2022年6月に施行された改正動物愛護法により、ペットの販売業者には販売する犬や猫へのマイクロチップの装着が義務付けられました。そのため、近年購入したペットには、ほとんどの場合マイクロチップがつけられています。
しかしながら、それ以前に飼っていた犬猫たちのマイクロチップ装着は努力義務となっており、飼い主たちの装着の意欲も低いようです。2023年のペット保険会社のアンケート調査によると、半数以上の飼い主がマイクロチップの装着をする予定がないと回答しています。
そこで、今回はマイクロチップの重要性や具体的な装着方法について解説いたします。
この記事の目次
マイクロチップ、迷子札、鑑札の違い
マイクロチップを装着していると、ペットと飼い主がはぐれてしまった場合、マイクロチップの番号を元に登録されたデータベースから飼い主の情報を照合でき、ペットを元の飼い主に戻すことが可能になるというメリットがあります。
ここで、「迷子札でもいいのでは?」「(犬の場合)鑑札や注射済票の装着とどう違うの?」という疑問も出てくるでしょう。迷子札や鑑札なども飼い主の特定に役立ちますが、マイクロチップとは異なるデメリットもあります。
鑑札、注射済票(犬のみ)
鑑札と注射済票は、飼い犬に装着することが法律で義務付けられています。これらは個体の識別には有効ですが、首輪などに装着しても外れる可能性があり、また、保護した人が自治体に連絡する必要があります。
迷子札
迷子札は、飼い主の連絡先などが記載されているので、保護した人が自治体を通さずに直接飼い主に連絡できるため、早期に飼い主の元に戻れる可能性があります。ただし、鑑札などと同様に外れる可能性や、劣化により文字が読めなくなることも考えられます。また、個人情報を外部に晒すことに抵抗がある人もいるようです。
マイクロチップ
マイクロチップは、ペットの皮下に埋め込むため、外れたり読めなくなったりする可能性はありません。マイクロチップ読み取り機は、主に自治体の保健所や動物愛護センター、動物病院などに設置されており、一般の人は情報を得ることができないため、飼い主の個人情報も守られます。ただし、鑑札などと同様に、保護した人が自治体に連絡する必要があります。
マイクロチップってどんなもの?
マイクロチップは、直径2mm、長さ12mm程度の円筒形で、外側に生体適合ガラスを使用した電子標識器具です。マイクロチップには15桁の数字(個体識別番号)が記録されており、専用のリーダーで読み取ることで飼い主の情報を照会できます。
一度装着すれば、外れたり劣化したりする心配がなく、半永久的に読み取りが可能な個体識別証となります。ただし、GPS機能はありません。
マイクロチップは安全性が高く、日本だけでなく欧米を中心にこれまで何千万頭もの動物に対して装着された実績があります。また、日本国内ではマイクロチップが原因だとされる副作用やショック症状は、これまでに報告されていません。
どこでどうやって装着する?
犬は生後2週齢、猫は生後4週齢頃からマイクロチップを装着できます。
獣医師により、専用の注入器を使って、首元の皮下に埋め込みます。
所要時間は20分程度で、費用は病院によって異なりますが、数千円程度かかり、別途登録費用として1,050円が必要になります。助成金制度がある自治体もあるので、事前にお住まいの地域の制度を確認しておくとよいでしょう。
多くの動物病院ではマイクロチップの装着は予約制を採用しているようです。あらかじめ動物病院に問い合わせすることをおすすめします。
ペットの情報を登録しよう!
マイクロチップを装着しても、情報を登録しなければ意味がありません。登録はパソコンやスマートフォンからオンラインで申請ができます。ここからは、登録の方法をご紹介します。
1.装着証明書の写真を撮る
マイクロチップを装着すると、動物病院で『マイクロチップ装着証明書』が発行されます。これをスマホなどで撮影し、登録の際に添付します。
2.情報の登録をする
『犬と猫のマイクロチップ情報登録』というサイトにて、ペットの情報を登録します。
※こちらのサイトで登録できます。
環境省_犬と猫のマイクロチップ情報登録
https://reg.mc.env.go.jp/owner/owner_general_menu/init
3.登録証明書をダウンロードし、保管する
登録を行うと『登録証明書』をダウンロードできるようになります。これは、犬や猫を譲り渡すときや、今後の手続に必要になりますので大切に保管してください。
情報の更新も忘れずに!
マイクロチップを装着した時以外にも、以下の場合には登録情報の更新が必要になります。
- 飼い主の住所や連絡先が変わった
- 犬や猫の飼い主が変わった
- 犬や猫が亡くなった
このような時は、先程ご紹介したサイトから情報の変更を行ってください。情報の更新には『登録証明書』に記載されている「マイクロチップの識別番号」と「暗証番号」が必要です。
また、購入時に既にマイクロチップが装着されていた犬や猫の場合、登録情報が未登録だったり古い情報のままで変更されていないケースも多く見られます。これを機に、情報が正しいか一度見直してみてはいかがでしょうか。
まとめ
マイクロチップはペットが行方不明になった時だけでなく、地震や水害などの災害や、ペットの盗難にあった時にも、愛犬や愛猫と飼い主を結びつける重要なアイテムです。
装着が済んでいない方は、大切なペットとずっと一緒に暮らしていけるように、検討してみてはいかがでしょうか。