色はメラニン色素の量で変化する!?
青や黄色、緑などさまざまな色をしている猫の目ですが、その色を決定づけているのはメラニン色素の量です。
メラニン色素とは、肌や毛髪、瞳などの色を作る色素で、猫だけでなく人間や犬などの動物はもちろん、植物にも含まれています。人間の肌のシミや白髪も、このメラニン色素の増減が影響しています。
猫の目においても、このメラニン色素の量で色が変わってきます。具体的には、メラニン色素の量が少ないと青色や緑色、多いと黄色や橙色へと変化します。
メラニン色素の量による目の色の違い
以下は、数字が小さいほどメラニン色素が少なく、数字が大きいほどメラニン色素が多いことを表しています。
①ブルー
②アクア
③グリーン
④ヘーゼル
⑤イエロー
⑥ゴールド
⑦オレンジ
⑧カッパー
キトンブルー
子猫の目の色は澄んだ青色をしており、キトンブルーと呼ばれます。「キトン」には子猫(kitten)という意味がある通り、キトンブルーは生後1,2ヶ月の子猫だけに見られる目の色です。
キトンブルーもメラニン色素の量が大きく関わっています。子猫の目にはメラニン色素が十分に沈着していません。光が通った際、波長の長い赤色や橙色の光は吸収され、波長が短い青色や紫色を散乱させるため青く見えます。
この現象は「レイリー散乱」と呼ばれ、空や海が青く見えるのも同様の現象によるものです。
子猫が成長するにつれて、目の中のメラニン色素が徐々に沈着し始め、生後2ヶ月ごろまでには子猫本来の目の色に変化します。
オッドアイ
稀に左右で目の色が異なる猫がいます。これは「虹彩異色症」という症状で、一般的には「オッドアイ」という名称として知られています。
猫のオッドアイには、淡いブルーとゴールドもしくはイエローの組み合わせが多いと言われています。日本ではその希少性や美しさから「金目銀目(きんめぎんめ)」と呼ばれ、昔から幸運を呼ぶ縁起の良いものだと考えられてきました。
オッドアイは特に白猫によく見られ、1/4の白猫がオッドアイになるとされています。これは、白猫が持つ優性遺伝子の「白色遺伝子」が関係しており、メラニン色素の働きを抑制していることが原因です。
その結果、子猫のキトンブルーと同じように目のメラニン色素が欠乏した淡い青色の目になるのですが、この色素異常が片目にしか表れなかった場合、オッドアイとなります。
聴覚障害が起こりやすい?
オッドアイの猫は聴覚障害になりやすいと聞いたことがある人もいるかもしれませんが、正確には「毛色が白く、目が青い猫」に聴覚障害が出ることがあります。
原因ははっきりわかっていませんが、白色遺伝子が猫の聴覚にも影響を及ぼすと考えられています。毛色が白く青い目をもつ猫の60〜80%は聴覚障害が出るとされ、白毛のオッドアイの猫はその半分程度の確率で聴覚障害が起こるようです。
そのため、オッドアイの子は、青い目の方だけ聴覚障害が起こりやすいとされています。
アルビノ
アルビノは「色素欠乏症」とも呼ばれ、突然変異により生まれつきメラニンが欠乏している個体を指します。
白色遺伝子でメラニン色素の働きを抑制している白猫とは異なり、アルビノの猫は毛色こそ白いものの、そもそも色素を持っていません。
「アルビノホワイト」とも呼ばれるアルビノの猫の目には色素が全くないため、血管が透けて赤色に見えることが特徴です。
もし、目が赤色ではなく、青や黄色、緑などであればアルビノではない白猫だといえます。
病気でも目の色が変わる
猫の目の色はメラニン色素の量によって左右されますが、実は病気によっても色が変化する場合があります。目の色の変化に着目することで病気の早期発見につながるため、日頃から観察するようにしましょう。
ここでは、目の色に変化が起こる代表的な病気をご紹介します。
白内障
【症状】
・水晶体が白く濁り、視力低下などの視覚異常をもたらす。
【原因】
・先天的な遺伝や、後天的な目の外傷、異物による水晶体の損傷
【目の色の変化】
・水晶体が濁った白色に変化する。
ブドウ膜炎
【症状】
・「虹彩」や「毛様体」、「脈絡膜」の総称である「ブドウ膜」に炎症が起きる。
【原因】
・ウイルスや細菌による感染症、水晶体の疾患、外傷など
【目の色の変化】
・充血で目が赤色に変化する。
角膜分離症
【症状】
・角膜に黒色や琥珀色の沈着が起こり、壊死、脱落する。
【目の色の変化】
・ヘルペスウイルスへの感染や角膜の損傷、遺伝的要因など
【備考】
・角膜が黒色、琥珀色に変化する。
緑内障
【症状】
眼圧が上昇することで網膜の機能低下を引き起こし、最終的には失明に至る。
【原因】
ぶどう膜炎や白内障、外傷や眼内出血など
【目の色の変化】
眼球が大きく見え、角膜が緑色に変化する。
メラノーマ(悪性黒色腫)
【症状】
ブドウ膜のメラニン細胞が腫瘍化し、出血や潰瘍を引き起こす。
【原因】
原因ははっきりしていないが、外傷や紫外線、遺伝的要因などとされている。
【目の色の変化】
虹彩に黒色の腫瘍が発生する。
まとめ
今回は、猫の目の色について解説しました。
色鮮やかで美しい猫の目ですが、メラニン色素の量によって青や黄色、緑などに大きく変化します。また、オッドアイやアルビノといった特殊な色もあるため、飼い主さんはぜひ、愛猫の目の色が何色なのか見てみてください。
キトンブルーは成長によってその色を変化させますが、病気によっても目の色が変わるケースがあります。濁った白や黒などに変化していたら、目に異常が起きている可能性があるため、すぐに動物病院を受診しましょう。