昨年くらいからテレビのCMなどで「AIM」という言葉を耳にしたことはありませんか?AIMの働きを活性化する薬が完成すれば、猫の飼い主を悩ませる腎臓病の治療が可能となるため、多くの人が関心を寄せています。
しかし、薬の実用化には時間がかかるため、それに先立ってAIMの働きを活性化させるアミノ酸が配合されたフードやおやつが発売されています。一見、猫の腎臓病に効果がありそうですが、実際のところどうなのでしょうか。この記事では、AIM製剤の開発状況もあわせて解説していきます。
AIMとその研究者の宮崎徹先生についてはこちらの記事もご参照ください。
【最新研究】猫の寿命が30年に!?注目の研究をわかりやすく解説
https://cheriee.jp/cats/27624/
この記事の目次
総合栄養食「AIM30(エーアイエムサーティ)」
ペットフードやペット用品で知られるマルカンから販売されている、腎臓の健康維持のためのキャットフードです。宮崎先生の研究成果をもとに開発されました。
AIM30には、AIMの働きを活性化させるアミノ酸「A-30」が配合されており、マグネシウム、リン、カルシウムの含有量を調整した総合栄養食です。腎臓の健康維持に配慮されており、猫が本来もっているAIMの働きをサポートし、健康の維持を目的にしています。
しかし、認可された医薬品ではないため、腎臓病予防に効果があるかどうかはわかりません。「腎臓病の予防ができる!」と勘違いしてしまわないよう注意が必要です。あくまで「健康をサポートするフード」という認識をもちましょう。
すでに療養食を与えている場合
腎臓病を患っているなどして、すでに療養食を与えている方もいるでしょう。しかし、マルカンのフードは総合栄養食であり、栄養素が調整された療養食とは用途が異なります。自分の判断でフードを変更せず、まずはかかりつけの獣医師に相談してみましょう。
年齢に合わせたさまざまなラインナップ
AIM30には、成猫用だけでなく、室内成猫用、室内避妊・去勢後製猫用、11歳以上室内猫用、11歳以上室内避妊・去勢後猫用、15歳以上室内猫用、20歳を迎える室内猫用、仔猫用と、年齢や去勢の有無に合わせたさまざまなラインナップがあります。愛猫に合ったフードを選択してあげましょう。
トリーツやサプリメントも
手から一粒ずつ与えられるカリッとしたクリスピータイプのトリーツです。少量ずつ小分けされており、味のバリエーションもさまざまですので、おやつとして与えてみてはいかがでしょうか。
アミノ酸「A-30」を配合した粉末のサプリメントもあります。今まで与えていたフードを変更する必要はなく、いつものフードに混ぜるだけで気軽に試せます。かつおの粉末が含まれているため、猫は喜んで食べてくれるでしょう。個包装になっているのもうれしいポイントですね。
ちゅ〜る「for AIM」
チャオちゅ〜るで知られるいなばペットフードが、宮崎教授の指導のもと、「forAIMペットフードシリーズ」を開発しました。こちらにもAIMを活性化させるアミノ酸S18が配合されており、健康維持のサポートをしてくれます。
for AIM ちゅ〜るのホームページやパッケージには、以下の注意事項が掲載されています。
- 本品は腎臓病を治療するものではありません。
- 加熱によって成分が変質します。加熱して与えることはおやめください。
- 何らかの異常に気づかれた場合には、早めに獣医師に相談することをお勧めします。
マルカンのAIM30と同様、医薬品ではないため腎臓病の治療はできません。また、猫に与えるfor AIMは一日2本が上限です。多く与えれば健康に良いということはありませんので、与える量もしっかり守りましょう。
ラインナップ
本品は他のちゅ〜るとよく混ぜて与えることが推奨されています。もちろん、これだけで食べてくれるようであれば混ぜる必要はありませんが、単体で好んで食べる子はあまり多くないようです。
混ぜるのが手間という方には、片方にちゅ〜る、もう片方にアミノ酸S18が配合されたちゅ〜るが入った、ワンタッチで一緒に出せるタイプもおすすめです。
他にも、ちゅ〜るとアミノ酸S18が配合されたちゅ〜るが2本ずつ同梱されている商品もあります。
AIM研究最新情報
もともと東京大学で研究していた宮崎先生ですが、2022年4月に一般社団法人AIM医学研究所を立ち上げ、AIM創薬を進めています。
今回ご紹介したマルカンのペットフードやいなばのチャオちゅ〜るは宮崎先生が開発に関わっており、認可に時間がかかる薬等に先立って、少しでも早くAIMを活性化させる成分が含まれたものを猫に与えたいという思いから実現しました。
もちろん、薬ではないため「腎臓病の治療に効果がある」とは言えませんし、本当のところどうなのかはわかりません。しかし、そういった思いをもって研究に取り組みプロジェクトが実現していくのは、猫の飼い主にとってとても心強いものでしょう。
今後の開発予定
これから1年半から2年程度の治験を開始し、農林水産省の審査を経て、2027年前後の実用化を目指して研究が進められています。現在、腎臓病を患っている子にとっては待ち遠しいかもしれませんが、ぜひ、宮崎先生の活動に注目してみてください。
AIM研究への寄付
研究には大変多くのお金を必要とします。もしAIMの研究に少しでも力になりたいという方がいれば、AIM医学研究所のホームページから寄付が可能です。クレジットカードと銀行振込のみ受け付けているため、興味があれば一度確認してみてください。
フェリシモ「猫部」
AIMに興味はあるけど、寄付は少しハードルが高いと感じている方は、フェリシモのサイトからグッズを購入してみてはいかがでしょうか。
雑貨やファッションなどを扱う通販サイトのフェリシモでは、フェリシモ社内の猫好きが集まり「猫と人とがともにしあわせに暮らせる社会」を目指して活動している「猫部」というプロジェクトがあります。
猫部では、オリジナル猫グッズを開発し、売上の一部を犬や猫を救う基金として活用しています。現在はAIM医学研究支援チャリティーが行われており、AIM医学研究支援対象のグッズを購入することでその一部がAIMの研究への支援金として運用されるため、寄付よりも気軽に研究への支援ができるでしょう。
フェリシモ「猫部」AIM医学研究支援チャリティー企画
https://www.nekobu.com/aim/2022/
最後に
AIMを活性化させる働きがあるアミノ酸を含むフードやおやつは、医薬品ではないため「腎臓病の治療に効果がある」とは謳えず、実際に効果があるかどうかもわかりません。愛猫に与える場合は、あくまで総合栄養食という認識を忘れないようにしましょう。また、療養食を与えている場合は、自己判断でフードを変更しないように気をつけてください。
AIM製剤は2027年前後の実用化を目指し、現在開発が進められています。もどかしい気持ちもありますが、まずは研究を見守りましょう。もし、少しでも研究の力になりたいという方は、寄付やフェリシモでのグッズ購入を検討してみてはいかがでしょうか。