【ギネス世界記録】いろんな特技をもった芸達者な犬たち
ギネスブックで知られるギネス・ワールド・レコーズには、なんと4万件以上の記録が登録されています。しかしながら、全ての記録が書籍に載ったり、ギネスのwebサイトに記載されたりするわけではありません。
それらの記録の中には犬に関するものもたくさんあり、非常にユニークで興味深いものもあります。今回は、そんなギネス世界記録を持つ犬たちをご紹介していきます。
欲張りなボール好き「たくさんのボールを咥える犬」
アメリカ・ニューヨーク州に暮らすゴールデンレトリバーの「フィンリー」は一度に6つのボールを咥え、ギネス世界記録の「犬がくわえたテニスボールの最多数」に認定されました。
元々遊ぶことが大好きで活発なフィンリーが、ボールをたくさん咥えるようになったのは2歳の頃から。
お父さんがテニスボールを投げると、フィンリーはキャッチしてそれを一度地面に落とし、ボールがもう1つ投げられるのを待ちます。投げられたボールを一気に咥えて持って帰るうちに6つものボールを一度に咥えられるようになりました。
練習して習得したわけではなく、遊んでいるうちに自然とギネス世界記録を更新できる程の特技になったそうです。
見ているだけで爽快「風船早割り記録」
ギネス世界記録には以前から「犬が100個の風船を割る最速時間」という項目がありました。
多くの犬たちが挑戦し、記録を更新していきましたが、2017年にカナダに住むウィペットの「トビー」は28.22秒でこの競技の新記録を更新しました。
トビーが風船割りを始めたのは、飼い主との散歩中にたまたま通りがかったフェンスに風船が挟まっていて、それを回収するためトビーに割ってもらったのがきっかけでした。あっという間に割ってしまったトビーを見て、飼い主はギネスに犬の風船割りの記録があるのを思い出したそうです。
トビーにピッタリの競技だと思い、それからギネスの記録にチャレンジしていくわけですが、たまに公式挑戦と同様の練習をするだけで、ほとんどはいつもの遊びの中で風船割りをしていました。
ただ、記録を達成するのは簡単ではなく、トビーの才能と飼い主の多大な努力の賜物だったそう。その分得られるものも多い貴重な功績だと飼い主は語っています。
みんなで息ピッタリ「一列で行進する犬たち」
ドイツ在住の当時12歳の少女、アレクサさんが8頭の犬と共に「最も多くの犬によるコンガライン」を達成しました。
「コンガライン」とは犬が前の犬に両前足をかけて列を作り一列に行進するもので、記録としては先頭の犬が最低5メートルの距離を歩くというもの。
ドッグトレーナーの父を持つアレクサさんは、父の影響を受け、若干5歳で犬のトレーニングを初めたそうです。毎日時間が許す限り犬たちと共に過ごし、トレーニングに励んでいるとのこと。
その努力が実り、この「コンガライン」の記録だけではなく、「犬が5つのハードルを後ろ足で飛び越えた最速記録」と「犬による後ろ歩き5メートル走の最速記録」を達成していて、3つの世界記録保持者でもあります。
アレクサさんは成功の秘訣について、「犬たちをよく知り、そして犬が得意なことを見つけだすこと」と語っており、将来は犬を訓練する学校の設立を目指しているそうです。
まさに芸達者「数多くのトリック(技)をこなす犬」
カナダ生まれのボーダーコリーの「ヒーロー」は、400以上の技を持つ芸達者犬。
そんなヒーローがギネス世界記録の「1頭の犬が1分間のうちにできる芸の最多数」に挑戦すると、なんと以前の記録を17も上回った49もの芸を披露し、大記録を打ち立てました。
パートナーはドッグトレーナーでもあるサラ・カーソンさん。ヒーローと共に彼がまだ生後4ヶ月の頃から練習を積み重ねてきたそうです。
息が合った素早い動きには互いの信頼感を感じますし、何よりヒーローが楽しそうに取り組んでいるのが印象的です。
世界一の芸のレパートリーを持つ犬
現在は先程のヒーローがタイトルを持つ「1頭の犬が1分間のうちにできる芸の最多数」という記録名の種目ですが、かつては時間の制限がなく、できる芸の数で記録されていました。
1999年、カナダのオンタリオ州に住むトイプードルの「シャンダリア」は469もの芸のレパートリーがあったそうです。
ピアノを弾く、絵を描く、スケートボードに乗るなど様々な芸ができ、さらには芸が終わった後、使ったおもちゃの片付けまでこなしていたそう。
物覚えが良く、トレーニングを前向きに行える犬でないと、ここまでの記録は出せないと言えますね。
三つの世界記録を持つ、日本の有名犬
日本でギネス世界記録を持っている犬の中でも、特に有名なのがビーグルの「プリン」です。テレビ出演やSNSでご存じの方も多いのではないでしょうか。
プリンは、なんと3つのギネス世界記録を持っています。
世界記録①1分間に犬と人が1本の縄跳びで跳ぶ最大回数
プリンが飼い主の熊谷さんと一緒に縄跳びをした記録です。2016年5月に51回に及ぶジャンプに成功し、記録認定されています。
そこから数か月間さらなる練習を重ねて、58回ジャンプすることに成功し、自らギネス世界記録を更新することになりました。
世界記録②1分間に犬が足でボールをキャッチした最多回数
サッカーのゴールのようなセットの中で、プリンがゴールキーパーとなり、飼い主が投げたミニサッカーボールを14個キャッチしました。
世界記録③ボールに乗った犬が10メートル進む最速記録
ボールに乗ったまま前に進み、10メートルを10.39秒という速さで駆け抜けるという記録を打ち立てました。
まとめ
2項目でご紹介した「風船早割り」の特技を持つトビーの飼い主は、「このような芸はその犬に合っていて、犬自身が楽しんでやれるものをやらせてあげるべき」と語っています。同様に今回ご紹介した犬たちは、飼い主と共に楽しんで記録にチャレンジしているように見えたのではないでしょうか。
