吠える犬は○○しない!犬に関する世界のことわざ・慣用句
ことわざや慣用句には、その国や言語の文化が強く反映されています。同じ意味でも、使われる単語が異なることがあり、外国語のことわざなどは非常に興味深く感じられます。
また、外国の犬の歴史や文化は日本と異なるため、ことわざなどに登場する犬の扱いから、その国が犬をどのように見ているのか、理解ができるかもしれません。
今回は、犬が登場する外国語のことわざや慣用句を紹介いたします。
英語のことわざ
犬と人との関わりが深いイギリスや犬の飼育頭数が世界一のアメリカ。そんな英語圏の犬に関することわざや慣用句を見ていきましょう。
①Let sleeping dogs lie.
和訳:寝ている犬は、寝かせておけ
意味は「余計なことをしてトラブルを起こすものではない」ということです。眠っている犬を起こすと、犬が怒ったり、吠えたりするかもしれないので、わざわざ起こす必要はありません。日本語では「寝た子を起こすな」と近い意味になります。
②Two dogs fight for a bone and the third runs away with it.
和訳:2頭の犬が1本の骨をめぐって戦っていると、第3の犬がそれを持ち逃げする
日本語でも「漁夫の利」という言葉があり、他人の争いごとに乗じて、何の苦もなく利益を得ることを表します。
③You can’t teach an old dog new tricks.
和訳:老犬に新しい技を教えることはできない
意味は「人が年をとってから新しいことを学ぶのが難しい」ことを表します。日本語にも「老い木は曲がらぬ」や「矯めるなら若木のうち」ということわざがあり、直すべきところは柔軟性のある若いうちに直さないと、年をとってからでは直らないという意味になります。
④Barking dogs seldom bite.
和訳:吠える犬はめったに噛まない
意味は「人を脅したり、むやみに威張ったりする者は、大して実力を持っておらず、たいていは何もできないこと」を表します。日本語にも「弱い犬ほどよく吠える」、「吠える犬は噛みつかぬ」など、似たようなことわざがあります。
⑤Bite the hands that feeds one.
和訳:食べ物を与えてくれる人の手を咬む
意味は「世話になった者が恩返しをせずに害を加えること」を表しています。日本語では「飼い犬に手を噛まれる」、「恩を仇で返す」などが当てはまります。
⑥Better be the head of a dog than the tail of a lion.
和訳:ライオンの尻尾になるより、犬の頭になった方がよい
意味は「大きな集団の末端にいるよりも、小さな集団でもリーダーである方が良い」ということを表しています。日本語にも「鶏口(けいこう)となるも牛後(ぎゅうご)となるなかれ」という言葉があり、動物は違いますが、同じ意味になります。
フランス語のことわざ
日本でも人気のある犬種のプードルやフレンチ・ブルドッグの原産国であるフランス。そんなフランスのことわざや慣用句で犬はどのように表現されているのでしょうか。
①Tel chien, tel maître.
和訳:この犬にして、この主人あり
“chien”は犬を表します。日本語にも「犬は飼い主に似る」、「この親にして、この子あり」などの言葉があり、非常に類似しています。
②S’entendre comme chien et chat
和訳:犬と猫のような仲
“chat”は猫を意味し、「仲の悪いもののたとえ」として使われます。日本語でいうところの「犬猿の仲」です。犬と猫が仲良く同居しているご家庭では、違和感があるかもしれませんね。
③Arriver comme un chien dans un jeu de quilles
和訳:ボーリングの最中に犬のようにやって来る
これは「間の悪い時にやって来る」という意味の言葉です。”jeu de quilles”は「ボーリング」を意味し、ボーリングをやっている時にボールを追いかけたがる犬が現れて、レーンの上を走り回りゲームを邪魔するという表現になります。
④Comme Saint-Roch et son chien
和訳:聖ロクスと彼の犬のように
意味は「切り離せない2人」を表します。「聖ロクス」は14世紀頃ペスト患者の看護に尽力したカトリック教会の聖人です。彼を描いた絵にはパンを加えた犬も一緒に描かれています。その犬が怪我をしたロクスに毎日パンを運び、傷を治したという伝説があり、いつも一緒にいるイメージから、この表現が使われています。
⑤Chien qui aboie ne mord pas.
和訳:吠える犬は噛まない
英語や日本語にも同じような表現がありましたが、こちらも意味は似ていて「何も実行せずに大きな口を叩く人のこと」を表します。
「吠える犬は噛まない」という言葉は多くの言語で使われており、ドイツ語、スペイン語、ポルトガル語などでも使われています。
中国語のことわざ
欧米とアジアでは犬との付き合い方の歴史が大きく異なります。アジアの大国である中国では、どのような言葉に犬が使われているのでしょうか。
①狗嘴吐不出象牙
和訳:犬の口から象牙は出てこない
中国語で犬は「狗」と書きます。このことわざは、「ろくでもない人が、立派なことを言えるはずがない」という意味を表します。
②狐朋狗友
和訳:キツネやイヌの友人
意味は「酒食遊楽にふける、品行の悪い友達や悪友」を表します。
③狗尾続貂(くびぞくちょう)
和訳:犬のしっぽが貂(テン)に続く
意味は「劣った者が優れた者のあとに続くこと」または「つまらない者が、権力で次々と高官になること」を表します。
「狗尾」は犬の尾、「貂」はイタチ科の動物であるテンのことで、かつての中国の高官は冠にテンの尾を付けて飾っていました。しかし、皇帝が一族の多くを高官に任命したため、テンの尾が足りなくなり、犬の尾で代用するようになったという話から、このことわざが生まれました。
まとめ
「吠える犬は噛まない」という言葉が多くの言語で、同じような意味で使われていることは、非常に興味深い結果です。
犬は人間との関係が非常に長く深い動物であるため、多くの国でことわざや慣用句に登場します。
今回紹介できたのはごく一部ですので、興味がある方はぜひご自身でも調べてみてください。
病院で働く犬・ファシリティドッグの役割と今後の課題
犬に癒し効果があることは科学的にも証明されています。犬を飼っているという方は、実際にその効果を実感しているのではないでしょうか。
その癒し効果を活かしたセラピー犬なども活躍していますが、その中でも高度に専門的なトレーニングを受けた「ファシリティドッグ」という犬を知っていますか?
