キャットフードのパッケージには、適した年齢やライフステージが表示されているものもありますが、キャットフードも年齢に合わせて変えていったほうがいいのか、悩んでいる飼い主さんもいるのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、年齢に合ったキャットフードを与えることをおすすめします。これは、猫の年齢やライフステージによって、必要なカロリーや栄養素が異なるためです。
この記事では、猫の年齢やライフステージに合わせたキャットフードの上手な選び方を解説します。
この記事の目次
猫も年齢ごとにキャットフードを変える
猫の健康を維持するためにも、年齢やライフステージに合わせてキャットフードを変えていきましょう。どの年齢、どのライフステージでも「きちんと栄養が摂れているか」「健康が維持できているか」を確認するために、動物病院で健康診断を受けることも重要です。
猫のライフステージと年齢の目安
猫のライフステージは次のように分けられます。メインクーンなどの大型猫等は当てはまらない場合もあるので、かかりつけの動物病院に相談してください。
【繁殖・授乳期】
【哺乳期】生後2~3週齢
【離乳期】生後7~8週齢
【成長期】生後8週齢~12カ月
【維持期】生後12か月~7歳ごろ
【高齢期】7歳~
ライフステージごとの必要なカロリーや栄養バランス
猫の年齢やライフステージによって、必要とするカロリーや栄養バランスは異なります。それぞれのライフステージ期の特徴を知り、適切な栄養を与えるようにしましょう。
●妊娠・授乳期、子猫
成長著しい子猫や妊娠・授乳期の母猫は、多くのカロリーを必要とします。子猫の細胞や組織の成長を促し、体の基盤を作る時期です。
栄養面では、たんぱく質や脂質、ビタミン、ミネラルなどを大人の猫より多く必要とします。子猫用フードは、未熟な消化器官に配慮して消化しやすくなっている点も特徴です。
●維持期
12ケ月頃になると、猫の成長は落ち着き成猫になります。今度は健康を維持していくためのカロリーや栄養素が必要です。避妊去勢手術をした猫は太りやすくなる傾向があるため、肥満に注意します。
●高齢期
猫も高齢になると、活動量が減っていくため高齢猫用フードは低カロリーになります。関節の痛みなどに配慮したフードや腎臓、心臓をケアするフードなどが主流です。
猫の高齢期間は長くなっています。一般社団法人ペットフード協会が行った2022年の調査によると、外に出さない猫の寿命は16.02歳でした。7歳からが高齢と考えるので、ほぼ10年が高齢期になります。
参考:2022年(令和4年)全国犬猫飼育実態調査結果 一般社団法人 ペットフード協会「7歳以上」「10歳以上」「15歳以上」など、高齢猫用はさらに年齢が分けられているフードも販売されています。年齢や猫の健康状態に合わせて、フードを変えていくのもおすすめです。
年齢に合わないフードを与えるのは禁物
猫が欲しがっても、年齢に合わないフードを与えないようにしましょう。子猫に成猫用のフードを与えれば、カロリーや栄養不足になり成長や健康に影響を与えることが十分予想できます。
さらに消化器官の負担になり、下痢などを引き起こす恐れもあるでしょう。逆に、成猫に子猫用を与えるとカロリーオーバーになり、肥満などの原因にもなります。
実際のところ、カロリーや栄養素はどう異なるのか、ヒルズの子猫用フード(妊娠・授乳期)と、避妊去勢手術後の成猫用のフードで比較してみましょう。
子猫の成長用フード
たんぱく質:39.4%
脂質:25.5%
炭水化物:26%
粗繊維:1.3%
カルシウム:44%
リン:1.12%
カリウム:0.87%
ナトリウム:0.51%
マグネシウム:0.107%
ビタミンC:110ppm
ビタミンE:384IU/kg
オメガ3脂肪酸:33.75%
オメガ6脂肪酸:52.11%
(参考:ヒルズ サイエンス・ダイエット キトン 12ヶ月まで 子猫用/妊娠・授乳期の母猫にも まぐろ (hills.co.jp))
成猫太りやすくなる避妊・去勢後の体重管理と健康をサポートするフード