人間と同様に犬の才能も様々ですので、ぜひご自身の愛犬の特技を見つけてあげてください。もしかしたらギネス世界記録保持犬になれるかもしれません。
ただ、ギネス世界記録は難しくても、多くの犬は「世界一、私(飼い主)や家族を愛する犬」のタイトルを持っていると言えるかもしれませんね。
保護活動の救いとなるか?!改正動物愛護法における数値規制とは
2019年に「動物の愛護及び管理に関する法律(動物愛護管理法)」が改正され、2022年までに段階的に施行されています。
この改正の特徴の一つとして、動物の飼育に関して初めて「数値規制」が導入されました。
今回は、数値規制を導入した行政側の狙いと、それによって影響を受ける動物保護団体の活動の問題点を解説していきます。
なぜ数値規制を導入したのか
以前までの動物愛護管理法には、適切な飼育の条件となる「飼育頭数」、「従業員数」、「飼育スペースの広さ」などに具体的な規定がありませんでした。
そのため、自治体が不適切な飼育現場を指導するための法的な根拠がなく、悪質な業者に指導することが出来なかったり、業者自身も不適切な飼育環境だという認識がなかったりという問題がありました。
適切な飼育環境を数値で表すことによって、基準を守っていない場合は指導することができ、速やかに改善しなかったり、改善の意思がなかったりする事業者に対しては、最終的に動物取扱業の取り消しも可能になります。
具体的な数値制限とは
2019年の改正動物愛護管理法では、「繁殖年齢や回数」、「飼育環境の温度や湿度」、「臭気の基準」など様々な数値規制が導入されましたが、特に注目したいポイントは「飼育スペース」と「従業員数」です。
飼育スペース
身動きが取れないような狭いゲージに動物を入れっぱなしにし、運動も出来ないような劣悪な環境で飼育するペット関連業者も存在します。
数値による規制が出来ることによって、違反行為が具体的で明確になりました。
■運動スペース一体型飼養等(平飼い等)を行う際のケージ等の基準のイメージ
(画像:環境省「動物取扱業における犬猫の飼養管理基準の解釈と運用指針~守るべき基準のポイント~」より)
従業員数
一人の従業員が世話をする頭数の制限を設けることによって、一人で何十頭、何百頭の動物を抱え、十分な世話をされず放置されるような環境を減らしていく効果が期待できます。
■従業員一人当たりが飼養又は保管をする頭数の上限
犬の場合 | 22年 | 23年 | 24年 | 25年 |
---|---|---|---|---|
ブリーダーなど(繁殖用) | 25 | 20 | 15 | |
ペットショップなど(販売用) | 30 | 25 | 20 | |
動物保護団体など(非営利)※ | 30 | 25 | 20 |
猫の場合 | 22年 | 23年 | 24年 | 25年 |
---|---|---|---|---|
ブリーダーなど(繁殖用) | 35 | 30 | 25 | |
ペットショップなど(販売用) | 40 | 35 | 30 | |
動物保護団体など(非営利)※ | 40 | 35 | 30 |
※動物保護団体などの第二種動物取扱業では、法律の施行後にブリーダー等の第一種動物取扱業から譲渡される動物が増加する可能性が考えられるため、完全施行時期を1年遅らせることになっています。
詳しい飼育基準の数値制限等はこちらをご覧ください
動物取扱業における犬猫の飼養管理基準の解釈と運用指針~守るべき基準のポイント~/環境省
厳しい状況におかれたペット業界
先に述べたような動物愛護管理法の数値規制導入にあたって、ペット関連の業界団体や一部の繁殖業者からは、「廃業に追い込まれる業者も出る」と強い反発がありました。
実際に数値制限の導入後に繁殖犬・猫を減らすブリーダーは増えていると言われており、全国のブリーダーに対して実施されたアンケートによると約30%のブリーダーが廃業も視野に入れているとされています。
その結果、一部では13万頭以上の犬や猫に保護が必要になり、殺処分が増えると主張する意見もあります。しかし、そういった行き場のない動物たちの受け皿となる動物保護団体も数値規制の対象となるのです。
保護団体のキャパシティと葛藤
ブリーダーの廃業が進み、手放された動物たちが保護団体へ引き渡されたとしても、保護頭数が法律の数値規制以上に増えてしまった場合、保護団体はスタッフの増員や飼育スペースの拡張を迫られます。
もちろん、それには莫大な資金が必要になり、多くの保護団体の頭を悩ませる問題となっています。
また、動物保護活動をされている方の多くが、1頭でも多くの動物を救いたいと考えています。そうした方々の「保護したいが数値規制のために断らざるをえない」という苦しみは、金銭面だけでなく精神的な負担も強いています。
しかし、保護団体への数値規制で保護が出来なくなる動物が増える一方で、保護団体と称する劣悪な環境の施設を減らすことも可能になるでしょう。
「保護する動物の数」と「保護後の飼育の質」のバランスが非常に難しい問題となっています。
最後に
日本のペット業界の問題として、ペット産業の「大量生産、大量廃棄」が指摘されています。数値規制により悪質なブリーダーが減り、大量生産がなくなれば、大量廃棄つまりは殺処分や遺棄の減少が期待出来るかもしれません。
しかし、それに至るまでの過程で保護団体にかかる負担や、懸念されている殺処分の増加は避けて通れない問題です。
残念ながら、多くのペットたちが幸せに暮らせる環境になるには、まだまだ解決すべき問題が山積しています。まずは多くの人が現状を知り、少しずつでも改善していくことを願います。
猫と暮らすと癒されて健康になる?!飼い主さんのメリットを紹介
猫を飼っていると「癒される」と多くの飼い主さんが思っているのではないでしょうか。猫の柔らかく温かい体に触れているだけで、心が落ち着きますよね。
実際に、猫が人間の健康や心にもたらすさまざまなメリットについて研究が進んでいます。今回は人が猫と暮らすメリットについての研究を紹介、解説します。