日本ではまだ知名度は低く、限られた医療施設でしか導入されていません。ファシリティドッグは一体どんな活動をしているのか、ぜひこの記事を通して理解を深めてみてください。
ファシリティドッグドッグとは
ファシリティドッグ(facility dog)は、病院などの医療施設に常勤して病気の治療中の子どもたちに寄り添い、精神的なケアや治療の補助を行います。
日本国内では、2010年に静岡県立こども病院で導入されたベイリーという名前のファシリティドッグが最初で、現在は4ヶ所の病院で4頭のファシリティドッグが活動しています。
セラピードッグとの違い
いわゆるセラピー犬と呼ばれる犬は、いろいろな施設を月に何度か訪問します。主な活動は「動物介在活動(Animal Assisted Activity)」で、動物と触れ合うことで、精神の安定や生活の質の向上などを目的としています。
一方で、ファシリティドッグは、特定の施設に常勤します。
主な活動は「動物介在療法(Animal Assisted Therapy)」で、医療行為の一環として参加するため、医療関係者によって作成された計画のもと、カルテなどの公式な記録にも記載されます。また、飼い主であるハンドラーは医療従事者であることも特徴で、早ければ生後5週間頃から約2年のほどのトレーニングを必要とします。
ファシリティドッグの役割
以下のような活動を通して、ファシリティドッグは病気の治療をする子どもたちに付き添ったり精神的なケアをしたりします。
- ベッドでの添い寝
- 薬が飲めない子どもの応援
- 食事がすすまない子どもの応援
- 採血・点滴確保の際の応援
- 手術室への移動の付き添い
- 骨髄穿刺や腰椎穿刺などの処置中の付き添い
- 麻酔導入までの付き添い
- リハビリテーションの応援
- きょうだい・家族のケア
- 最期を看取るときの同席
- 介入ケースの電子カルテ閲覧、記入
- 緩和ケアチームに所属・会議への出席
- ケースカンファレンスへの出席
https://sokids.org/ja/what-we-do/hospital-facility-dogs/より引用
日本の病院で活躍しているファシリティドッグたち
現在は、日本では4頭のファシリティドッグが活躍しています。
静岡県立こども病院のタイ
静岡県立こども病院は日本で初めてファシリティドッグを導入した病院で、初代のベイリー、2代目のヨギが活躍してきました。そして現在は、ゴールデン・レトリバーの男の子のタイがたくさんの子どもたちの支えになっています。
神奈川県立こども医療センターのアニー
神奈川県立こども医療センターでは、2012年7月からファシリティドッグが常勤しています。
アニーはゴールデン・レトリバーの女の子で、2018年10月に先代のファシリティドッグから業務を引き継ぎ活動しています。
東京都立小児総合医療センターのアイビー
アイビーは東京都内初のファシリティドッグです。今までの日本におけるファシリティドッグはゴールデン・レトリバーのみでしたが、アイビーが初めてラブラドール・レトリバーのファシリティドッグとなりました。
国立成育医療研究センターのマサ
マサは2021年7月に着任し、日々さまざまな活動をしています。
病院のホームページでは、マサの業務日誌が公開されています。実際にどのような活動をしているのか興味のある人はぜひ訪問してみてください。
マサの業務日誌
https://www.ncchd.go.jp/hospital/support/facilitydog/gyoumu/index.html
ファシリティドッグの今後の課題
日本においてファシリティドッグの普及を進めるためには、いくつかの課題を解決していかなければいけません。
金銭的な負担の解消
ファシリティドッグを導入するとなると、犬のフードや健康診断、トレーニング用品、ハンドラーの人件費など、年間1000万円ほどかかります。
すでに導入している病院も寄付に頼っている部分が大きいため、アメリカと比べると寄付文化が浸透していない日本では負担が大きく、気軽に導入するのは難しいのが現状です。
認知度の向上
日本ではまだファシリティドッグの存在は一般に知られていません。また、医療現場に犬が入ることに理解を得ることも難しく、普及が進まない原因の一つでもあります。
しかし、衛生管理は徹底していますし、すでに導入している病院の例を見ても効果的であることは明らかでしょう。
ファシリティドッグの存在と有用性が広く知られるようになれば、金銭的な課題も少しずつ改善し、より多くの病院で導入が進むのではないでしょうか。
最後に
闘病中の子どもたちが安心して治療に専念する上で、ファシリティドッグはとても大きな存在です。しかし、日本においてはその知名度は低く、金銭的な理由などにより広く普及するようになるにはまだ時間がかかるでしょう。
ファシリティドッグの普及のために、私たちができることは、その存在や役割を少しでも多くの人に知ってもらうことではないでしょうか。
猫にも狼爪がある?!知って楽しい犬と猫の体の違い
犬と猫は日本のみならず、世界中で最も人気のあるペットです。彼らは、その可愛らしさや忠誠心、そして人との絆を育む才能によって、私たちの生活に欠かせない存在となっています。
そんな犬と猫ですが、生物的な特徴や進化により、体のつくりに共通点や違いが見られます。今回は、犬と猫の体の違いについて比較し、解説していきます。
犬猫の「目」は良いのか悪いのか
猫の目といえば、縦長の細い瞳孔を思い浮かべる方も多いかもしれません。
