犬の飼い主の皆さんは、「香り」について意識したことはありますか?香水や柔軟剤は、人にとってはおしゃれやリラックスするためには欠かせないものかもしれませんが、犬にとっては健康に影響を及ぼす危険なものになる可能性があります。
犬と人間が共に過ごす中で、香りは避けられないものですが、少し気を付けるだけで愛犬もリラックスして過ごせるようになるかもしれません。
今回は犬と香りについて解説していきます。人と愛犬がより快適で安心な暮らしを送れるよう、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の目次
犬の嗅覚は優れている
犬は鼻の中のにおいを感じ取る嗅上皮(きゅうじょうひ)とよばれる粘膜層が広く、嗅細胞も多いため、人間の数千〜数億倍の嗅覚をもつといわれています。そのため、人が感じ取れないほどのにおいであっても感じ取れてしまいます。
嗅ぎ分けるのが得意なにおい
犬が敏感に嗅ぎ分けられるのは酪酸と吉草酸(きっそうさん)です。
酪酸は天然に多く分布しており、バターやチーズなどに含まれる物質で、人の汗の主成分でもあります。吉草酸は不快臭を放つカルボン酸の一種で、足の裏のにおいはこの異性体であるイソ吉草酸が原因です。
警察犬が人のにおいを敏感に嗅ぎ分けられるのは、これらのにおいを人の100万倍以上も嗅ぎ取ることができるためです。
犬が苦手なにおい
タバコやアルコール、芳香剤などの人工的なにおいは特に苦手です。
また、酸味のあるミカンやレモンなどの柑橘系のにおいも苦手な子が多いと言われています。これは、酸味のあるにおいが腐った食べ物と認識してしまうためだといわれています。
さらに、辛いもののにおいも刺激が強いため苦手です。
犬種により嗅覚の強さは異なる
嗅覚の強さは犬種によっても異なります。嗅覚の強い犬種を飼っている場合は、普段の生活において、より一層気を付けてあげる必要があります。
嗅覚が優れている犬種
嗅覚が優れている犬種は以下の通りです。
- ジャーマン・シェパード・ドッグ
- ビーグル
- ブラッドハウンド
ブラッドハウンドは日本ではあまり聞きなれない犬種ですが、ジャーマン・シェパード・ドッグやビーグルよりも多くの嗅細胞をもっており、警察犬として世界中で活躍しています。
嗅覚が劣る犬種
嗅覚が劣る犬種は以下の通りです。
- パグ
- フレンチブルドッグ
- ボストンテリア
いわゆる短頭種は鼻が短い分、嗅細胞が少ないため、他の犬種に比べると嗅覚が劣るといわれています。
過度な香りは犬に悪影響
嗅覚が優れている犬にとっては、香水や柔軟剤の香りを強烈に感じることがあり、少量であっても愛犬にとっては悪影響となる可能性があります。飼い主が普段から香水を利用している場合は、愛犬との関係が悪くなってしまうこともあるかもしれません。
では、なぜ犬はこれらの香りが犬に良くないのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
におい自体が苦手
犬は自然なにおいを好む傾向があり、人工的な香りは敬遠してしまうことがあります。苦手なにおいが身近にあると、強いストレスを受け続けてしまい、飼い主との関係も悪化しかねません。
成分が良くない
香水の成分が、アレルギー反応や呼吸器疾患を引き起こすことがあります。特にアルコールが多く含まれる香水は、犬の皮膚や鼻の粘膜に刺激を与えることがあります。
自宅で気をつけたい香り
「香害」という言葉もある通り、過度な香りはストレスの原因となり、犬が安らぐ場所であるべき家で安らげなくなってしまうこともあります。人にとっては当たり前な香りも、犬にとっては嫌な香りである可能性を考えましょう。
自宅で特に気をつけたい香りは以下の通りです。今まであまり気にしなかった方も、これを機に確認してみましょう。
- 香水
- 柔軟剤
- ルームフレグランス
- アロマオイル
- お香
- 化粧品
犬への悪影響を防ぐためには、以下の対策を実践しましょう。
- 香りが強いものを使用しない
- 犬の寝る場所や居場所を香りが届かないような場所に設定する
- 部屋の換気をこまめに行う
飼い主にとってリラックスできる香りであっても、愛犬にとってはストレスの原因になっている可能性も考え、生活環境を見直してみてください。
犬が好きな香り
犬が好きなのは飼い主のにおいです。そのため、飼い主のにおいが付いた洋服やタオルを犬の寝床に置いておくと、不安やストレスが軽減されることがあります。逆に、愛犬が苦手な香りをまとっていると、飼い主を「苦手なにおいがする人」と認識してしまう可能性があるため注意が必要です。
また、食べ物のにおいは生存に必要なものであるため、個人差はあるものの、犬は本能的に好む傾向が強いです。
最後に
普段の生活において、においを意識したことはありますか?人にとってリラックスできる香りであっても、愛犬にとっては苦手でストレスの原因となることもあります。
犬が苦手な香水や柔軟剤を使ってしまうと、愛犬との関係が悪化する可能性も考えられます。嗅覚の強さや香りの好みは犬によってそれぞれ異なりますが、愛犬が安心して過ごせる環境を整え、ぜひ絆を深めてください。