猫といると癒されて幸福感が高まる
大きなメリットは「猫に癒される」ことでしょう。猫を撫でるなどの触れ合いによって「オキシトシン」というホルモンが放出されると考えられています。そのため、気持ちが落ち着いたり不安が軽くなったりすることが期待できるのです。
オキシトシンは、分娩時に子宮を収縮させたり母乳の分泌を促したりする働きがあることで知られていました。さらに人と人の触れ合いや愛着、社会活動に深く関係するホルモンでもあり、ストレスの緩和や不安の軽減にも関与しています。
2015年には、「人と人」だけでなく「人と犬」との間でもオキシトシン分泌されることが報告されています。この報告により、信頼関係にある人と犬ではアイコンタクトが増え、双方にオキシトシンが分泌されることが判明しました。
猫の場合も、撫でて触れることでオキシトシンが分泌されると考えられています。ただし、飼い主側の一方的で強引な触れ合いでは、効果はないかもしれません。猫も人もリラックスしていることが重要でしょう。
子どもたちの心を癒す猫
猫は子どもの情操教育や命の教育、コミュニケーションにも良いといわれています。
たとえば、不登校や引きこもりの心配がある子どもにとっても猫は大きな存在です。
実際に不登校の子どもたちを受け入れている長野県動物愛護センター「ハローアニマル子どもサポート」では、猫をはじめとする動物の存在が子どもたちの心理状態の改善や自我の安定に役立つと報告しています。
「子どもサポート」にいる動物は、長野県内の保健福祉事務所から引き継いだ犬や猫、センターが飼育するウサギやモルモット、ヤギなどです。特に、勝手で自由気ままな行動をする猫が、緊張している子どもたちをなごませる存在になっています。
同センターの所長は、
「同じ空間にただいるだけでいいのだ」
(引用:松澤 淑美 【医学系】動物が人を癒すメカニズム~人と動物の絆~ バイオフィードバック研究 2021 年 48 巻 2 号 p. 67-71)
と述べています。
犬のようにアイコンタクトやお手などは必要ないので、無理に仲良くなろうと思わなくてもいいところがポイントのようです。
コミュニケーションをとる猫
しかし、「ミケ」という猫だけは、自分から子どもにコミュニケーションを取っていると報告しています。数多くの施設見学者のなかから、ひきこもりなど支援の対象になる子どもを見分けて真っ先にすり寄って甘えるとか。「ミケ」に甘えられた子どもたちは「また来たい」と話すそうです。
「ミケ」は瀕死の状態で保護された猫。その猫が、ひきこもりの子に一歩踏み出す勇気を与えるというのも不思議なものを感じます。もちろん同センターでは、犬も子どもたちを元気にする大切な存在です。
高齢者の孤独感が消失して情緒が安定する
高齢者の方にとっても、猫は元気を与えてくれます。一般社団法人ペットフード協会によると65歳以上の高齢者へのアンケート結果では、犬や猫を飼っているグループの方が飼っていないグループに比べて「通院回数が少ない」「孤独感やストレスを抱えていない」という回答が多くありました。
「情緒が安定するようになった」という回答は、犬を飼っている高齢者の40%に対し猫を飼っている高齢者は49%と大きく上回っています。
高齢の方にとっても、猫は孤独感やストレスを解消するコンパニオンアニマルといえるでしょう。一人暮らしの高齢者の方が猫を飼うことは、大きなメリットがあると考えられます。しかし、高齢の方の突然の入院などトラブル発生時の課題が残ります。
飼い主さん自身が、ペットシッターなどあらかじめトラブル発生時に来てくれる人を探しておくなど準備も必要です。近所の人や友人知人など、周囲の声掛けなども欠かせません。
猫を飼うと健康上のメリットが期待できる
猫の飼育が、人の健康にもメリットをもたらすといわれています。ここでは2つの研究結果をご紹介します。
猫を飼うと血圧が下がる
「高血圧症の治療を受けているニューヨークの株式仲買人が、猫や犬を飼ったところ血圧が安定した」というニューヨーク州立大学による研究結果が、1999年アメリカ心臓協会の年次大会で発表されました。
この実験に参加したのは、喫煙歴がなく高血圧の症状(140/90/ml以上)がある男性24人、女性24人の株式仲買人です。彼らは過去5年間一人暮らしをしており、ストレスにさらされる仕事を行っています。ペットは飼育していません。無作為で薬のみの治療を行うグループと、猫や犬を飼うグループに分けそれぞれ半年間過ごしました。
半年後、ストレスがかかる暗算やスピーチなどのテストを行いました。犬や猫を飼っていないグループは薬物治療で血圧が下がっていたものの、テストによって血圧が上昇しました。
一方、犬や猫を飼っていたグループでもテストによって血圧は上昇しました。しかし、犬や猫を飼っていないグループに比べて、上昇した値は半分程度だったのです。
仕事では、緊張するシーンが多くストレスもたまりやすかったでしょう。犬や猫と暮らすことで緊張感がほぐれた結果、血圧も上がりにくくなったとも考えられます。
心疾患や脳卒中による死亡リスクが減る
アメリカで、「猫の飼育によって心臓発作の死亡リスクが約30%低下する」という研究報告が2009年に発表されました。
猫を飼っている人や猫を飼っていた人、犬を飼っている人、飼っていない人など4,435人を20年間追跡したところ、「猫を飼っていない人に比べ猫を飼っている、あるいは飼っていた人は心筋梗塞などで死亡するリスクが低い」という結果が得られました。
興味深いのは、ペットを飼ったことのない人よりも、かつて猫を飼ったことがある人のほうが死亡リスクは低いという結果です。猫の存在はそれだけ人にとって大きなものなのでしょう。
猫との暮らしで癒されるとストレスが減る、不安が少なくなるといったメリットが心臓病など深刻な病気を減らすのかもしれません。
猫の動画を見るだけでも癒される?