犬は人間と同じで、明るい場所や暗い場所で瞳孔の大きさが変わっても形は丸いままです。一方で猫の瞳孔は、大きいときは丸く、小さいときは縦長の細い線のようになります。
また、獲物までの距離を正確に把握できる立体視野は、犬は約90度、猫は約120度と、かなりの違いがあります。
狩りの方法の違いで目の機能が異なる
瞳孔の形や立体視野の違いは、狩りの方法の違いによるものです。猫は草むらなどに隠れて獲物を待ち伏せする方法で狩りをします。草の隙間から獲物を狙うため、縦方向にピントを合わせられる縦長の瞳孔と、獲物までの距離を把握できる広い視野が必要になりました。
一方、犬は走って獲物を追い詰める追跡型の狩りをします。隙間から狙うわけではないので縦長の瞳孔にはならず、猫ほど獲物までの距離をきっちり把握する必要もなかったため、立体視野も狭くなったと考えられます。
視力は悪いが優れた能力も
視力については、犬も猫も近眼傾向にあります。犬の場合は犬種によって異なりますが、一般的には0.2〜0.3程度、猫の場合は0.3程度です。
また、犬猫共に人間と比べると、色を識別する能力は低く、赤や緑といった色をほとんど見分けられません。
しかしながら、暗視能力は人間より優れており、犬は人間の1/3、猫は人間の1/6の光量でも物体を認識できるとされています。
また、犬猫共に動体視力も非常に優れており、人間の4倍以上の能力があると言われています。
犬と猫で「歯」の本数や形が違う?!
猫が肉食動物だということは、ご存じの方も多いでしょう。犬の場合は少々複雑で、もともと肉食だったものが雑食よりに変化した動物です。
食べるものの違いから、犬と猫は歯の本数が異なります。
食べるものの違いで歯の本数が違う
犬の永久歯は42本ありますが、猫は30本しかありません。犬や猫を含む多くの哺乳動物は、「切歯」、「犬歯」、「前臼歯」、「後臼歯」の4種類の歯を持ちます。口の先端に近い切歯と犬歯の数は両者とも同じ数が生えていますが、口の奥側の臼歯は犬の方が多く生えています。
この違いは、肉食動物である猫は肉を切り裂くための鋭い犬歯が発達し、肉食に近い雑食動物である犬は臼歯が発達したためです。
狩りの方法の違いで歯の形が違う
犬と猫は歯の形にも違いがあります。これは狩りの方法や獲物の大きさなどに違いがあるためです。
猫の歯は犬と比べると全てが鋭い形をしています。これは狩りの方法が、単独で短時間に小動物を捕らえる形式をとるためです。一瞬で確実に仕留めるため、獲物を捕らえる際には首元に鋭く咬みつきます。
犬の歯は猫と比べると奥歯はそれほど尖っていません。犬の場合は、集団で長時間かけて比較的大きな動物を対象に狩りをします。集団であるため一発で仕留める必要はなく、大型の動物は時間をかけて攻撃し、獲物の動きを鈍らせてから仕留めます。
出し入れ可能な「爪」と狼爪(ろうそう)
猫が攻撃を仕掛ける時、爪を立てて引っ掻くことはよく知られていますね。普段は指の中に収まっている爪ですが、必要な場面になると、筋肉を収縮させて爪を出します。犬の場合、爪の出し入れはできず、常に出しっぱなしです。
出し入れできる猫の爪
猫の爪が出し入れできるのには主に二つの理由があります。一つは、獲物を捕らえるために爪を鋭く保つ必要があるためと言われています。もう一つの理由は、待ち伏せして獲物を狩るためには身を隠す必要があり、歩く音がしやすい爪は普段隠されています。
犬の爪は猫と異なり、出し入れはできず常に出たままで、走る際にはスパイクのような滑り止めの役割を果たします。
ネコ科の動物の中でも、ほとんどの種類が爪の出し入れが可能ですが、走って獲物を追いかけることに特化した「チーター」は犬と同じように爪が出たままです。また、爪を出し入れするための筋肉が未発達な子猫や、筋肉が衰えた高齢猫は爪が出たままのことがあります。
「狼爪」とその役割とは
爪の本数は犬猫共に同数で、基本的に前肢は左右5本ずつ、後肢は左右4本ずつあります。前肢後肢共に地面につく爪は4本で、前肢には地面につかない爪の「狼爪」があります。
前肢に狼爪がある理由は、滑りやすくゴツゴツした岩場や急斜面を登るのに必要だったためと言われています。
また、犬をよく観察していると、ガムのような長い食べ物をかじっているときは、狼爪を器用に使って食べ物を支えているのがわかります。頭や顔のかゆいところを前肢で掻くときも、狼爪を使っている場合があります。
後肢には基本的に狼爪はありません。犬の場合、多くは生まれつきなかったか、ついていた場合はブリーダーなどによって生後すぐに切除されたかの、どちらかになります。出産に人間が関わらなかった犬の場合は、後肢に狼爪がついている場合があります。
例外的にピレネー山脈の傾斜地で活躍していた犬の「グレート・ピレニーズ」などは、後肢に狼爪を持つことが犬種の標準だとされています。グレート・ピレニーズの場合は後肢に2本の狼爪があり、後肢には合計で6本の爪がある個性的な犬種です。
猫の場合は犬ほど後肢の狼爪を持つ個体は多くありませんが、稀にいるようです。
まとめ
今回は犬と猫について、体の作りの違いをご紹介しました。動物が生きていく上で非常に重要な活動である「狩り」が、体のつくりに大きく関連していることがよくわかります。
ペットの健康で幸せな暮らしを実現するために、ペットの体の知識は非常に重要です。日頃から、ご自身の愛犬や愛猫たちの体をよく観察してみてくださいね。
飼育放棄が急増!コロナ禍で世界中の人々を癒やしたペットたち
