愛犬のうれションは一時的なものであれば問題ありませんし、一種の愛情を感じてなかなか憎めない行為であるのも事実です。しかし、頻繁に起こってしまうと、掃除の負担などが悩みの種になっているという飼い主も少なくないでしょう。
では、犬はなぜうれションをしてしまうのでしょうか。犬がうれションをしてしまう理由がわかれば、対策を立てられるようになるかもしれません。
この記事では、うれションの原因や対策について詳しく解説しています。
この記事の目次
うれションとは
犬のうれションとは、うれしかったり、はしゃぎすぎてしまって興奮したときに、無意識におしっこが出てしまうことをいいます。一方で、トイレではない場所でしてしまう粗相は、意識的にしていることが多く、うれションとは区別されます。
いわゆる「うれション」の原因として、「興奮性排尿」と「服従性排尿」が挙げられます。
興奮性排尿
うれションの多くは興奮が原因で起こります。うれしい、楽しいなどの感情を自分で制御できなくなったときに、興奮して膀胱の筋肉が緩んでしまい、無意識におしっこが出てしまいます。
遊びに夢中になりすぎてしまったり、飼い主が帰宅してうれしいと感じたときに見られることが多いです。
服従性排尿
人が近づく、大きな声を出す、頭の上に手をかざすなど、犬が恐怖を感じたときにも、うれションと呼ばれる行動をとることがあります。耳を平らにしたり、しっぽを内側に巻き込むなどの服従の姿勢をとりつつおしっこを出します。
服従性排尿をする犬は、過去に虐待などのトラウマを抱えていたり、現在強いストレスを感じていると考えられるため、慎重に接してあげる必要があります。
うれションをしてしまう傾向がある犬
すべての犬がうれションをするというわけではありませんが、愛犬がしてしまいやすい傾向に当てはまる場合は、なるべく気をつけてあげましょう。
子犬
子犬は好奇心が旺盛で、興奮しやすいため、うれションをすることが多いとされています。
また、膀胱の筋肉が十分に発達しておらず、排尿のコントロールがうまくできていないことも一因です。成犬になったらうれションをしなくなったという子も多いため、あまり深刻に考える必要はないかもしれません。
小型犬
小型犬は、その体のサイズから、飼い主への服従心や依存心が強い犬が多いため、小型犬は服従性のうれションをする可能性が高くなります。
興奮しやすい犬
うれションの原因の多くは興奮によるものです。そのため、興奮しやすい犬は興奮しにくい犬と比較するとうれションしやすいといえます。
精神的に不安定な犬
臆病であったり、何かにストレスを抱えている犬も、うれションをしやすいです。
うれションの対策
うれションは無意識にしてしまうため、しつけによる改善は難しいです。居住環境や飼い主の意識を変え、うれションをしてしまわない状況を作ることが大切です。
興奮させない
遊び中や来客があったときになどに、興奮させすぎないようにすることが大切です。興奮してしまいそうになったら、「マテ」や「オスワリ」などのコマンドを出し、落ち着けるようにしておきましょう。
また、ガムなどの長く噛めるおやつを与えたり、知育玩具やノーズワークなど集中力を必要とする遊びに切り替えるのもおすすめです。
そして、意外と多いのが、飼い主の帰宅時です。飼い主の帰宅がうれしくて興奮してしまう上に、飼い主も一緒になってはしゃいでしまうとうれションを助長してしまいます。
帰宅時には、すぐに声をかけずに、犬が落ち着いたらかまってあげるようにしましょう。興奮が習慣づいてしまうと、癖になり治りにくくなるため注意が必要です。
叱らない
うれションは、本人の意思に関係なくしてしまうものであるため、叱っても治ることはありません。むしろ、飼い主が怒って興奮状態になると、犬も興奮してしまい逆効果です。
犬のうれションは飼い主に好意的な感情を抱いていたり、服従心を表しているだけのことが多いため、萎縮して飼い主との関係悪化に繋がる可能性もあります。
また、突然おしっこをされると驚いて声を上げてしまうことがあるかもしれません。しかし、反応してしまうと「おしっこをすると飼い主に注目してもらえる」と犬が勘違いする可能性があります。極力反応せず、淡々と片付けるようにしましょう。
犬の欲求が満たされているかチェックする
犬が欲求不満を抱えている場合、それが満たされた瞬間に大きな喜びと共に興奮し、うれションに繋がることがあります。前述の飼い主の帰宅時のうれションは、飼い主の不在中の不安や寂しさが解消された喜びが原因だと考えられます。
飼い主とのふれあいの欲求の他にも、飲食や散歩、遊びなどの欲求が溜まっていないかチェックし、思い当たることがあれば、こまめにガス抜きをさせてあげましょう。
具体的には、外出前に散歩やスキンシップの時間をとる、運動や遊びでエネルギーを消費させる、食事回数を増やして空腹の時間を減らすなどの方法があります。
マナーウェアなどを活用する
うれションしてしまうことが多かったり、お出かけ先で不安がある場合は、マナーウェアを着用しましょう。他人に迷惑をかけないようにするのも飼い主の重要な役割です。
困ったら獣医師に相談
うれションが繰り返され、改善する様子が見られない場合は、獣医師に相談してみましょう。
病気やストレス、不安感などが原因の可能性もありますので、状況や頻度などを詳細に伝え、適切な診断結果を受けましょう。
最後に
うれションとは犬が興奮したときにおしっこをしてしまうことで、意識的に行う粗相とは異なり無意識に行ってしまう行動のことを指します。
子犬がうれションをしてしまうのは、感情のコントロールのしにくさや筋肉の未発達な部分があるためだと考えられます。また、小型犬や精神が不安定な子はうれションをしやすい傾向があるため注意しましょう。成犬になるにつれて徐々になくなっていくことが多いですが、普段から興奮させないようにすることが大切です。
しかし、もし頻繁にうれションをしてしまうなど気になることがあれば、一度獣医師に相談することをおすすめします。