猫も年を取ると、老化により少しずつ体の生理機能が衰えてきます。愛猫がシニア期を元気に過ごし、長生きするためにも飼い主さんは早めにサインに気付くことが大切です。
今回は猫の老化サインやケアのコツを解説します。
この記事の目次
7歳を過ぎたら注意「猫は人の5倍の早さで年を取る」
猫が7歳になったら、個体差はあるもののそろそろシニアの仲間入りです。猫の7歳は人の44歳ごろに相当します。(参考:獣医師広報版)
44歳といえば、生活習慣病などが気になり始める人が増える年頃です。実際、厚生労働省は40歳から生活習慣病予防のために特定健診や特定保健指導をすすめています。(参考:厚生労働省「特定健診・特定保健指導」)
猫も7歳になるころから飼い主さんが体のケアをし、老化に合わせてサポートをする必要があります。猫は人のおよそ5倍の早さで年を取ります。人間にとってはほんの数か月が、猫にとっては年単位です。「うちの子はまだ若い」と思い込まず、よく観察して年齢に合った過ごし方をしましょう。
健康診断を若いうちから定期的に受ける
猫の健康管理に欠かせないのが、健康診断です。定期的に受けましょう。
猫が健康診断を受けるメリット
獣医師による診断を受けると、病気など体の変化にいち早く気づけます。定期的な健康診断は、病気の早期発見早期治療ができる点が大きなメリットです。早期治療は、猫の負担も少なく、治療費の負担も減らせます。
7歳を過ぎたら2回以上の受診がおすすめ
若いうちは1年に一度でも、7歳を過ぎたら最低でも半年に一度程度の受診をおすすめします。
猫にとっての1年は人の数年に該当するので、なるべく短いサイクルで受診をすると安心です。もしも1年受けないでいると、5年近く健康チェックを放置したことと同じになってしまいます。かかりつけの動物病院とよく相談してください。
若いうちは健康診断を受ける習慣がなかった猫も、今から受診するようにしましょう。
シニアになったサインを見逃さない
猫の老化の始まりは、ちょっとした行動や反応に現れます。普段からよく観察し、飼い主さんが早めに見つけてあげましょう。早めに気付いてケアをすることで、猫が快適に暮らせます。
食べ方や食欲
食欲は、健康チェックのバロメーターです。まったく食べないときは、すぐに動物病院を受診してください。
途中で食べるのをやめる場合は、首などに痛みがあり、下を向いて食べるのが苦痛になっている可能性があります。高さのあるフードボウルに変えるなど配慮が必要です。
食欲はあるものの、ポロポロこぼすようになったら、歯周病などが進行しているかもしれません。一方、急に食欲が増進した場合、元気そうに見えても甲状腺機能亢進症など病気の恐れもあります。
排泄
尿量が増えていないか、こまめにチェックしましょう。猫は高齢になるに従って、慢性腎臓病のリスクが増します。同時に、水分摂取も確認しましょう。
尿量が増えて水をがぶ飲みする場合、慢性腎臓病が進行している恐れがあります。無症状でも、慢性腎臓病が進行するケースもあるので注意が必要です。
膀胱炎などのリスクも加齢とともに高くなります。何度もおしっこをしていないか、排泄のたびに痛がっていないかも確認しましょう。
運動
運動量が減っていないかチェックします。高齢になると、関節に痛みを生じる猫が増えてきます。以前は平気だったのにキャットタワーにのぼらない、おもちゃで遊ばないなど変化がでてきたら、体のどこかに痛みを感じているかもしれません。
体重の変化
週に一回は、体重測定をします。シニア期にかかりやすい病気によっては、体重が減る場合も。例えば、甲状腺機能亢進症の猫はたくさん食べているのに体重が減少気味になります。肥満も心臓病や関節炎などを悪化させる原因です。
自宅で測定する際は、飼い主さんが猫を抱いて体重計に乗った計測値から、飼い主さんの体重を引いて猫の体重を記録しておきます。
被毛や皮膚、爪
徐々に被毛のつやが減り、皮膚は弾力が失われていきます。爪はもろく、太くなっていくのが特徴です。猫自身、被毛の手入れや爪とぎをしなくなるのも老化のサインです。腫瘍もできやすくなるため、皮膚の状態は、毎日手で触れて確認します。
聴覚
呼んでも反応しない場合は、加齢により聴覚が衰えているのかもしれません。耳が遠くなった猫は、不安を覚えやすく大声で鳴くことがあります。
行動や性格の変化
おだやかだったのに怒りやすくなった、やたらと甘えるようになったなどもシニアの猫によく見られます。昼間は寝てばかりで、夜になると騒ぐなど睡眠サイクルが変わっていくこともあります。
老化だと思いこまないことも大切
猫の変化に気づいたら、まずは動物病院を受診しましょう。
老化だと思っていた変化が、病気が原因の場合もあります。年を取ったからだと思いこまず、必ず受診してください。
まとめ
猫は人間の約5倍の早さで年を取るため、7歳は人の44歳くらいに相当します。7歳を過ぎたら食欲や排泄、運動量などに変化がないかをこまめに確認してください。老化だけではなく、病気が原因のケースもあるので、いつもと違うと感じたらすぐに受診しましょう。
健康状態を確認するために、最低でも半年に一度は動物病院で健康診断を受けることも大切です。大切な愛猫が元気にシニア期を過ごすためにも、飼い主さんは老化のサインを見逃さないようにしましょう。