新型コロナウイルスが世界的に流行し始めてから3年以上が経ち、ようやく日常が戻ろうとしています。コロナ禍では、人々の不安や孤独感を埋めるために、世界中で多くのペットたちが新しい飼い主に迎えられました。
しかし、非常に残念なことに、世界にはコロナの終焉と共に飼育放棄されてしまうペットたちが数多くいます。今回は、そんなコロナと世界のペット事情について取り上げていきます。
癒やしを求めてペット需要が急増した「イギリス」
イギリスではパンデミックのさなか、急激なペット需要の増加が見られました。
イギリスのペット産業協会「UK Pet Food」の統計によると、2020年から2022年にかけて、犬は約900万頭から約44%増の1300万頭、猫も750万頭から60%増の1200万頭に飼育頭数が急増しています。うさぎなどの小動物も犬や猫ほどの増加ではありませんが、飼育数は増加しました。
特に2021年は国内だけでは供給が追いつかず、海外から多くの子犬や子猫が輸入されています。ペットやその関連製品の販売額も過去最高を記録し、ペット産業は大いに潤いました。
しかし、2022年に入ると、電気、ガス、食料品など生活に欠かせない物品の物価が高騰し、インフレ率は40年ぶりの高水準となる11%を超えました。するとペットのエサ代や医療費が払えなくなり、飼育放棄する人が続出したのです。
英国王立動物虐待防止協会(RSPCA)によると、2022年7月までに飼育放棄されたペットは、前年の同じ時期に比べ25%増加したそうです。
飼育数の増加に伴い動物福祉の向上が見られる「アメリカ」
米国動物虐待防止協会(ASPCA)の調査によると、アメリカではコロナ禍で5世帯のうち1世帯が犬や猫などのペットを飼い始めました。その多くはまだ飼い主と一緒に暮らしていますが、リモートワークから出社勤務への変更や物価の高騰による飼育費用の問題などを抱えている人も多くいます。
そんな中、2022年6月にニューヨーク州で「パピーミルパイプライン法案(Puppy Mill Pipeline Bill)」が可決されました。この法案は「ペットショップによる犬、猫、うさぎの販売を禁止する。里親探しを目的とする特定の団体が、犬や猫を所有する団体と協力することは許可される。」というものです。
この法律により、営利目的だけの小動物の取引が禁止され、保護された動物たちの里親探しが奨励されることになります。
パピーミルとは「子犬工場」を意味し、無責任で動物福祉に反する繁殖を行う悪質なブリーダーのことを指します。このような繁殖業者を規制する動きは、アメリカの他の州でも見られ、カリフォルニア州、イリノイ州、メリーランド州などではすでに同様の法律が制定されています。
ロックダウンとバカンスの弊害が大きい「フランス」
フランスでは約50%の家庭で何らかのペットを飼っています。
そんなペット大国のフランスですが、コロナの影響で猫の不妊手術が例年通りに行えず、猫が増えてしまい、2021年の子猫の保護施設への引き渡しは2019年に比べて30%増加しました。
犬の場合はさらに深刻で、ロックダウン中に「犬の散歩」が外出理由として認められていたため、安易に犬を飼い始めた人が続出し、その後ロックダウンが解除されると飼育放棄が相次ぎました。
かねてから、フランスでは夏のバカンス前にペットが捨てられることが多く、社会問題となっていました。フランスの動物保護団体の関係者は、その理由をバカンス先にペットを連れていくことが難しいためだと指摘しています。
そもそも、衝動的なペットの購入が飼育放棄の原因と考えられ、フランスの議会上院は2021年11月、動物の扱いに関する法律の改正案を可決しました。この法律の改正により、ペットショップでの犬や猫の展示や販売、インターネットによる犬や猫の販売は、2024年に禁止される予定です。
日本でも飼育放棄が起こっている
日本もコロナ前の2019年と2020年、2021年を比較すると、欧米ほど顕著に増えたわけではありませんが、犬や猫の新規飼育頭数は増加しています。
日本ペットフード協会の調査によると、2020年の新規飼育数(推計)はコロナ前の2019年比で、犬が18%増の41万6千頭、猫は16%増の46万頭でした。2021年も犬・猫ともに2019年を上回り、犬は13%増の39万7千頭、猫は24%増の48万9千頭が新たに飼われています。
飼育放棄の割合はデータとして出ていませんが、動物保護団体からはコロナが収まってくるにつれ、保護数も増加したという声が多く聞こえてきます。
最後に
今回は、日本と諸外国におけるコロナ禍のペット需要の増加や物価高騰の問題、各国で制定された法律などについてご紹介しました。残念ながら、今回取り上げた国以外でも世界情勢に翻弄されるペットたちが数多くいることは間違いありません。
このような問題に対して、自分に出来ることは何かをぜひ考えてみてください。ペットを衝動買いしようとしている人がいたらよく考えるように説得することや、SNSで動物福祉について投稿することもとても大切です。
一人ひとりができることは小さいかもしれませんが、同時に同じようにペットたちを心配している人も世界中にたくさんいます。多くの人が少しずつでも行動すれば、悲劇的なペットたちを生んでしまう世界を変えられるかもしれません。
犬にも利き足はある?性格診断やトレーニングに有効な可能性も
皆さんの「利き手」は左右のどちらでしょうか。ほとんどの人間には利き手があり、世界の約90%は右利き、約10%は左利きだとされています。
動物の「利き手(足)」については、近年まで利き手があるのは人間だけだと考えられていましたが、最新の研究で多くの哺乳類に利き手(足)があると判明しています。
