猫の耳からくさいにおいがしたり、耳垢が出たりしていることがあれば、猫は「外耳炎」にかかっている可能性があります。
外耳炎は猫にとって珍しい病気ではありませんが、早期に治療しないと痛みが強くなり、治りが遅くなってしまう恐れがあります。
今回の記事では、猫の外耳炎について、原因や症状、治療方法や予防方法についてご紹介します。
この記事の目次
外耳炎とは?
耳は、外側から「外耳」「中耳」「内耳」の大きく3つに分けられますが、「外耳」に炎症が起こっている状態が外耳炎です。
「外耳」は、耳介から外耳道にかけての部分で、外耳道の一番奥に鼓膜が張っています。一般的に言う「耳の穴」をイメージするとわかりやすいでしょう。
炎症が起こる原因は後ほど詳しく解説しますが、細菌や寄生虫、アレルギーなどが主な原因とされます。
猫の外耳炎の症状
猫に次のような症状が見られたら、外耳炎を疑いましょう。
- 耳垢の量が増える
- 耳の匂いが臭い
- 耳が赤く腫れる、湿疹ができている
- 耳をかゆがる
- 耳を床にこすりつける、頭を振る動作が増える
症状が進行すると、痛みが強くなって耳を触られることを嫌がったり、耳が腫れて穴が塞がったり、膿が出てきたりするようになります。
また、外耳からその奥の中耳や内耳にかけても炎症が広がることで、中耳炎、内耳炎を併発することもあります。
外耳炎の原因
菌の感染
通常は耳に存在しない細菌に感染して外耳炎になることもありますが、ブドウ球菌という細菌や、マラセチアという真菌(カビ)など、正常な耳道にも存在する菌が、増殖しすぎることが原因となる場合が多いです。
特に、怪我をしていたり、耳の中の湿り気が多い場合に感染しやすくなります。時期としては、湿度が高くなる梅雨時期に悪化しやすいです。
【耳垢の特徴】
細菌感染による場合は、黄色い耳垢やドロッとした耳垢。
真菌感染による場合は、茶色い耳垢。
いずれも匂いがきつい。
寄生虫による感染
耳の中に、「耳ダニ」や「耳ヒゼンダニ」などの寄生虫がいることもあります。
特に、ペットショップから迎え入れたばかりの猫や、元野良猫などに多いです。
【耳垢の特徴】
黒っぽくパサパサした耳垢が大量に出る。
アレルギー
アレルギーが出やすい体質だと、外耳炎になりやすいです。食物アレルギーの症状が外耳に出ることもあります。
【耳垢の特徴】
耳垢が多くなる場合とならない場合があるが、耳を痒がる仕草がサインとなる。
異物
植物の小さな種などが耳の中に入って、耳道を刺激してしまうことでも炎症がおきます。
【耳垢の特徴】
耳垢が多くなる場合とならない場合があるが、耳を痒がる仕草がサインとなる。
猫の外耳炎の治療
外耳炎を起こしてしまったら、様子を見るのではなく、できるだけ早く治療をすることが重要です。
初期段階であれば、すぐに症状が落ち着くことが多いです。
具体的にどのような治療をするのか見ていきましょう。
まずは耳道内を洗浄する
動物病院で外耳炎が診断されると、まずは耳道に溜まった耳垢や細菌などを洗浄します。
炎症がひどい場合は一度で全ての汚れを取り除くことが困難なので、猫の様子を見ながら無理のない範囲で洗浄し、数日間薬を飲むなどして腫れが引いてから洗浄を進めることもあります。
点耳薬と駆虫薬
耳道を洗浄して一時的に綺麗になったように見えても、細菌や真菌、寄生虫は残ってしまい、放置すれば再び増殖してしまいます。
それを防ぐため、抗生剤や抗真菌剤などを耳に投与します。点耳薬は動物病院だけでなく、自宅でも投薬をするよう指導されることもあります。
また、ミミダニが寄生していることが分かれば、駆虫薬を投与します。
アレルギーの治療
外耳炎の原因がアレルギーの場合は、アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を除去することが必要です。
まずはアレルギー検査を行い、アレルゲンを特定できたら、食事内容の改善やノミの駆除、ハウスダスト対策などを行います。
それでも症状の改善が見られなければ、ステロイド剤での症状緩和や、徐々にアレルゲンに慣らす「減感作療法」を検討することもあります。
耳血腫の治療
外耳炎が原因で、耳に血腫ができる「耳血腫」を引き起こすことがあります。
その場合は、耳介に注射針をさして溜まった血を抜いたり、切開して排出したりします。
【外耳炎の治療期間】
外耳炎の治療期間は、原因や症状の程度によって異なります。
軽度であれば、動物病院での洗浄や自宅での点耳薬の投与などで、1週間から2週間程度で落ち着きます。
慢性的な外耳炎やミミダニが原因の外耳炎では、治療が数ヶ月〜数年、場合によっては一生治療を継続することもあります。
猫の外耳炎の予防
猫の耳のお手入れは、通常は毎日する必要あはりませんが、定期的にチェック・清掃をしないと、どの猫でも外耳炎を発症する可能性があります。
日頃から、猫の耳の状態を観察し、清潔を保つようにしましょう。
耳のチェック
猫の耳の健康チェックでは、次のような点に注意してみましょう。
- 耳からくさいにおいがしないか
- 赤みがないか
- 耳垢がたくさん出ていないか
猫が屋外から帰ってきたら
屋外に行くことのある猫では、雨に濡れた状態から外耳炎を発症しやすくなったり、植物の種子などの異物が外耳炎の原因となったりします。
猫が屋外から帰ってきたら、耳が濡れていたり、異物がついていないか確認するようにしましょう。
猫の耳のお手入れ方法
特に気になる症状がない場合はお手入れをする必要はありませんが、少しの汚れであれば、コットンなどの柔らかいもので耳の入り口をそっと拭き取りましょう。
綿棒などで強めに掃除をしたり、耳の奥まで掃除をしたりすると傷をつけてしまう恐れがあるので、自宅では行わないようにしましょう。
まとめ
猫の外耳炎は、決して珍しい病気ではありません。
原因は様々ですが、日頃から耳の状態をチェックして、異常があればすぐに動物病院に連れて行くことで、症状が軽いうちに治療をすることができます。
猫の健康のために、外耳炎の予防と早期発見に努めましょう。