興味深いことに、猫の動画を見るだけでも気持ちが前向きになり、エネルギーが高まるという研究報告があります。これは2015年インディアナ大学の研究者が約7,000人を対象に調査したものです。参加者らは、猫の動画を見たあと「不安やいら立ち、悲しみなどが少なくなった」「エネルギッシュで前向きになった」など報告しています。
「やるべきことを先延ばしにした罪悪感よりも猫の動画を見た喜びの方が大きい」などの意見もありました。仕事中に動画を見ても、猫の動画ならそれほど罪悪感がないのかもしれません。ちなみに参加者のうち約36%が猫好きで、60%が猫と犬どちらも好きということでした。
住宅事情などで猫を飼えない人も、猫の動画を見ることで元気になれそうです。
猫への依存し過ぎに注意しよう!
猫との暮らしには、これまで見てきたようにさまざまなメリットがあります。一方で、猫への依存し過ぎにも注意が必要です。常に猫が心配で短時間の外出しかできなくなるなど、自分自身の生活がままならない状態になる恐れもあります。
いつでもべったり一緒だと、猫も飼い主さんに依存するようになりがちです。そうなると、ちょっとした留守番でも大きなストレスになり「鳴き続ける」「粗相をする」などの行動を起こすかもしれません。
ペットに依存しやすい人は、対人関係のトラブルを持ちやすく幸福感が低めという報告もあります。
猫は自分に癒しをくれるだけでなく、「家族など人々とのコミュニケーションにも役立つ」と言われていますので、人間関係を円滑にすることにも目を向けることで依存するリスクは減ります。もともと猫は単独行動をする動物です。猫からもらうたくさんのメリットに感謝しつつ、ほどよく距離感を保って生活するといいですね。
【ギネス世界記録】いろんな身体の特徴を持った犬たち
2022年10月3日、存命中の最高齢の犬としてギネス世界記録に認定されていた「ペブルス」という犬が22歳で永眠しました。ペブルスはアメリカのサウスカロライナ州で飼われていたメスのトイ・フォックス・テリアです。
日本国内の犬の平均寿命は14.65歳(2021年一般社団法人ペットフード協会調べ)ということを考えれば、いかにペブルスが長生きをしたのかがわかりますね。
そこで、この記事では様々なギネス記録を持っている犬たちを、ご紹介していきます。
ロバ並の大きさ「世界一大きい犬」
世界で最も大きい犬はアメリカのミシガン州に住んでいた、グレート・デーンの「ゼウス」。
体高(足先から肩までの高さ)が111.8cmもあり、これは平均的なロバの大きさに相当するのだそう。後ろ足だけで立ち上がると226cmもあり、隣に並ぶとほとんどの人間は小さく見えてしまいますね。
ゼウスがいかに大きいかが分かる動画がこちら。
大きな体とは対照的に非常に穏やかな性格で、病院を訪問するセラピードッグとして活躍しましたが、残念ながら2014年、5歳の若さで亡くなりました。
かつては最も重い犬の部門もあった
イギリスのロンドンで暮らしていたマスティフの「ゾルバ」は体重がなんと156kg(1989年に計測)。幕内力士の平均体重が157kgですので、それに匹敵する体重です。
しかし近年は、最も重い動物の記録がギネスブックに記載されなくなっています。その理由として、記録狙いの飼い主がペットへ過剰なエサを与えることによる、動物の健康被害を防ぐためであると言われています。
りんご並の小ささ「世界一小さい犬」
世界で最も小さい犬(体高が低い)はプエルトリコのドラドに暮らす、チワワの「ミリー」。体高9.65cm、体重450gという小ささです。平均的なチワワの体高は12~23cm程度ですので、大きめのチワワの約半分、りんご程度の大きさと言えます。
生まれた時はティースプーンに収まるほどの小ささで、授乳は通常の哺乳瓶ではなく目薬の容器で行ったそうです。
ミリーがいかに小さいかが分かる動画がこちら。
その小さくて愛らしい写真がSNS等で拡散されると、瞬く間に世界中の人々を魅了し、一躍人気者となりました。
小さい犬には危険も伴う
ミリーは体高が最も小さい犬でしたが、体の長さ(鼻先からしっぽの先まで)が最も小さい犬は、アメリカのフロリダ州に住んでいたチワワの「ヘブンセントブランディ」。体長が15.2cm、体重は900gの小ささでした。しかし、ヘブンセントブランディは、その小ささゆえに日常生活において他の犬にはない様々な苦労がありました。
例えば、あまりにも体が小さいため、カバンの中に忍び込んだことに気付かれず、そのまま飛行機に乗ってしまったことがあったそうです。
また、骨格が脆く、肺が小さいため、吠えることが出来ませんでした。そのため、家族がヘブンセントブランディを見失ってしまった場合、居場所がわからず、踏みつけてしまう危険性が常につきまとっていたそうです。
世界一の子だくさん「世界最多産犬」
イギリスのケンブリッジに住んでいた、ナポリタンマスティフの「ティア」は、一度の出産で最も多くの子犬を産んだ犬としてギネス記録に認定されています。その数はなんと24頭。
一度の出産で生む子犬の頭数は犬の大きさなどにより変わってきますが、小型犬であれば平均3.5頭、大型犬では7.1頭、ナポリタンマスティフのような超大型犬では10頭以上産むことも珍しくはありませんが、ティアの場合はその倍以上の数です。
出産は動物病院で帝王切開にて行われ、子犬たちが全て取り出されると、そこにはオスが15頭、メスが9頭もいたそうです。 残念ながら、そのうちの1頭は死産で、その後3頭は生後1週で死亡してしまったため、生き残ったのは20頭になりました。
健康で元気が一番「世界最高齢犬」
冒頭でご紹介したペブルスは「存命中の世界最高齢犬」でしたが、ギネス記録に認定されている最も長生きした犬は、オーストラリアン・キャトルドッグの「ブルーイー」で、29歳5ヵ月まで生きました(1939年没)。オーストラリアのビクトリア州で牧羊犬として暮らしていたそうです。