それでは、犬の場合はどうなのでしょうか。今回は犬の「利き足」について解説していきます。
犬の利き足の実験
犬の「利き足」については、イギリス・リンカーン大学の研究チームが1万7901頭の犬を対象にした実験で明らかにしています。
その実験では、犬の前足が入る程度の幅の容器を使い、その中にエサを置きます。犬は前足を使って容器の中のエサを取ろうとしますが、その中で「1.ほとんど右の前足を使う(右利き)」、「2.ほとんど左の前足を使う(左利き)」、「3.どちらを使ったのか判別が難しい(両利き)」の3つのどれに当てはまるのかを調査しました。
その結果、全体の74%の犬が左右どちらかの利き足を持っていることが判明し、そのうち右利きは58.3%、左利きは41.7%でした。やや右利きが多いものの、人間ほどの大きな差は出ませんでした。
なぜ右利きのほうが多いのかという点については、「エサを食べるなどの日常的な動作の指示は左脳が担当する。脊椎動物は左脳が右半身を制御するため、右前足を使っていると考えられる。」としています。
利き足には性差がある!?
犬の利き足には性差があることもわかっています。先述した研究チームの調査では、次のような結果になりました。
性別 | 右利き | 左利き |
---|---|---|
オス | 56.1% | 43.9% |
メス | 60.7% | 39.3% |
全体 | 58.3% | 41.7% |
性差による違いは猫も同様で、オスの方が左利きは多いとされています。人間でも同じで日本人の場合、左利きは男性が3.6%、女性は2.7%で、男性の方が多い結果となっています。
オスの方が左利きの割合が多い理由については定かではありませんが、性ホルモンが利き手に影響を与えている可能性があると考えられています。
利き足と性格は関係する!?
英クイーンズ大学ベルファスト校准教授のデボラ・ウェルズ氏の論文では、利き足と性格に関連があるとしています。例としては次のような特徴があげられます。
- 両利きの犬は左右どちらかが利き足の犬より攻撃性が高い傾向にある
- 利き足がはっきりしない犬は、録音された雷や花火の音に強く反応する
- 左利きの犬は右利きよりも状況によりストレスを示しやすい
また、犬も人間と同じで右半身をつかさどる「左脳」はポジティブな感情を担っており、左半身をつかさどる「右脳」は恐怖や不安などのネガティブな感情に関係しています。そのため、何か課題をこなす時に左足を使う犬は、右足を使う犬よりネガティブな感情を抱いている可能性があります。
ただ、犬の性格を利き足だけで判断するのは難しいのだそうです。他の性格テストやしっぽの振り方など併せて考えることで、その犬への理解が深まるとウェルズ氏は語っています。
利き足は空間認識にも影響する!?
イタリア・バリ大学獣医学部の研究チームにより、空間処理の優位性と利き足との関係が明らかになりました。
15×8=120区画の仕切りがある特殊な容器におやつを入れ、中央から右側と左側のどちらが優先的に選ばれるかを調べました。
(参照:Relationship between visuospatial attention and paw preference in dogs | Scientific Reports)
空間処理の優位性は、中央より右側のおやつをたくさん食べたときは「右の視野が優先」、逆に中央より左側のおやつをたくさん食べたときは「左の視野が優先」と定義しています。
その結果、次のような事実が判明しました。
- 「右利き」の犬は右の視野を優先的に処理する
- 「左利き」の犬は左の視野を優先的に処理する
- 両利きの犬は視野の処理に優先順位がない
この研究結果は犬のトレーニングにも応用できる可能性があります。例えば、指で犬に指示を出す「ハンドシグナル」を出す時、その犬が見やすい位置に出すことで上手くトレーニングができるかもしれません。また、犬を飼い主の横に歩かせる「ヒール(ツケ)」を教える際も、右側にするか左側にするかの判断材料になるでしょう。
犬の利き足を調べる方法
最初にご紹介した実験では、犬の前足が入る程度の幅の容器にエサを入れ、取り出す様子から犬の利き足を調べていましたが、その他の犬の利き足の調べ方をご紹介します。一つの方法での判別は難しいので、複数を試して判断します。
「お手」で調べる
一番簡単なやり方は「お手」をさせて頻繁に差し出す足がどちらなのかチェックする方法です。「お手」のような反復練習で覚える動作の場合、犬が差し出す足は「利き足」であることが多いと言われています。
「コングテスト」で調べる
有名な犬用玩具の「コング」におやつを詰め、コングが動かないように固定するのに利用した足を利き足として調べる方法です。有名なテストですが、両足で押さえてしまうことも多いようです。
最初に踏み出す足を観察する
人間と同じ様に、犬も利き足から歩き出す傾向があります。「マテ」をさせておき「オイデ」と呼んだ時に、どちらの足を先に動かすかを見ると判断しやすくなるでしょう。動画で撮影するとよりわかりやすくなります。
まとめ
今回は犬の利き足についてご紹介しました。ご自身の愛犬の利き足がどちらなのか、気になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ただ、犬の利き足は人間の利き手ほど判りやすいものではありません。いろいろなテストをしたり、様々な場面を観察したりしていると、だんだんわかってくる場合が多くあります。
