現在では多くの猫の飼い主が、当たり前のようにキャットフードを与えていますが、少し前までは人間の食事の残りを猫の餌として与えていたことも珍しくありませんでした。
しかし、いわゆる「ねこまんま」と呼ばれる食事は、複数の観点から猫に与えるべきではありません。
この記事では、猫に「ねこまんま」を与えてはいけない理由を詳しく解説していきます。人間の食事と同じものを与えているという人は、この記事を読み、キャットフードへの切り替えを検討しましょう。
この記事の目次
関東と関西のねこまんま
「ねこまんま」と聞くと、どのような食べ物を想像するでしょうか?実はねこまんまは、関東と関西では作り方が異なります。
関東風のねこまんま:ご飯にかつお節をまぶしたもの
関西風のねこまんま:ご飯に味噌汁をかけたもの
白米をベースに、家に常備されているかつお節や、余った味噌汁が用いられており、作り方は非常に簡単です。
なお、埼玉生まれ埼玉育ちの筆者は、関西風のねこまんましか知りませんでした。逆に、関西出身だけど関東風のねこまんましか知らなかったという方も多いようです。
ねこまんまを猫に与えてはいけない3つの理由
ねこまんまは関東風と関西風の2種類あることがわかりましたが、どちらも猫に与えるのはよくありません。では、実際にねこまんまのどのような点がいけないのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
理由①かつお節がダメ
猫の好物でもあるかつお節は、たんぱく質やビタミンが豊富で、香りが良く、食欲のない猫には食欲増進の効果が期待できるでしょう。しかし、ミネラルが豊富に含まれているため、摂取しすぎると腎臓に負担がかかり、腎臓病や尿路結石を引き起こす可能性もあります。
ミネラルには、カルシウム、マグネシウム、ナトリウムなどがあり、マグネシウムを摂りすぎると、結石の原因であるストラバイトが発生する確率が高まると考えられています。
かつお節には100gあたり70mgのマグネシウムが含まれており、10gのかつお節を食べると7mgのマグネシウムを摂取することになります。体の小さな猫にとって、7mgでも結構な量でしょう。どうしても与えたい場合は、1g程度の少量をフードにふりかけるようにしてあげてください。
また、人間用のかつお節には塩分が含まれているため、与えてはいけません。
ことわざ:猫に鰹節
「猫に鰹節」ということわざを聞いたことはありますか?
これは、猫のそばに好物の鰹節を置くと盗み食いされてしまうことから、「油断できないこと」「危険であること」を意味しています。
理由②味噌がダメ
味噌は、大豆や米などの穀物に、塩と麹を加えて作られる発酵食品です。たんぱく質やアミノ酸、ビタミン類も豊富に含まれていることから「医者殺し」と言われるほどの栄養価があります。
しかし、味噌には大量の塩分が含まれています。人間であれば汗をかいて塩分を外に排出できますが、ほとんど汗をかかない猫が過剰に塩分を摂取すると、腎臓などの臓器に負担がかかります。
人間が食べる味噌汁は、猫にとってみると過剰な量の塩分が含まれています。猫はもともと腎臓病になりやすい動物であり、腎臓に負担をかける塩分の摂取には気をつけなければいけません。
また、味噌の原料である大豆がアレルギーを起こす可能性もあります。
理由③味噌汁の具がダメ
味噌汁の定番の具として、長ネギや玉ねぎがあります。これらのネギ類を猫が食べてしまうと、赤血球に含まれるヘモグロビンが酸化し、赤血球が破壊されてしまいます。場合によっては、命を落としてしまうこともあるため、猫には絶対に与えてはいけません。
ネギ類を食べると、以下のような中毒症状が現れます。
- 貧血
- 嘔吐
- 下痢
- 歩行不安定
- 食欲不振
- 呼吸困難
これらの症状は食べてから半日〜数日後に現れることが多く、誤って食べてしまった場合は、症状が現れなくてもすぐに動物病院に連れて行きましょう。
米は与えても問題ない?
生米のまま猫に与えると消化不良を起こしてしまいますが、炊いた米であれば問題ありません。
しかし、肉食動物である猫は、本来穀物を食べる習慣がありません。そのため、糖の消化や代謝を十分には行えないことから、猫に米を積極的に与える必要はありません。
猫が好んで食べる場合は、主食にはせず、スプーン1杯程度に留めましょう。
やっぱりキャットフードが一番
キャットフードも年々進化していき、栄養バランスを考えられたものはもちろん、病気に特化したものや、年齢に応じたものなど、バリエーションもさまざまです。猫にもフードの好き嫌いはありますが、愛猫が喜んで食べるフードを見つけてあげてください。
私たち人間が普段何気なく食べているものでも、他の動物にとっては害となるものがたくさんあります。手作りのご飯を与える場合は、食材や摂取カロリーには十分気をつけましょう。
また、腎臓病になりやすい猫にとって塩分は大敵です。日頃から猫の健康に気をつかい、猫にとって安心で安全な食事を選択してあげてください。