ブルーイーの29歳という年齢を人間に換算すると約140歳にもなり、平均的な犬の2倍のご長寿さんです。
日本のご長寿犬
日本にもかつて存命中の世界最高齢犬のギネス記録を持っていた犬がいました。柴犬系のミックス犬で名前は「プースケ」と言います。2011年に26歳8か月で老衰により亡くなりますが、その直前まで自力でエサを食べ、散歩もしていたそうです。
また、プースケは外飼いの犬でした。一般的に外飼いの場合、室内飼いよりも寿命が2~3年ほど短いと言われていますので、驚きの生命力ですね。
まとめ
様々な身体の特徴を持った犬たちをご紹介しましたが、愛犬には長生きをして欲しいと思う方も多いと思いますので、特にこの中の「世界最高齢犬」の暮らしは参考にしていきたいところです。
冒頭でご紹介した、ペブルスの飼い主によると「家族のように扱うこと」、「できるだけ幸せでポジティブな環境、衛生的な食べ物を与えて、適切な健康管理をすること」が長寿の秘訣だそうです。
寿命は生まれ持った性質や犬種によって違ってきますが、少しでも長く一緒に暮らせるように、愛犬の生活にも取り入れていきたいですね。
妊婦は猫を飼ってはいけない?トキソプラズマ症を正しく知ろう!
猫を飼っている方なら、「妊娠中に猫を飼ってはいけない」などという言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。しかし、なぜこのように言われるのかよく知らないという方も多いかもしれません。
では、本当に妊娠中に猫を飼ってはいけないのでしょうか。また、猫を飼っているときに妊娠が発覚した場合はどうすればいいのでしょうか。
今回は、妊婦が猫を飼ってはいけないと言われる理由について解説していきます。
原因はトキソプラズマ
トキソプラズマとは寄生性原生生物の一種で、人を含む多くの恒温動物に寄生してトキソプラズマ症を引き起こします。トキソプラズマは段階によって以下の三つの形態をとります。
- 増殖型(タキソイド)…感染初期に見られる。寄生した細胞内で分裂を繰り返し増殖する。
- シスト…慢性期に見られる。
- 腸管型(オーシスト)…猫の体内で作られ、うんちと一緒に環境中に放出される。
トキソプラズマ症の症状
トキソプラズマ症は、全人類の1/3以上が感染しているといわれるほど広く蔓延している感染症です。しかし、健康な人が感染してもほとんどが発症せず、発症しても発熱や筋肉痛、倦怠感などのインフルエンザの様な症状が出るのみです。
一方、免疫機能が低下している人が感染した場合は、脳炎や肺炎、脈絡網膜炎などの重篤な症状が現れることがあります。
妊婦はなぜ危険?
妊婦がトキソプラズマに感染してしまうと、胎児へ感染し先天性トキソプラズマ症を患う可能性があります。妊娠初期の感染ほど重症化しやすいとされており、死産、流産、水頭症、視力障害、運動機能障害が起こります。
猫はトキソプラズマの終宿主であるため、妊婦が猫を飼ってはいけないといわれるのはこのためです。
感染歴を確認しよう!
では、猫を飼っているときに妊娠が発覚したらどうすれば良いのでしょうか。基本的には医師に相談することが重要ですが、トキソプラズマの感染歴を調べることで、猫を飼っていてもまったく問題がないこともあります。
そのため、猫を飼っていて不安な方は、まず病院で感染歴があるかどうかの検査をしましょう。
猫に感染歴がある
猫のうんちからトキソプラズマのオーシストを排出するのは初めて感染してから3日〜3週間の間のみです。一度感染すれば、猫の体内にトキソプラズマの抗体が作られるため、以降はうんちの中にトキソプラズマを排出することはありません。
人に感染歴がある
健康な人がトキソプラズマに感染しても無症状で気づかないことも多く、実はすでに感染していたという人も少なくありません。猫と同様に一度でも感染したことがあれば、妊婦であっても心配する必要はありません。
どちらも感染歴がないと危険
妊婦も猫も感染歴がない場合は重症化したり、胎児に感染してしまう可能性があり危険です。すでに妊娠している場合は、トキソプラズマに感染しないようにしっかり対策をしなければいけません。
トキソプラズマ対策
人用のワクチンは存在しないため、トキソプラズマに感染したことのない妊婦は、感染しないように対策することが大切です。
1. 飼い猫のトイレ掃除はなるべく家族に任せる
猫のうんちにはトキソプラズマのオーシストが含まれている可能性があり危険です。うんちに直接触れなくても、猫砂や猫砂を浴びた猫から感染する可能性もあります。
猫のトイレ掃除はできるだけ避け、家族にお願いするようにしましょう。どうしても避けられない場合は、使い捨て手袋やマスクを着用し、終了後はしっかり手を洗うことが大切です。
なお、猫がうんちをしてから24時間以内であれば感染性はないとされているため、こまめに掃除するようにしましょう。
2. 庭や公園の砂場も要注意
庭や公園の砂場も野良猫のトイレ場になっていることが多く、感染の危険があります。こちらもできるだけ触らないようにし、どうしても触らなければいけない場合は、手袋をして、しっかり手を洗いましょう。
3. 肉はよく火を通す
トキソプラズマは生肉から感染することもあります。肉は中心部の赤みがなくなるまでしっかり火を通して食べるようにしましょう。生肉自体に触ることもあまりよくありません。
また、生肉を切った包丁やまな板はこまめに洗浄し、常に清潔に保つようにしましょう。
4. 野菜はよく洗う
野菜が収穫された土壌にトキソプラズマがいた可能性もあります。野菜を生で食べる場合はしっかり洗いましょう。
5. 猫を外に出さない
もし愛猫にトキソプラズマの感染歴がない場合、外に出した際に他の猫や砂場から感染してしまう可能性があります。室内で飼っている猫は外には出さず、脱走されないようにしっかり対策をしましょう。
まとめ
「妊婦が猫を飼っているとよくない」という話はよく聞きますが、なぜよくないのかという理由をきちんと理解していないと誤った対応をしてしまうかもしれません。