地道な方法ではありますが、観察を続けることで愛犬の新たな一面が発見できるかもしれませんので、試してみてはいかがでしょうか。
1位は日本でも人気のあの犬!アメリカの人気犬種ランキング
アメリカの愛犬団体、アメリカン・ケネル・クラブ(AKC)が発表した2022年の人気犬種ランキングで、日本でも人気の「ある犬種」が、長年1位だったラブラドール・レトリーバーを抑えて1位になりました。
アメリカでのラブラドール・レトリーバーの人気は根強く、トップの交代はなんと31年ぶりです。
では一体どの犬種が1位になったのでしょうか。今回はアメリカで人気の犬種をランキング形式でご紹介します。
アメリカの人気犬種11~20位
人気犬種の11~20位は、日本でも人気の可愛い愛玩犬から、日本ではほとんど見られない強そうな大型犬までバラエティに富んだ犬たちがランクインしています。
順位 | 犬種名(日本での順位) |
---|---|
20 | シー・ズー(10) |
19 | グレート・デーン(55) |
18 | イタリアン・コルソ・ドッグ(96) |
17 | ミニチュア・シュナウザー(5) |
16 | ボクサー(48) |
15 | ドーベルマン(36) |
14 | キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル(22) |
13 | ヨークシャー・テリア(8) |
12 | オーストラリアン・シェパード(63) |
11 | ウェルシュ・コーギー・ペンブローク(14) |
シー・ズーやウェルシュ・コーギー・ペンブロークなどは日本でもよく見かける犬種です。グレート・デーン、ボクサー、ドーベルマンといったドイツ原産の強面の大型犬もアメリカでは人気のようです。
オーストラリアン・シェパードは「オーストラリアン」と名前に付きますが、アメリカ原産の犬種です。「シェパード」というとジャーマン・シェパード・ドッグのような外見を思い浮かべるかもしれませんが、どちらかというとボーダー・コリーに似ています。
18位には日本では聞き馴染みがない「イタリアン・コルソ・ドッグ」がランクインしています。全く知らない方というも多いのではないでしょうか。
イタリアン・コルソ・ドッグとは
イタリアン・コルソ・ドッグは「カネ・コルソ」や「イタリアン・マスティフ」とも呼ばれ、日本以外では「カネ・コルソ」の呼び名が多く使われます。1980年代頃まで、イタリア南部の一部地域のみで護衛犬や番犬として活躍する珍しい品種でした。アメリカン・ケネル・クラブでは2010年に「カネ・コルソ」として登録されました。
体重は40~45kgの大型犬で、緻密で光沢のある被毛をもちます。家族に対しては愛情深い性格ですが、見知らぬものには警戒心が強いことで知られています。
アメリカの人気犬種4~10位
4位~10位には日本でも人気がある犬種やよく知られた犬種がランクインしています。
順位 | 犬種名(日本での順位) |
---|---|
10 | ジャーマン・ショートヘアード・ポインター(127) |
9 | ダックスフンド(3) |
8 | ビーグル(24) |
7 | ロットワイラー(45) |
6 | ブルドッグ(30) |
5 | プードル(1) |
4 | ジャーマン・シェパード・ドッグ(31) |
プードルやダックスフンドなどは日本でも人気があり、よくご存じの方も多いでしょう。ここでもドイツ原産の強面犬のシェパードやロットワイラーがランクインしています。
10位には日本では馴染みのない「ジャーマン・ショートヘアード・ポインター」が入っています。ジャーマン・ショートヘアード・ポインターとはどういった犬なのでしょうか。
ジャーマン・ショートヘアード・ポインターとは
19世紀中頃にドイツで作られた猟犬で、引き締まった筋肉質な体、深い胸、幅広の垂れ耳が特徴の大型犬です。毛色は画像のように頭や背がブラウンで、白地にブラウンの斑点のある犬が多くいますが、ブラウン単色の毛色なども認められています。
猟犬としての能力が高いため、運動量を多く必要とする犬種ですが、アメリカでは猟犬としてではなく、主に家庭犬として飼われています。
アメリカの人気犬種トップ3
トップ3はやはり世界的に人気の犬種がランクインしています。そして、いよいよ注目の1位の発表です。
順位 | 犬種名(日本での順位) |
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3 | ゴールデン・レトリーバー(11) |
2 | ラブラドール・レトリーバー(13) |
1 | フレンチ・ブルドッグ(6) |
日本でも人気のある大型犬のゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバーがランクインしています。この2犬種は世界的にも安定した人気があり、イギリス、ドイツ、フランスなどの国でも人気の犬種ランキングの常連です。
1位は日本でも人気のあるフレンチ・ブルドッグです。
一番人気のフレンチブルドッグ
フレンチ・ブルドッグのブームはアメリカのみならず、今や世界的な現象です。人懐こい性格や無駄吠えの少なさ、運動量が比較的少なく短毛で手入れがしやすい点などから、主に都市部で人気を獲得しました。
さらに、海外セレブたちの愛犬として注目を浴びたことによって、爆発的な人気を博しています。
まとめ
今回はアメリカの人気犬種をご紹介しました。日本のランキングとは大きく違い、驚きもあったのではないでしょうか。
