猫に舐められるとザラザラしていて、気持ちいいと感じたり、少し痛いなと感じることもありますよね。猫を飼っている人にとっては当たり前に感じることかもしれませんが、猫の舌はなぜザラザラしているのかご存知でしょうか?
この記事では、猫の舌がザラザラしている理由と、色からわかる猫の舌の健康チェックについて解説していきます。
この記事の目次
猫の舌の構造
猫の舌には「糸状乳頭」と呼ばれるたくさんの突起があり、この突起が喉に向かってずっしり生えているため、猫の舌がザラザラしているように感じます。
生後間もない子猫には糸状乳頭はありませんが、離乳食を食べ始める頃になると徐々にできてきます。
ちなみに、糸状乳頭には味を感じる味蕾はありません。
猫の味覚は?
味蕾の数は、人間が約1万個、犬が約2000個なのに対し、猫は1000個以下とされています。そのため猫は味覚があまり発達しておらず、酸味と苦味には敏感ですが、塩味には鈍感です。これは、肉食動物である猫が、腐った肉を食べてしまわないようにするためだと考えられます。
また、猫には甘みを感じる受容体がないことがわかっています。
猫の舌がザラザラしている3つの理由
では、一体なぜ猫の舌がザラザラしているのでしょうか?理由はいくつか考えられます。
肉を削ぎ落とす
猫の祖先であるリビアヤマネコは狩りによって獲物を確保していました。食べやすい部分は噛みちぎって食べられますが、骨に残った肉片はうまく食べられません。そこで、ザラザラの舌で舐めとることで、ヤスリの役割を果たし、余すところなくきれいに削ぎ取ることができます。
毛づくろい
猫の舌のザラザラは毛づくろいの際に、汚れや抜け毛を落とすブラシとしての役割があります。
さらに、猫は狩りの際に獲物に自分の存在を気づかれないように、ニオイを舐め落としています。その際に、ザラザラがあることで唾液を皮膚に行き渡らせ、効率よくニオイを落とすことができます。
毛球症に注意
猫は抜けた被毛を飲み込んでしまいます。通常であれば、吐き出したり、うんちとして体内から排出されますが、毛が胃や腸に溜まると「毛球症」になってしまうことがあります。
ひどい場合は外科手術が必要になることもありますので、猫が飲み込む毛の量を減らすためにも、ブラッシングは定期的に行いましょう。
猫同士のコミュニケーション
猫はお互いに舐め合い毛づくろいをすることでコミュニケーションを取っています。
これは「アログルーミング」と呼ばれており、自分では舐められない場所をお互いにザラザラした舌で舐めることで、信頼関係を築いています。
色でわかる猫の舌の健康チェック!
健康な猫の舌はピンク色をしていますが、いつもと違う色をしている場合は病気の可能性があります。口元を気にする素振りを見せたり、場合によっては食事がうまくできなくなってしまうこともありますので、猫の舌に違和感があれば動物病院を受診しましょう。
舌が赤い
腫れやただれが見られ、口内炎や口内潰瘍、口腔がんの可能性が考えられます。舌だけでなく、歯茎なども赤く腫れ、口臭がすることもあります。
猫の口内炎はウイルス感染によるものも多いため、ワクチンを接種して事前に対策をしましょう。
舌が白い
貧血の恐れがあります。また、口内炎や口内腫瘍が疑われることもあります。
舌に黒い斑点がある
通常のホクロであれば問題ありませんが、急に大きくなったり硬く隆起してきたりする場合は、メラノーマ(悪性黒色腫)の可能性もあります。
生まれつき舌に黒い斑点をもつ子もいるため、もともと黒いのか、気づいたら黒くなっていたのかをしっかり判断する必要があります。
猫が舌をしまい忘れているのはなぜ?
猫を飼っている方なら、猫の舌が少しだけ出しっぱなしになっている様子を見たことがあるという方も多いかもしれません。
この出しっぱなしの舌は猫がリラックスしている証拠です。野生時代の猫は、いつ敵に襲われるかわからず常に気を張っていたため、舌が出しっぱなしになることはありませんでした。しかし、人と一緒に暮らすようになるうちに気を張る必要がなく、舌が出てしまっていると考えられます。
一方で、何らかの原因で口呼吸しかできなくなってしまったせいで、舌が出ている可能性もあります。よだれが出ていたり、いつもと違う様子が見られたら、動物病院で相談してください。
まとめ
普段の生活ではあまり気にならない猫の舌のザラザラですが、ザラザラしている理由はいくつかありました。
猫の舌が赤く腫れていたり、白くなっていたりする場合は、口内炎や口腔がん、貧血なども考えられます。猫の舌を見る機会はあまりないかもしれませんが、悪化すると食事ができなくなってしまう可能性もありますので、スキンシップやエサを与える際に定期的に確認しましょう。
また、猫が舌を出しっぱなしなのは、安心しリラックスしている証拠だと考えられます。ただし、病気の可能性もゼロではありませんので、様子がおかしいようであれば動物病院を受診してくださいね。