トキソプラズマに妊婦が初めて感染した場合は危険ですが、過去に感染したことがあれば問題はありません。どちらなのかわからないという方は、まずは病院で相談しましょう。
本来は問題ないのにも関わらず、猫を手放すことのないように注意してくださいね。
【犬の保育園】子犬のうちに!行かないと起こりうる5つのリスク
最近ようやく認知度が上がってきている犬の保育園や幼稚園ですが、決して悩みがある子だけが行く場所ではありません。「愛犬には悩みはないから大丈夫」と思っていても、犬の保育園や幼稚園に行かなかったことで悩みが出てくる可能性もあります。
そこで、今回は犬の保育園に行かないことで起こりうるリスクやお悩みになりやすい行動について具体的に紹介します。
犬の保育園とは
犬の保育園とは、家庭で飼われている愛犬を日中のみ預かり、トレーニングや登園している犬たちと遊んだりする場所です。場所によって細かい点は異なりますが、多くの犬の保育園ではトレーニングとエネルギーの発散が行われます。
また、「犬の幼稚園」もあります。お店によっては、保育園と幼稚園とで明確な違いを謳っているところもありますが、基本的には大きな違いはないと考えて良いと思います。お店によってはトレーニングはなく預かりのみの所もあるようですので、気になる保育園や幼稚園の具体的なサービス内容は事前に確認が必要です。
子犬のうちに保育園へ行かないことで起こりうる5つのリスク
保育園はうちの子には関係ないと思っている方もまだまだ多いと思います。特に子犬をお迎えした場合、小さなお悩みはあっても深刻なお悩みが迎えてすぐの段階であるのは稀でしょう。
しかし、お悩みがないから保育園に通わないのではなく、お悩みが出ないようにするために保育園に通っていただきたいとドッグトレーナーとして強く思います。具体的に子犬のうちに保育園に通わないことで起こり得るリスクを見ていきます。
リスク①社会化不足
保育園は良質な社会化に最適な場所です。社会化に最も適した時期である社会化期は個体差はあるものの、生後3週から12週目と言われています。この時期の半分以上はご自宅にお迎えする前であることがほとんどですので、飼い主が社会化期に社会化できる期間は一瞬です。
さらに、ご自宅でできる社会化の量や質はどうしても限られ、警戒心が上がり社会化不足が原因のひとつとなって様々なお悩みを抱えることが多いのが現状です。また、社会化はただ様々なことを経験すれば良いわけではなく、その子にあったレベルで徐々に行うことも非常に大切です。
その点で、犬の保育園はプロのドッグトレーナーが愛犬の性格や得意不得意を把握したうえで、質の良い社会化を実施します。また、周りには登園している犬たちもいるため、安全な環境で犬に慣れる意味でも有益な場所ではないでしょうか。
社会化不足が原因でよく聞くお悩み
- 散歩中、在宅中に通行人への吠え、怯え
- 他の犬への吠え、怯え
- 音への過剰な反応
- 散歩時の引っ張り
- 散歩時に歩かない
- ブラッシングなど家でのお手入れが苦手
- トリミングが苦手
※社会化以外の原因が含まれることもあります
リスク②エネルギー発散不足
子犬も人が思う以上に体力があります。特にワクチンが終わるまで散歩をしない方もまだ多いと思いますので、その場合は特に発散が不十分であることが多いです。子犬は睡眠時間が成犬よりも長めではありますが、月齢を追うごとに体力も付いてきます。その時に発散がしっかりできていないことで、人としては困る行動が出やすくなります。
発散不足が原因でよく聞くお悩み
- 甘噛み
- ハウスでの吠え
- 夜中や朝方に吠える
- 家具などを噛む
- 食糞
※発散不足以外の原因が含まれることもあります
これらの行動は、発散する方法を子犬自らが考えた結果であったり、発散できずにストレスが溜まった結果として出る行動が多いです。
一方、保育園に通っている子は、保育園後はぐっすり寝るという話は飼い主からよく聞きます。保育園はトレーニング、人との遊び、犬同士の遊びを通して多くの発散ができます。また、ご自宅ではない場所に身を置くことによる刺激もあり、良い疲れが良い睡眠を促し、結果としてお悩み軽減に繋がると考えられます。
リスク③自信不足
人と同じで犬も様々な成功体験を通じて自信を付けることが大切です。これは社会化に通じる部分もありますが、家でルーティン化した日々やお留守番が多い生活をしていると、普段と違う局面になった時に対応ができず怖くて逃げる、吠える、身を守るために攻撃行動に出るといった行動を取りやすくなります。
保育園はご家庭ではできない多くのことを経験し、成功体験を通じて自信を付ける機会に多く触れることができます。自信が付くと、初めての局面でも落ち着いていられたり、極度に怖がらずに対応することができます。
リスク④飼い主と離れられない
昨今、在宅勤務が増えたことで留守番の機会が減ってうれしい反面、飼い主と離れられず、飼い主の姿が少し見えないと鳴く、眠れない、夜鳴きする、お留守番ができないといったお悩みも増えているようです。ご自宅や飼い主の存在が安心に繋がるのはとてもいいことですが、飼い主と数時間離れていても落ち着いていられるようにすることも大切です。
保育園では、飼い主がいない場でトレーナーや他の犬たちと楽しい経験をします。さらに、お昼寝の時間があることもあり、ご自宅以外でもリラックスして寝る練習や経験ができ、飼い主がいなくても寝られるという自信を付ける効果もあるでしょう。
リスク⑤トレーニング不足
トレーニング不足は室内やお散歩時のお悩みに繋がるのはもちろんですが、飼い主との関係性の欠如にも繋がると考えています。褒めて行うトレーニングは、愛犬とポジティブなコミュニケーションを取る手段のひとつです。ただし、トレーニング方法を誤ると逆効果になってしまいます。
