「猫を新たな家族として迎えたい!」と思った時に、やはり気になるのは具体的にどれくらい費用がかかるのかでしょう。そこで、猫を飼う場合に月々や一年にかかる費用、一生涯でかかる費用、また想定外の出費などのデータをまとめてみました。
安心して猫との新生活をスタートさせるために、この記事で猫にかかる費用について確認してみてください。
※かかる費用については地域差や個人差があるため、全てに「~円前後」とつきますが、ここでは省略しています。また、飼い主の猫に対する考え方やライフスタイルによっても、費用は大きく異なりますので、あくまで目安としてお考えください。
この記事の目次
猫の一生にかかる平均費用は「149万円」
2023年のデータによると、猫の一生にかかる平均費用は149万円とされています。
猫の飼育スタイル別、生涯必要経費
犬の場合は体の大きさによって費用が異なりますが、猫の場合は飼育スタイルによって費用が異なってきます。
平均寿命 | 生涯必要経費 | |
---|---|---|
外に出る | 14.18歳 | ¥1,249,906 |
外に出ない | 16.25歳 | ¥1,534,047 |
(出典:一般社団法人ペットフード協会「令和5年全国犬猫飼育実態調査 – 猫 飼育・給餌実態と支出」)
上記の表から明らかなように、外に出ない猫の方が寿命は長く、それによってかかる費用も増えます。
平均寿命で割ると、外に出る猫の場合は年間の費用が92,288円であり、外に出ない猫は年間96,917円となり、こちらも外に出ない猫の方がやや高くなる傾向があります。
月々の費用は「8千円」、1年間で「9万6千円」
2018年の月々の平均支出が6千円であったのに対し、2023年には8千円に上昇しています。この支出の増加には、物価の上昇や猫に対する飼い主の意識の変化が考えられます。
猫のライフステージ別必要経費
1ヶ月平均 | 年間平均 | |
---|---|---|
0歳(幼年期) | ¥11,400 | ¥136,800 |
1~6歳(成年期) | ¥7,887 | ¥94,644 |
7歳以上計(高齢期) | ¥7,988 | ¥95,856 |
7~9歳 | ¥7,692 | ¥92,302 |
10~12歳 | ¥6,493 | ¥77,912 |
13~15歳 | ¥9,061 | ¥108,726 |
16歳以上 | ¥9,000 | ¥108,000 |
平均 | ¥8,005 | ¥96,055 |
(出典:一般社団法人ペットフード協会「令和5年全国犬猫飼育実態調査 – 猫 飼育・給餌実態と支出」)
統計を見ると、幼年期と高齢期の支出が特に高くなっています。これは、猫を飼い始めた際に必要なグッズを購入する必要があることや、幼年期特有の病気、そしてハイシニア期に差し掛かり多くのケアが必要になることが理由として考えられます。
月々の費用の内訳
内訳 | 金額 |
---|---|
キャットフード | ¥2,988 |
おやつ | ¥1,562 |
医療費 | ¥3,400 |
保険料 | ¥1,988 |
雑貨 | ¥1,480 |
おもちゃ・衣類 | ¥941 |
(出典:一般社団法人ペットフード協会「令和5年全国犬猫飼育実態調査 – 猫 飼育・給餌実態と支出」)
どの項目も2018年と比べると緩やかに上昇していますが、特にキャットフードやおやつ、医療費にかける費用の上昇が見られます。
飼い始めた時にかかる費用は「2万円」
猫を飼い始める際には、2万円程度の費用がかかります(出典:Money Campus「猫の一生にかかるお金はいくら?食費や医療費など生涯の飼育費用を3000人調査」アンケートより)。
この金額には、次のような猫の生活に欠かせない基本グッズが含まれます。
- 猫トイレ本体
- 食器
- 爪切り
- 猫タワー
初期費用は1万円以内に収めている人が最も多く、3万円以内まで含めると全体の約74%になります。ただし、ペットの見守りカメラや自動給餌器、高機能トイレ、空気清浄機など、高性能な製品を揃えればかなり高額になるでしょう。
譲渡か購入かで大きな差が出る
猫との出会い方によって、初期費用は大きく変わります。先のアンケートによると、保護猫団体や保健所、知人などからの「譲渡」が最も多く39.4%を占め、次いで地域の猫などを「保護」したという回答が36.7%、ペットショップやブリーダーからの「購入」は22%にとどまりました。
猫の購入には平均して185,201円かかり、猫の譲渡時には平均して4,086円が費用としてかかっています。譲渡は72%の回答が0円となっており、保護団体からの譲渡には2~6万円ほどかかる場合が多いようです。