人気になる犬種は、その国の住環境、文化、治安、犬との歴史や付き合い方などによって、大きく変わります。
犬の人気犬種から世界を見てみると、新たな興味深い発見があるかもしれません。
【ギネス世界記録】びっくり&かわいい!世界記録を持つ動物たち
4万件以上の多種多様な記録が登録されている「ギネス世界記録」。その中には様々な動物の記録もあり、びっくりするようなものや、思わずほっこりしてしまうようなかわいいものもあります。
今回はそんなギネス世界記録から、犬や猫以外のいろいろな動物たちの記録をご紹介します。
のろまとは言わせない「足が速いカメ」
イギリスのダーラムにあるアミューズメントパークに住むリクガメの「バーティ」は秒速28cmで歩き、世界で一番足が速いカメの称号を手にしました。
のろまと言われるカメが早く歩く様子がこちら。
ペットでカメを飼ったことがある方の中には「ウチのカメの方が早い!」と思った方もいらっしゃるかもしれません。
ペットとして飼われることが多い「ミドリガメ」や「クサガメ」は半水棲亀で、カメのイメージに反して動きが早く、寿命は20~30年程。
対して、バーティのような「リクガメ」は基本的に陸上のみで生活し、動きが遅い分寿命は長く、約30年~60年程です。バーティはリクガメの中で一番早く歩けるということですね。
強面ながら心優しい「長い角をもつウシ」
世界で最も長い角を持つウシは、アメリカのアラバマ州に住むオスのウシの「ポンチョ」。左右の角先から角先までの長さはなんと323.74cmもあります。人間が2人分くらい、軽自動車の車体程の長さになります。
そんなポンチョの立派な角はこちら。
ポンチョはテキサスロングホーンという品種のウシで、本来であれば角は伸びるのと同時に上向きにカーブしていきます。しかし、ポンチョは成長しても角が上向きにならず、横に緩やかなカーブを描く形をしていました。そして、角の長さを計測したところ、前記録保持者の角の長さを2.748cm 超え、ギネス世界記録を更新しました。
立派な角を持つため強そうに見えますが、実は優しい性格のポンチョ。地元の人気者で、会いに来る人たちはりんごやにんじんなどのポンチョの大好物を持ってきてくれるのだそう。
飼い主のジェラル・ポープさんは、普段から地域貢献への想いが強く「この地域はアラバマのなかで最も貧しい場所の1つですが、世界一のロングホーンのいる場所だと胸を張って言えるようになりました。」と語っています。
大きな角で地域の誇りになり、優しい性格で人と人を繋げるポンチョは、いろいろな意味で貴重な存在となっています。
マルチな才能も「ダンクシュートをきめるうさぎ」
アメリカ、カリフォルニア州に住むホーランドロップという種類のうさぎの「ビニ」は1分間にバスケットボールのダンクシュートを7回決め、世界記録を樹立しました。飼い主はビニと一緒にボールと箱を使って遊んでいた時に、ダンクシュートをやるというアイディアを思いついたそうです。
さらにビニはダンクシュートだけでなく、「ジャンプ」や「絵を描く」などの芸もこなし、マルチな才能を見せてくれます。
そんなビニのダンクシュートの様子がこちら。
一生懸命動き、合間におやつを食べる姿は何とも可愛らしいですね。
ダンクシュートをきめるモルモットも!
ハンガリーのドムボーバールで暮らすモルモットの「モリー」は、30秒間に4回ダンクシュートを決め、ギネス世界記録を打ち立てました。
モリーは元々体を動かしたり、スポーツをしたりするのが大好きで、バスケットボールも楽しんで遊んでいるそうです。それだけでなく、飼い主と一緒に遊んだり、トリックをしたりするのも大好きなのだそう。
モルモットは、このような遊びや運動で刺激を受け、より健康で幸せに生きられると言われています。
まるで犬のよう「トリック(芸)をこなすうさぎ」
フィンランドのトゥルクに住むターウィは1分間に20もの芸を披露し、ギネス世界記録に認定されました。その技は「ハイタッチ」や「回転」、「ハードルジャンプ」など犬が行うような技もあれば、「カードを引く」、「紐を切る」など一風変わったものもあります。
そのトリックを披露している姿がこちら。
大人しいイメージがあるうさぎですが、ターウィは賢く機敏にトリックをこなしています。
飼い主のアイノさんはターウィを飼い始めた頃から、今まで接してきたうさぎの中でも最も活発で賢いことに気付き、ギネス世界記録に挑戦できるかもしれないと思ったそうです。
指で押すとカチッと音がする「クリッカー」という道具を使って成功したことを伝え、その直後にターウィの好物のニンジンや乾燥バナナを与えるという方法で教えました。しかし、ターウィはあまりに元気すぎたため、集中させるのには一苦労だったそうです。忍耐強くじっくりトレーニングし、だんだんとトリックが上達していきました。
アイノさんはこの記録を通じて、うさぎの能力をより多くの人に知ってもらいたいと願っているそうです。また、ペットたちの秘めた能力を引き出せるのは飼い主だけだとも語っています。
まとめ
今回は様々な動物たちの世界記録をご紹介しました。
特にうさぎやモルモットとなどの動物のトレーニングは難しく、とても根気が必要だったのではないかと思います。ただ、飼い主も一緒に楽しんで取り組む姿勢は素晴らしく、動物に対する愛情もよく伝わってきました。
世界記録とまではいかずとも、ペットと一緒に楽しめる遊びを生活の中に取り入れていきたいですね。
卯年に考える!学校のうさぎ小屋はなぜ減ったのか