その点、保育園ではトレーニング方法を飼い主に細かく教えているところもあり、ご自宅でもトレーナーと同じ方法で飼い主と愛犬がトレーニングできます。様々なことに対応できるようになることはもちろん、飼い主と愛犬の関係性もより良いものになるでしょう。
まとめ
リスクというやや強い表現での紹介をしてきましたが、そのくらい犬の保育園は一日も早く生後5か月までに利用していただきたい場所です。
犬の保育園は、健康な社会化期まっさかりの子犬にとってはメリットだらけです。先に紹介したリスク5点を緩和できる場所と考えていただいてもいいでしょう。また、ご自宅以外にも愛犬が楽しく安心して過ごせる場所を作る意味でも有益だと思います。
まずは、犬の保育園はお悩みが出る前から行く場所、お悩みが出るのを遅らせる場所という認識に変わると、トレーナーとしてうれしいです。
傷つく動物をなくしたい!虐待事件の現状と「どうぶつ弁護団」の活動
動物保護団体の懸命な活動や法律の改正など、動物たちを守る機運が高まっている現代においても、動物への暴力事件や悪質な多頭飼育によるネグレクトなど、動物虐待事件はあとを絶ちません。
今回は、そんな動物への虐待問題に焦点をあてて、その現状と、今までにない動物保護を行う「どうぶつ弁護団」の活動をご紹介していきます。
年々増加する動物虐待事件
警視庁の発表によると、令和3年(2021年)に全国の警察が検挙した動物虐待事犯は過去最多の170件。平成24年(2012年)は29件であったため、10年間で5倍以上検挙数が増えています。
この検挙数増加の背景には、単純に動物を虐待する人間が増えたというわけではなく、動物虐待を問題視する社会的な関心の高まりや、動物愛護管理法改正の影響により犯罪とされる行為の範囲が広がった影響が考えられます。
世論の追い風や法律の改正によって、動物たちにとってより良い世の中に変わりつつあるのかもしれません。しかし、未だ動物虐待を事件化するのには、高いハードルがあります。
動物虐待事件の認知や捜査の難しさ
動物虐待事件が発覚しづらい点として、次のような問題が挙げられます。
- 動物は虐待の被害を自ら申告できない
- 飼い主から虐待されているケース、野良猫のような飼い主がいないケースなど、虐待を告発できる人間が存在しない
- 密室で行われると、外部から虐待行為を認識できない
また、警察の捜査が難しくなってしまう点として、次のような問題が挙げられます。
- 死亡した動物を発見した第三者が埋葬してしまうなど、虐待の証拠が残りにくい
- 飼育放棄現場では死後時間が経過しているなど、死因がわかりにくい
- 被害を受けた動物が逃げてしまい、犯人や犯行現場の把握が困難になることがある
弁護士による刑事告発の問題点
動物虐待を発見し通報した人の中には、「通報しても警察が対応してくれない」、「本当に捜査をしているか不明」といった不満を持つ人も少なからずいると言われています。
各自治体には虐待を通報する窓口がありますが、警察と効果的な連携ができず、摘発につながっていないケースが多いのも問題点として指摘されています。
警察が動きやすくなるためには、民間人と警察がやり取りするのではなく、法律に精通した弁護士が間に入った刑事告発が非常に効果的ではありますが、ペット問題を取り扱う弁護士は少ないのが現状です。
また、弁護士に依頼することで弁護士費用の問題が出てきます。実際に動物虐待事件を扱う弁護士によると、依頼者のほとんどが個人や中小規模の動物保護団体であり、弁護士費用の捻出が難しい場合も少なくないそうです。
全国初の取り組み「どうぶつ弁護団」
そんな中、2022年9月に動物虐待事件について刑事告発などを行うNPO法人「どうぶつ弁護団」が設立されました。動物への虐待を発見した人が通報しやすい環境を作り、警察の迅速な捜査により、深刻な虐待被害を防ぐことを目的としています。
「どうぶつ弁護団」が行う主な活動
- 個人や動物保護団体などから提供された動物虐待の情報を独自に調査
- 調査の上、必要と判断すれば動物愛護法違反罪などで証拠を集めて刑事告発
- 不起訴になった場合は検察審査会に不服申し立て
- 動物関係の法令や制度に対しての提言
- 動物虐待の予防や動物愛護への理解を深める啓蒙活動
通報者は弁護士費用の心配がなくなる
「どうぶつ弁護団」の活動では、今までのように通報者が弁護士費用を工面する必要はなく、賛助会員の会費によって団体を運営していく方針とのこと。(2023年1月導入予定)
費用の心配がなくなることで、今まで見過ごされていた動物虐待事件にも適切な処罰が下される可能性が広がり、動物虐待を予防する効果も期待されています。
弁護士や各分野の専門家をメンバーに
メンバーは弁護士や獣医師で構成されており、今後獣医師はもちろん、医師や研究者など、広い分野の専門家との連携を目指して活動していくそうです。先述したように動物虐待事件は警察が動きづらいケースもありますが、法律や動物の専門家が警察への橋渡しになることで、スムーズに捜査へ繋げられる可能性が高くなります。
特定非営利活動法人 どうぶつ弁護団 ホームページ
https://animal-dt.org/
最後に
今回は動物虐待問題に焦点を当ててお話してきましたが、動物虐待の処罰や防止は一概に動物のためだけではありません。
凶悪な事件を起こした犯人の中には、人間に対する加害の前段階として、動物虐待を繰り返していた人物は少なくないのです。
また、悪質な多頭飼育の現場では、動物が発する臭いや鳴き声などにより、付近の住民が不快な思いをしながらの生活を強いられています。
傷つく動物を減らすことはもちろんですが、わたし達の安全で平穏な生活を守るという観点からも、動物虐待は見過ごしてはならない問題なのではないでしょうか。
知ってた?猫の舌がザラザラしている3つの理由
猫に舐められるとザラザラしていて、気持ちいいと感じたり、少し痛いなと感じることもありますよね。猫を飼っている人にとっては当たり前に感じることかもしれませんが、猫の舌はなぜザラザラしているのかご存知でしょうか?