たんぱく質:33.8%
脂質:10.5%
炭水化物:48.6%
粗繊維:1.3%
灰分:5.8%
カルシウム:0.87%
リン:0.73%
カリウム:0.78%
ナトリウム:0.4%
マグネシウム:0.093%
リジン:2.28%
タウリン:0.23%
ビタミンA:7486IU/kg
ビタミンC:109ppm
ビタミンD:643IU/kg
ビタミンE:621IU/kg
オメガ3脂肪酸:0.6%
オメガ6脂肪酸:2.57%
ベータカロテン:2.49ppm
カルニチン:577.4ppm
(参考:ヒルズ サイエンス・ダイエット 避妊・去勢後~6歳 チキン(避妊・去勢猫用) (hills.co.jp))
たんぱく質は子猫用で39.4%、成猫用では33.8%と子猫用の方が多くなっています。また、脂質においては、子猫は25.5%、成猫用では10.5%と2倍以上です。
顕著なのは、必須脂肪酸であるオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の量の違いです。子猫用フードは、オメガ3脂肪酸は33.75%でオメガ6脂肪酸は52.11%ですが、成猫用フードではオメガ3脂肪酸は0.6%、オメガ6脂肪が2.57%です。
切り替える時期の目安や注意点
フードを切り替える目安や注意点を解説します。
「〇歳になったから」と突然変更するのではなく、猫の様子を見ながら少しずつ変えていきましょう。
授乳期から子猫用フード
子猫の場合、歯が生えてきたらフードを与えましょう。親子で飼育している場合、母猫のフードに興味を持ち始めたら離乳時期です。
いきなり切り替えるのではなく、下痢などをしないか様子をみながら少量ずつ与えます。食べにくそうにしている場合は、ふやかすのもおすすめです。
子猫のうちにウエットフードも食べさせてあげましょう。シニアになってからは、ウエットフードが多めになる場合もあります。慣れていないフードは食べない猫もいるので、子猫のうちに慣れさせておくと困りません。
子猫から成猫
ほとんどの猫は1歳前後で成猫になります。1歳になる前に、子猫用フードに少しずつ成猫用フードを混ぜて切り替えていきましょう。突然すべて成猫用に変えると、お腹を壊す恐れがあるので1週間ほど時間をかけます。
メインクーンなど大きな猫は、一般の猫と成長スピードが異なるので注意が必要です。1歳でも大人になっていない場合があるため、動物病院で相談しましょう。
成猫から高齢猫
一般的に、高齢期は7歳ごろからです。7歳を迎えるころ、高齢猫用フードに徐々に切り替えていきましょう。
高齢猫用フードは「7歳以上から」「10歳以上から」「13歳以上から」など分かれています。年齢にあわせてフードを変えていくのもいいでしょう。
目的別フードを加えるのもよい
キャットフードには、「避妊・去勢猫用」「肥満」「尿路の健康維持」など、目的別フードもあります。動物病院で獣医師に相談してから、猫の体質や心配事に合わせて与えるのもおすすめです。
目的別フードで病気が治るわけではないので、体調不良があった場合も動物病院を受診してください。
多頭飼いの注意点
多頭飼いは、猫それぞれの食事を管理するのが困難になりがちです。特に年齢やライフステージが異なる猫を多頭飼いしていると、子猫用を成猫が食べるなどのトラブルが生じやすくなります。
あまりにも年齢差が大きい猫を複数買っている場合は、ケージの中か別の部屋で食べさせるといいでしょう。
まとめ
猫は、年齢やライフステージごとに必要とするカロリーや栄養素が異なるため、年齢やライフステージに合ったフードを与えるようにしましょう。子猫が成猫用フードを食べると、カロリーや栄養不足になり、子猫用フードを成猫が食べると肥満などのリスクがあります。
肥満気味など猫の体質に合わせて、目的別フードを与えるのもおすすめです。フードを切り替える際は、消化不良などを起こさないためにも徐々に行ってください。
栄養がきちんと摂れているか、健康を維持できているか確認するためにも、定期的に動物病院で健康診断を受けることが大切です。