※野良猫を保護した場合にかかる費用は、こちらの記事をご覧ください。
金銭的な負担も覚悟して!野良猫の保護に必要な医療費を徹底解説
https://cheriee.jp/cats/22939/
接種しておきたい「混合ワクチン」
外に出る・出ないにかかわらず、猫が健康で快適に暮らすためには、ワクチン接種が必要です。
脱走や災害で外に出て感染してしまう可能性がありますし、時にはウイルスなどが外出した飼い主に付着して室内に侵入することもあります。また、ペットホテルを利用する際にも、ほとんどの場合、ワクチンの接種が必要となります。
混合ワクチン接種費用
子猫の場合は、生後6~8週で初回接種を行い、その後は約4週ごとに計2~3回の接種を行います。以降は1~3年に1回のペースで接種を続けていきます。
成猫を譲渡された場合や野良猫を保護した場合は、それぞれ対応が異なります。譲渡元にワクチン接種歴の確認をしたり、動物病院に相談したりしましょう。
- 3種混合:¥3,000~5,000
- 5種混合:¥5,000~7,500
※猫のワクチンの詳細については、こちらの記事をご覧ください。
【獣医師監修】正しく理解できてる?猫のワクチンの種類と注意点
https://cheriee.jp/cats/20474/
「不妊手術」も視野に入れる
猫に不妊手術を受けさせる場合は、手術費、入院費、薬剤費などがかかります。不妊手術は必ずしも受けなければならないものではありませんが、病気予防や望まぬ妊娠を避けるため、また発情期のストレス軽減のために受けることが望ましいとされています。
※猫の不妊手術については、こちらの記事をご覧ください。
【獣医師監修】猫の避妊・去勢の4つのメリットと注意点
https://cheriee.jp/cats/20549/
費用に関しては、以下の通りです。
去勢手術(オス)
- ¥5,000~20,000
避妊手術(メス)
- 卵巣切除:¥10,000~25,000
- 卵巣子宮切除:¥10,000~30,000
メスの避妊手術には2つの方法があり、それによって料金が異なります。どちらの方法を選ぶかは、かかりつけの動物病院に相談しましょう。
去勢手術や避妊手術は基本的にペット保険の補償対象外であるため、費用は高額になります。しかし、自治体によっては飼い猫の不妊手術に補助金が出るところもありますので、お住まいの自治体の情報をチェックしてみてください。
意外に多い!予想外の出費
人間と同様に、猫も一緒に暮らしていると想定外の出費があります。それぞれの状況によって出費が大きく異なるため、具体的な金額を一概に挙げることは難しいですが、飼い主たちの経験から出費を金額別にまとめました。
数千~1万円ほど
- 障子を破かれて障子紙と糊を購入自分で張り替えた(2千円)
- 壁をボロボロにするので壁に貼る保護シールを買った(3千円)
- 電気器具のコードを噛む癖があったためカバーを買った(3千円)
- 食器棚の皿を割られた(1万円)
- 布団に吐いたため丸洗いした(1万円)
- 椅子に吐かれてクリーニングに出した(1万円)
数万円
- リビングの壁紙をボロボロにされた(3万円)
- サイドテーブルで爪とぎをされてしまい買い直した(3万円)
- カーテンをボロボロにされた(5万円)
- 新車のボンネットに爪で傷をつけられ塗装し直した(5万円)
10万円以上
- 和室の畳をボロボロにされ修理した(10万円)
- 脱出防止のためオーダーで玄関に格子扉を設置(10万円)
- 羽毛布団に複数回吐かれてしまい買い換えた(12万円)
- 買って1年2ヶ月しか経ってない55インチのテレビを壊された(19万円)
- 高級グラスを割られた(20万円)
- 迷子になったので猫探偵に依頼、チラシ印刷なども業者に頼んだ(40万円)
(出典:Money Campus「猫の一生にかかるお金はいくら?食費や医療費など生涯の飼育費用を3000人調査」)
まとめ
猫は犬に比べて費用が少ない傾向がありますが、それでも猫が快適に暮らすためには一定の費用が必要です。生涯にかかる費用を計算してみると、飼うことを諦めようと考える人もいるでしょう。
もちろん、軽はずみな気持ちで飼うことは望ましくありませんが、「お金がかかるから」という理由で諦めてしまうのは、少し寂しいことです。一緒に暮らしていると、「お金がかかるなあ」と感じることもあるかもしれませんが、一緒に過ごす楽しい時間は何ものにも代えがたいものです。
具体的にかかるお金を知ることは、「本当に猫が飼いたいのか」というご自身への問いかけになります。そして、本当に飼いたいと思えたら、ご自身の経済状況とも照らし合わせ、しっかりと準備した上で飼うようにしましょう。