【獣医師監修】ラブラドールレトリーバーの好発疾患と健康チェック

2024.07.30
【獣医師監修】ラブラドールレトリーバーの好発疾患と健康チェック

ラブラドールレトリーバーは、盲導犬としても活躍が見られる賢い犬種です。人間が大好きで、飼い主に従順なことも特徴として挙げられます。

今回は、ラブラドールレトリーバーのかかりやすい病気と、それを踏まえた予防や健康チェックの方法をご紹介します。ラブラドールレトリーバーを飼っている方も、これから飼おうと思っている方もぜひご一読ください。

この記事の目次

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ラブラドールレトリーバーの基本情報

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歴史

ラブラドールレトリーバーは、カナダ東部に位置するニューファンドランド島にいた「セントジョーンズレトリーバー」が祖先と考えられています。水中での作業が得意だったため、魚を回収する使役犬として活躍していました。

その後、能力の高さからイギリスに持ち込まれ、他のレトリバーと交配が行われて現在の姿になりました。

身体的特徴

体高は56〜57cm程度、体重は30~36kgで、大型犬に分類されます。

毛色はブラック、イエロー、チョコレートの3種類が公認されています。ダブルコートのため、抜け毛は多く、普段からのブラッシングが大切です。

性格

盲導犬としても活躍するラブラドールレトリーバーは、穏やかで、人に喜ばれることが大好きです。人懐っこいため番犬には向きませんが、飼い主には従順で賢く、自分で判断して行動することもできます。

一方で、うれしくなると興奮しすぎて、コントロールが効かなくなってしまうこともあります。大型犬ゆえ、攻撃性はなくとも他の犬や人に飛びかかるとケガをさせてしまうこともありますので注意しましょう。

ラブラドールレトリーバーの好発疾患

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ラブラドールレトリーバーはどんな病気にかかりやすいかを理解し、その兆候を見逃さないことが重要です。ここでは、ラブラドールレトリーバーの好発疾患について解説します。

拡張型心筋症

【症状】
運動不耐性(疲れやすい)、胸水貯留、腹水貯留、呼吸困難など
【原因】
遺伝の関与、L-カルニチンやタウリンの欠乏などが関与している。
【備考】
心腔の顕著な拡大と収縮力の低下が特徴的。心臓から血液を送り出す力が弱くなり、全身の循環量が低下する。さらに心臓が収縮した後に心臓内の血液が空にならず、少しずつ溜まっていき、それが胸腔や腹腔に漏れ出て胸水や腹水となる。

股関節形成不全

【症状】
腰を左右に振った独特の歩き方(モンローウォーク)、うさぎ跳びのような歩き方、疼痛など
【原因】
遺伝が関与。過剰な栄養と過剰な運動によって発症が増加する。
【備考】
関節のゆるみが長期間持続すると関節炎を併発する。子犬の時期にレントゲン撮影を行い、早期に診断する必要がある。

肥満細胞腫

【症状】
皮膚のしこり、嘔吐、下痢、痒みなど
【原因】
遺伝的要素が関与していると考えられている。
【備考】
肥満細胞は免疫に関与する細胞で、ヒスタミンなどを含有する。患部をいじったりすることでこのヒスタミンが分泌され、痒みや消化器症状が引き起こされる。肥満とは付くが、太っているから発生しやすいということはない

白内障

【症状】
水晶体の白濁、視力の低下、失明など
【原因】
ラブラドールレトリーバーでは先天性の白内障が報告されている。糖尿病や高コレステロールもリスク要因となる。また、緑内障、網膜剥離、ぶどう膜炎に続発することもある。
【備考】
出生時に見られるもの、生後6カ月齢まで、生後6ヵ月~1歳齢まで、1歳齢~3歳齢に見られるものに分類される。

進行性網膜萎縮

【症状】
夜盲、視覚消失、失明
【原因】
出生時には正常だが、数ヵ月を経て光を感じる細胞の傷害が起こる。
【備考】
夜盲症は初期症状である。

脂漏性皮膚炎

【症状】
過剰なフケ、タコ、ニキビのようなものが幼齢時から認められる。多くは2歳齢までに発症し、加齢とともに悪化する。
【原因】
先天的に表皮や脂腺の細胞増殖が速い、ターンオーバーが短いなど。
【備考】
好発部位は首、腋窩(ワキの下)、鼠径部、外耳。細菌や酵母の二次感染が起こると痒み、脱毛、炎症、悪臭を伴う。

病気の予防と健康チェック

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愛犬が長く元気でいられるためには、普段からの予防や健康チェックが重要です。
ラブラドールレトリーバーという犬種の一般的な性格を考慮した上で、どんな点に注意したらいいかをご紹介します。

十分なスキンシップをとる

ラブラドールレトリーバーは人間が大好きなので、構ってあげることでストレスが発散されます。時間をとってしっかりと遊んであげましょう。

大型犬は暇になると手や足を舐めるクセがある子が多いと言われています。肢端の舐めすぎは舐性皮膚炎の原因となるので、留守番のときも愛犬を飽きさせない工夫が必要かもしれません。

それが難しければ、帰宅後に愛情表現を忘れないようにしましょう。

肥満に注意

ラブラドールレトリーバーは太りやすい犬種です。
肥満は、ただでさえ重い体重を支えている大型犬にとって骨関節にさらに負担をかけるため、生まれつき股関節に不安がある子にとっても大きな問題です。

また、糖尿病などの病気のリスク要因にもなるので、食事管理などでしっかり体重のケアをしましょう。

皮膚の状態をチェック

ラブラドールレトリーバーは、皮膚肥満細胞腫や組織球肉腫などの皮膚腫瘍や皮膚炎など、皮膚の病気が多い犬種です。
スキンシップの際には以下の点をチェックしましょう。

  • 皮膚に赤みがないか
  • なでた時に痒がっていないか
  • 脱毛がないか
  • しこりみたいなものがないか
  • しこりがあるなら大きくなっていないか

子犬期にはレントゲンも

大型犬は、成長期にレントゲンを撮影し、股関節形成不全がないかをチェックした方がいいでしょう。レントゲン検査は麻酔の必要もなく、短時間で終わるため愛犬の負担も少なくて済みます。

また、子犬の時期に放射線を浴びることを心配される方も多くいますが、全く問題ありません。むしろ検査をせずに、関節疾患を見逃すことの方がリスクは高いと言えます。

まとめ

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病気の治療には早期発見と早期治療が重要です。犬は言葉が話せないので自分の不調を訴えることができませんが、愛犬の健康状態を毎日チェックすることで、いち早く異常に気づけるでしょう。

ラブラドールレトリーバーは飼い主と遊ぶことが大好きです。その想いに応えてあげ、愛犬との生活をより豊かなものにできるといいですね。

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