2023年の干支の「うさぎ」。特徴的な長い耳や柔らかい毛など、可愛らしいポイントがたくさんある動物です。近年うさぎを飼う人は急増していて、大手ペット保険会社のアニコム損保では、うさぎの契約件数が2015年度から2020年度で、約6.4倍に増加しています。
うさぎは鳴くことがなく、散歩の必要もないため、手がかからず飼いやすいと考えられていることが人気の理由の一つです。そして今年は卯年ということもあり、「うさぎブーム」も話題になっています。
一方で、かつてどこの学校にもあったうさぎ小屋は減少しています。うさぎを飼う人は増えたのに、なぜ学校のうさぎ小屋は減ってしまったのか。今回は、うさぎの学校飼育の問題点を掘り下げていきます。
学校で動物を飼育する意義とは
そもそも、なぜ学校で動物を飼う必要があるのでしょうか。文部科学省の小学校学習指導要領には学校飼育動物の意義について、次のように記載されています。
小学校学習指導要領 2章5節
動物を飼ったり植物を育てたりする活動を通して、それらの育つ場所、変化や成長の様子に関心をもって働きかけることができ、それらは生命をもっていることや成長していることに気付くとともに、生き物への親しみをもち、大切にしようとする。
動物との触れ合いは、子供の情操教育にとって非常に重要なことと言われています。全国の小学校で動物が飼育されているのは、動物との触れ合いを通し、子供たちに思いやりの心を育むことが目的です。
特に子供時代に動物が好きなのにもかかわらず、家庭の事情などでペットを飼えなかった人の中には、学校で飼育されている動物を世話した経験がとても貴重だったと語る人もいます。
さらに、永岡文部科学大臣も2022年12月20日の記者会見で、学校での動物飼育について、次のようにコメントしています。
「デジタル化が進展する時代であるからこそ実体験からの学びも重要だ。児童が生き物への親しみを持ち、命の貴さを実感するために、学校における継続的な動物飼育を行うことは、やはり意義がある。」
うさぎの学校飼育廃止のネット署名は2万人も
しかし、実際には文部科学省の方針とは逆行するように、学校におけるうさぎの飼育廃止を求めるネット署名には2万人を超える人が賛同し、注目が集まっています。
その理由として次のような点が、うさぎが学校での飼育に不向きだとされています。
不適切な飼育環境
学校のうさぎの飼育環境は適切ではない点が指摘されています。本来うさぎは温度管理が必要な動物で、湿気と強い風には極端に敏感なので、屋外飼育には向いていません。
また、毛玉症の予防のためにもこまめにブラッシングする必要がありますが、ほとんどの学校で行われていないと見られます。
子供への負担
うさぎや、うさぎのエサとなるイネ科の植物のアレルギーを持つ子供に配慮する必要があります。特に後者のアレルギーは多くいると言われています。
また、長期休みの間の飼育当番を負担に感じる子供や保護者もいるようです。
教師への負担
ただでさえ、教師の過酷な労働実態が問題となっている昨今です。その上、教師に飼育動物の管理や児童への指導まで求めるのは酷だと言えるでしょう。
また、学校によっては命の大切さやうさぎの飼い方を学ぶ授業がなく、ただ当番が回ってくるから世話をするだけというケースも少なくありません。新たな授業を増やすことは教師への負担になるため、せっかく動物がいても子供の学びにつながっていないのです。
学校での飼育の問題点とうさぎブームの関連性
学校でのうさぎの飼育廃止を求める人たちの中には、動物愛護の観点から、不適切な環境である学校での飼育はよくないという意見を持つ人が多くいます。
また、「よくない環境で動物を育てることは子供の学びにつながらない」、「学校のようないい加減な飼い方で良いんだと子供が学んでしまう」といった、子供の学びに悪影響になるのではないかという意見もあります。
「うさぎブーム」の面では、うさぎの飼育には手がかからないというイメージが仇となり、想定外の難しさからくる飼育放棄の件数も増加しています。
うさぎは繊細でストレスに弱い動物です。飼い主は常にうさぎの体調を気にかけてあげる必要があり、室内でも十分な運動をさせなければならず、時には爪切りやブラッシングも必要で、飼育は決して楽ではありません。
うさぎブームと学校での飼育を関連付けて言うならば、学校でうさぎの生態を学び、しっかりと世話をし、動物を飼う大変さを体感出来れば、ブームだからといって安易に飼おうとはしないのではないでしょうか。教育の場である学校での飼育で簡単に飼えるようなイメージをつけてしまうのは、かなり問題があると言えるでしょう。
どの動物にも言えることですが、干支だから、ブームだから、寂しいからといって安易に飼ってはいけません。事前に動物の飼い方をよく学ぶこと、適切な飼い方をすること、終生飼育をすることはとても重要です。
そういったことを学ぶのが情操教育の目的であるはずですが、真逆の結果を引き起こしているのではないかと思えてなりません。
まとめ
大阪府の例をあげると、うさぎやニワトリなどを飼育する小学校は15年前の79%から令和4年度の21%まで大きく減少しています。(大阪府教育委員会調査※大阪市、堺市を除く)
不適切な環境で飼育される動物が減ることは良いと考えることもできますが、先ほどご紹介したような、動物が好きでも飼うことが出来ない子供の学びの場が減ってしまうのは非常に残念です。
子供の情操教育のために何が出来るのか、そして学校の動物が幸せに暮らすためには何がベストなのか、改めて考える時機なのではないでしょうか。