近年、SNSなどでの情報発信により、保護猫活動に興味を持つ人や実際に保護猫を家族として迎える人が増えています。
一方で、興味があっても「譲渡の条件に合わず飼えない」「何か支援をしたいけれど、今から子猫は育てられない」と考えている人も少なくありません。
この記事では、保護猫の譲渡までの流れや条件、ボランティアや一時預かりなど、”飼う”以外の関わり方について紹介します。
保護猫に関心を持つ気持ちを大切に、自分に合った関わり方を見つけて、無理なく第一歩を踏み出してみませんか?
この記事の目次
保護猫活動の広がり

「保護猫」とは、飼育放棄や迷子で飼い主がいない、または野良として暮らしていた猫を人の手によって保護し、新しい飼い主への譲渡を目的としてケアを受けている猫を指します。
保護猫活動の目的
保護猫活動は、単に「かわいそうな猫を助ける」だけではありません。「継続して猫を支えられる環境を整え、1匹ずつ幸せにつなぐ」ことを目的としています。
保護猫を支えている人たち
保護猫たちを支えているのが、保護施設や動物愛護団体の職員、個人ボランティアなどです。行政が愛護センターを設置し、積極的に関わっている地域もあります。不妊手術は地域の動物病院の獣医師に依頼するケースも多く見られます。
近年はSNSを通じて保護猫活動の情報が広まり、譲渡会の開催やクラウドファンディングなど、活動の形も多様化しています。
保護猫活動とTNRとの違い

「保護猫活動」と「TNR活動」は、どちらも猫の命を守る取り組みですが、活動の目的とアプローチが少し違います。
保護猫活動
- 目的:飼い主のいない猫を保護し、里親へ譲渡して幸せな家庭に迎え入れる
- 対象となる猫:捨て猫・飼育放棄された猫・人に慣れた野良猫など
- 活動の流れ:保護 → 医療ケア(検査・手術)→ 里親探し → 譲渡
- ゴール:家庭で安心して暮らせる猫を増やす
TNR活動
- 目的:野良猫の繁殖を防ぎ、地域全体で猫の数を適正に保つ
- 対象となる猫:野良猫(特に外で暮らす地域猫)
- 活動の流れ:捕獲(Trap)→ 不妊手術(Neuter)→ 元の場所に戻す(Return)
- ゴール:「人と猫が共生できる地域」をつくる
どちらも大きな目的は「猫が不幸にならない社会」をつくることですが、最終的に猫を「保護して譲渡する」か「手術して元の場所に戻す」か、に大きな違いがあります。
保護猫を迎える方法

譲渡とは、猫の所有権(飼い主としての権利と責任)を、元の飼い主または保護団体から新しい飼い主へ正式に移すことです。保護猫活動における里親とは、保護された猫を新しい家族として迎え、最期まで責任を持って飼育する人のことを指します。
保護猫を迎える方法はいくつかあります。代表的なものは、次のとおりです。
- 保護団体・保護施設から探す
- 譲渡会に参加する
- 個人ボランティアやSNS経由で探す
保護団体・保護施設から探す
動物愛護センターやNPO法人など、多くの団体では公式サイトやSNSで里親募集中の猫を紹介しています。譲渡条件や費用、医療情報が明確に示されており、安心して相談できます。
まずは、「地域名+保護猫」で検索して、近くの保護団体や愛護センターのサイトをチェックしてみましょう。公式サイトには最新の募集情報が掲載されていることが多く、最初の一歩を踏み出しやすくなります。
譲渡会に参加する
地域のイベントや保護団体が主催する譲渡会では、実際に猫と触れ合えます。ボランティアが猫の性格やこれまでの経緯を丁寧に説明してくれるため、写真だけでは分からなかった魅力に気づくこともあります。
参加してみたい場合は、「地域名+譲渡会」や「保護猫 譲渡会 〇〇市」などで検索してみましょう。
団体のSNSや地域の掲示板には、開催日時や会場情報、参加方法(予約制など)が掲載されています。近くで開催される会に足を運ぶことで、保護猫との出会いが広がります。
個人ボランティア・SNS経由で探す
個人で保護活動をしている人から譲渡を受けるケースもあります。ただし、医療費やワクチン接種の有無、譲渡契約の内容などをしっかり確認することが大切です。
譲渡までの流れと条件

