【獣医師監修】ベンガルの好発疾患と飼い方のポイント

2024.04.23
【獣医師監修】ベンガルの好発疾患と飼い方のポイント

ベンガルは、野性味のある模様が特徴的な猫種です。
ペットショップなどでも人気がありますが、実際に見ると「うわ、きれい」と思わず言ってしまうほどです。
しかし、ベンガルには、その性格や遺伝的背景からいくつか好発疾患が存在します。

今回の記事では、ベンガルがかかりやすい病気や日常生活で気をつけたいポイントについて、獣医師が詳しく解説します。

この記事の目次

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ベンガルの基本情報

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歴史

ベンガルは、イエネコとヤマネコの交配によって誕生しました。

1970〜80年代にかけ、カリフォルニア大学では猫の白血病を研究するため、「アジアン・レオパード・キャット」というヤマネコと、イエネコの交配を行っていました。この時生まれた子猫はブリーダーに手渡され、そのインディアン・マウなどと交配し、ベンガルの基礎が築かれました。

1985年に初めてキャットショーに出場すると、ベンガルの美しさは多くの愛猫家たちから大絶賛され、一躍人気となりました。
その後、ブリーダーたちが次々と、アビシニアン、アメリカン・ショートヘア、エジプシャン・マウ、シャムなどと品種の交配を行い、現在のベンガルに至ります。

身体的特徴

ヤマネコの血が入ったベンガルは、野生的でがっしりとした筋肉質の体が特徴的で、中型〜やや大きめの短毛種です。
つり目気味のアーモンド形の目を、「マスカラ」と呼ばれるアイラインがふちどっています。

被毛の模様は、「ロゼット」と呼ばれる豹柄以外にも、タビーやマーブルがあります。

性格

見た目が野生的ですが、性格は温厚で飼い主によく懐きます
また、運動量が多くハンティング遊びも大好きで、猫としては珍しく水遊びも好むようです。

ベンガルの好発疾患

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ベンガルには好発する遺伝疾患と、性格や性質ゆえに注意したい病気があります。
好発疾患を知っておくことで、日常生活の中で愛猫を見る目が何かしら変わるかもしれません。

ピルビン酸キナーゼ欠損症

【症状】
貧血、疲れやすい、頻脈、頻呼吸など。
【原因】
ピルビン酸キナーゼという酵素が遺伝的に欠損することで溶血性貧血が起こる。
【備考】
遺伝性疾患であるため、素因がある子は繁殖させるべきではない。

骨折

【症状】
患肢の疼痛、挙上(地面に足を着けない)、動かせないなど。
【原因】
外からの大きな衝撃、高所からの落下、交通事故など。
【備考】
外飼いの子はケンカや事故に遭う可能性があるので、帰って来たら健康状態を確認する。室内飼いでも棚などからの着地失敗などでけがをすることもあるので油断は禁物

ベンガル網膜症(進行性網膜萎縮)

【症状】
初期症状として夜盲、進行すると視覚障害、失明。
【原因】
遺伝的な背景が報告されている。
【備考】
常染色体劣性遺伝で伝達されるため、遺伝子変異のある子は繁殖に供するべきではない。

特発性膀胱炎

【症状】
頻尿、血尿、トイレに行くが排尿しない、排尿痛、腹痛など。
【原因】
原因は不明だが、ストレスが関与していると考えられている。細菌、結石、腫瘍などの他の膀胱炎の原因となるものが検査で検出されないことによって診断される。
【備考】
性格や環境によっては再発を繰り返すことも多い。

肥大型心筋症

【症状】
運動不耐性(疲れやすい)、胸水や腹水貯留、呼吸困難、嘔吐、食欲不振など。
血栓塞栓症を随伴した場合は、塞栓部位によって様々な症状が見られる。
特に多いのは「腹大動脈遠位端」で、両後肢の不全麻痺または完全麻痺。
【原因】
心筋が厚くなることによって心臓が膨らみにくくなり、循環障害を呈する。
【備考】
血栓塞栓症は速やかに治療を行う必要がある。

ベンガルに適した飼育環境

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一般的に猫と生活する上で注意する点の他に、ベンガルという猫種だからこそもっと注目すべきところがあります。
性格がその子によって異なるように、愛猫に合った生活環境を考えてみてください。

1. 適度にストレスを発散させる

ベンガルは、ストレスを溜め込みやすい猫種です。
そのため、ストレスが原因で起こると言われている神経障害特発性膀胱炎などの疾患を発症しやすい傾向がみられます。

毎日短時間でもいいのでしっかり遊んであげる猫が安心できる居場所を作るなどの対策が必要でしょう。

2. 十分な運動量の確保

ストレス発散のために最も効果的なのは、運動です。肥満予防のためにも運動はとても重要です。

室内での生活ではどうしても運動不足に陥りやすいため、運動しやすい環境を整えてあげる必要があります。
例えば、キャットタワーなどで、上下の動きができるような工夫が望ましいです。

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3. ストレスの原因を取り除く

溜まったストレスを発散させるだけでなく、ストレスの原因そのものを除去する努力も必要でしょう。
しかし、猫にとってどんなものがストレスの元になっているのかを正確に知ることは難しいです。

人間にとっては些細なことでも、猫にとっては大きな問題であることも少なくありません。愛猫の行動などを注意深く観察し、ストレスの原因を探ってみてください。

以下に、猫がよく遭遇するストレス源の例を挙げます。

  • 生活音:掃除機、洗濯機、外の工事、犬の鳴き声など。
  • トイレ:清潔でない、設置場所が気に入らない、狭いなど。
  • 居場所:隠れる場所、落ち着ける場所がない。

4. ケガに注意

ベンガルは好奇心旺盛で活発な性格の子が多く、棚などの高いところにもよく登ります。
通常、猫はある程度高い場所からも安全に着地することができます。

しかし、滑り落ちたり、家具の隙間に足を挟んだりした場合はケガをしてしまうこともあります。
実際に、「外出先から帰ってきたら、愛猫が棚の間に挟まっていて手を骨折していた」という事例もありました。

猫が登れる場所は広く確保し、家具の隙間を無くすなどの対応が必要です。

5. 異物誤飲にも注意

好奇心旺盛なベンガルでは、異物の誤飲にも注意してください。
特に、ひも状のものは、猫としても遊ぶのに楽しく、うっかり飲み込んでしまうことがあります

留守にする際などには、あらゆるものを愛猫の手の届かない場所にしまうのがいいでしょう。
その代わりに、留守中は愛猫が退屈しないように、飲み込むリスクの低いおもちゃや、運動できるスペースを用意してあげましょう。

まとめ

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ベンガルは本当に美しい猫種で、一目惚れしてしまう方も多いと思います。
猫を家に迎え入れる前に病気などについてもしっかりと考えていただき、予防に努めることで、猫の健康を守ってあげましょう。

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