この記事では、猫の舌がザラザラしている理由と、色からわかる猫の舌の健康チェックについて解説していきます。
猫の舌の構造
猫の舌には「糸状乳頭」と呼ばれるたくさんの突起があり、この突起が喉に向かってずっしり生えているため、猫の舌がザラザラしているように感じます。
生後間もない子猫には糸状乳頭はありませんが、離乳食を食べ始める頃になると徐々にできてきます。
ちなみに、糸状乳頭には味を感じる味蕾はありません。
猫の味覚は?
味蕾の数は、人間が約1万個、犬が約2000個なのに対し、猫は1000個以下とされています。そのため猫は味覚があまり発達しておらず、酸味と苦味には敏感ですが、塩味には鈍感です。これは、肉食動物である猫が、腐った肉を食べてしまわないようにするためだと考えられます。
また、猫には甘みを感じる受容体がないことがわかっています。
猫の舌がザラザラしている3つの理由
では、一体なぜ猫の舌がザラザラしているのでしょうか?理由はいくつか考えられます。
肉を削ぎ落とす
猫の祖先であるリビアヤマネコは狩りによって獲物を確保していました。食べやすい部分は噛みちぎって食べられますが、骨に残った肉片はうまく食べられません。そこで、ザラザラの舌で舐めとることで、ヤスリの役割を果たし、余すところなくきれいに削ぎ取ることができます。
毛づくろい
猫の舌のザラザラは毛づくろいの際に、汚れや抜け毛を落とすブラシとしての役割があります。
さらに、猫は狩りの際に獲物に自分の存在を気づかれないように、ニオイを舐め落としています。その際に、ザラザラがあることで唾液を皮膚に行き渡らせ、効率よくニオイを落とすことができます。
毛球症に注意
猫は抜けた被毛を飲み込んでしまいます。通常であれば、吐き出したり、うんちとして体内から排出されますが、毛が胃や腸に溜まると「毛球症」になってしまうことがあります。
ひどい場合は外科手術が必要になることもありますので、猫が飲み込む毛の量を減らすためにも、ブラッシングは定期的に行いましょう。
猫同士のコミュニケーション
猫はお互いに舐め合い毛づくろいをすることでコミュニケーションを取っています。
これは「アログルーミング」と呼ばれており、自分では舐められない場所をお互いにザラザラした舌で舐めることで、信頼関係を築いています。
色でわかる猫の舌の健康チェック!
健康な猫の舌はピンク色をしていますが、いつもと違う色をしている場合は病気の可能性があります。口元を気にする素振りを見せたり、場合によっては食事がうまくできなくなってしまうこともありますので、猫の舌に違和感があれば動物病院を受診しましょう。
舌が赤い
腫れやただれが見られ、口内炎や口内潰瘍、口腔がんの可能性が考えられます。舌だけでなく、歯茎なども赤く腫れ、口臭がすることもあります。
猫の口内炎はウイルス感染によるものも多いため、ワクチンを接種して事前に対策をしましょう。
舌が白い
貧血の恐れがあります。また、口内炎や口内腫瘍が疑われることもあります。
舌に黒い斑点がある
通常のホクロであれば問題ありませんが、急に大きくなったり硬く隆起してきたりする場合は、メラノーマ(悪性黒色腫)の可能性もあります。
生まれつき舌に黒い斑点をもつ子もいるため、もともと黒いのか、気づいたら黒くなっていたのかをしっかり判断する必要があります。
猫が舌をしまい忘れているのはなぜ?
猫を飼っている方なら、猫の舌が少しだけ出しっぱなしになっている様子を見たことがあるという方も多いかもしれません。
この出しっぱなしの舌は猫がリラックスしている証拠です。野生時代の猫は、いつ敵に襲われるかわからず常に気を張っていたため、舌が出しっぱなしになることはありませんでした。しかし、人と一緒に暮らすようになるうちに気を張る必要がなく、舌が出てしまっていると考えられます。
一方で、何らかの原因で口呼吸しかできなくなってしまったせいで、舌が出ている可能性もあります。よだれが出ていたり、いつもと違う様子が見られたら、動物病院で相談してください。
まとめ
普段の生活ではあまり気にならない猫の舌のザラザラですが、ザラザラしている理由はいくつかありました。
猫の舌が赤く腫れていたり、白くなっていたりする場合は、口内炎や口腔がん、貧血なども考えられます。猫の舌を見る機会はあまりないかもしれませんが、悪化すると食事ができなくなってしまう可能性もありますので、スキンシップやエサを与える際に定期的に確認しましょう。
また、猫が舌を出しっぱなしなのは、安心しリラックスしている証拠だと考えられます。ただし、病気の可能性もゼロではありませんので、様子がおかしいようであれば動物病院を受診してくださいね。