保護猫を迎えるまでの一般的な流れは、次のとおりです。
- 希望の猫を探す(保護団体やボランティアのサイト、SNSなど)
- アンケートや面談(飼育環境やライフスタイルを確認)
- トライアル期間(1〜2週間程度、自宅で猫を預かり相性を見極める)
- 正式譲渡契約(譲渡費用の支払い・誓約書の提出)
譲渡費用とは
譲渡費用は、基本的には譲受主(里親になる人)から、譲渡主(保護団体や個人ボランティア)へ支払われるお金です。保護された猫は、健康チェックや治療が必要なことが多く、団体やボランティアが自費で医療費や飼育費をまかなっている場合も少なくありません。
譲渡費用は、その保護にかかった実費の一部を負担してもらう目的で設定されています。費用は、ワクチン接種や避妊去勢手術、検査、マイクロチップの装着などの実費として、1〜5万円ほどが目安です。
ただし、譲渡費用は多くの保護団体やシェルターで設定されていますが、必ず設けられているわけではありません。団体や地域によって対応が異なるため、譲渡を考える際は確認しておきましょう。
主な譲渡条件
- 完全室内飼育を行えること
- ペット可の住宅に住んでいること
- 家族全員の同意があること
- 避妊・去勢手術やワクチン接種などに同意できること
- 単身者・高齢者・共働き家庭の場合は、支援体制の確認を求められる場合も
これらの条件は「里親を審査するため」ではなく、「猫が再び悲しい思いをしないため」に設けられています。
飼う以外の保護猫支援の方法

保護猫を自宅に迎えることだけが、支援の方法ではありません。さまざまな理由で猫を飼えない方もいることでしょう。
そんなときに、ライフスタイルに合わせて、保護猫活動を支える方法をご紹介します。「飼うのは難しいけれど、猫のために何かしたい」という想いがあれば、誰でも保護猫活動に参加できます。
- 一時預かり(ミルクボランティア)
- 保護施設でのボランティア
- 物資支援・寄付・SNSシェア
それぞれについて解説します。
一時預かり(ミルクボランティア)
保護された子猫や、病気やケガで療養中の猫を一時的に家庭で預かり、譲渡までのお世話をする活動です。飼うことは難しくても、短期間で命をつなぐ貴重なサポートができます。
団体からフードや医療費の補助が出る場合もあり、初心者でも始めやすいのが特徴です。
興味がある場合は、「地域名+ミルクボランティア」や「保護猫 一時預かり」で検索してみましょう。多くの保護団体や愛護センターが募集情報を掲載しており、応募フォームや問い合わせ先から直接相談できます。
保護施設でのボランティア
保護施設の掃除や食事の世話、SNSの更新、譲渡会での案内など、さまざまな活動があります。「動物に直接関わる」「現場の手助けをする」「情報を発信する」など、自分の得意分野を生かせるのが魅力です。
興味がある場合は、「地域名+保護猫 ボランティア」や「保護猫 ボランティア 募集」で検索してみましょう。公式サイトやSNSで募集要項や活動日程を公開している施設が多く、初心者向けの体験参加を受け付けているところもあります。
物資支援・寄付・SNSシェア
自宅で一緒に生活する余裕がなくてもできる支援です。
たとえば、「保護猫 寄付」や「地域名+保護団体」で検索すると、物資支援や寄付を受け付けている団体を見つけやすくなります。SNSで保護猫の情報をシェアするだけでも、猫と新しい飼い主の出会いのチャンスを広げる立派な支援になります。
里親として保護猫を迎える前に

猫の平均寿命は15歳を超えています。一時的な感情に流されて飼うのではなく、長期的な視点を持って迎えることが大切です。経済的な余裕、毎日の世話の時間、家族全員の協力など、どれも欠かせません。
保護猫の中には、過去に人との関係で傷ついた経験を持つ子も少なくありません。だからこそ、「猫をもらう」ではなく「家族になる」という意識が大切です。
迎える前に「今の自分に何ができるか」「最期を看取るまで、どう猫を支えられるか」を考えることが、猫も人も幸せにする第一歩です。
まとめ

保護猫活動とは、飼い主を失ったり捨てられたりした猫が、保護施設やボランティアによって新しい家族と出会うための活動です。譲渡までの条件や手続きは、猫の幸せを守るための大切なルールです。
また、保護猫に関わる方法は「迎える」だけではありません。一時預かりや施設ボランティア、寄付など、できる範囲で命を支える形があります。
どんな形であっても、「猫の幸せを願う気持ち」は同じです。あなたの関心や行動が、1匹の猫の未来を変える力になります。





































