母猫がいない生まれたての子猫を保護して飼う場合、心配なのは育て方ですよね。ミルクはどう与えるのか、トイレはどう教えるのかなど、不安は大きいでしょう。
子猫は、ちょっとしたことで命を落とす危険性があります。そのため、飼い主さんの細やかなケアが必要です。
この記事では、生まれて間もない頃から離乳食を与える時期までの子猫のお世話について解説します。
この記事の目次
子猫の世話は手間がかかると知っておく
お母さん猫のいない生後間もない子猫を育てるのは、手間がかかることを知っておきましょう。
生まれたての子猫のお世話
子猫は生後10日くらいまでは体重が100〜200グラム程度しかなく、目も開いていません。生後3週間くらいまでは歩くこともできず、もぞもぞと這うだけです。
そのため排泄も自分でできないので、飼い主さんが母猫に代わってお尻を刺激してあげます。また、最初の2週間程度は2〜3時間おきに授乳が必要です。つまり夜中も授乳します。
家族と交代で面倒を見るか、場合によっては仕事を休むことになるかもしれません。「体温が下がらないように温める」「子猫の様子をこまめにチェックする」といった手間もかかるのです。
3週間を過ぎるとよちよち歩き出すので、今度は目が離せません。乳歯が生えてくる離乳食の時期になると、いたずらや甘噛み対策が必要になります。
飼い続ける決意の大切さ
そして、子猫を保護したら最期までずっと飼うという決意が何よりも重要でしょう。ただ、子猫はかわいくて本当に癒されます。しかもすぐに大きくなるので、子猫時代は振り返ると一瞬の出来事です。「一生懸命育ててよかった」と思う日が必ずやってきますよ。
生まれたての子猫を拾ったらやること
道端や庭などで母猫のいない子猫を拾ったら、まずは体の保温と動物病院の受診が必要です。家には子猫が温かく過ごせる寝床も用意しましょう。
子猫の体を保温する
生まれたての子猫は、体温調節の機能が未熟です。本来は母猫やきょうだい猫とくっついて体温を維持しています。そのため、飼い主さんが子猫の体を温めてあげる必要があります。
タオルやフリースなどに優しく包んで温めます。気温が低いときは、タオルで包んだ湯たんぽや使い捨てカイロでさらに温めてあげましょう。湯たんぽや使い捨てカイロが手元にない場合は、ホット用のペットボトルにお湯を入れてタオルで巻いたもので代用できます。
低温ヤケドに注意
湯たんぽやカイロ、お湯を入れたペットボトルを直接子猫の体に当てると低温ヤケドになる恐れがあります。必ずタオルなどで包んでから温めてください。
タオルで包んだ場合でも、猫の体の同じ場所にずっと当てるのではなく、定期的に場所を変えることが大切です。
動物病院を受診する
生まれたての子猫を飼うことになったら、すぐに動物病院を受診します。健康状態をチェックしてもらい、育て方も教えてもらいましょう。
受診前にあらかじめ動物病院へ連絡を入れておくと、診察がスムーズです。特に野良の子猫には、ノミやダニが付いていることもあるため、他の患者さんに移さないためにも必ず連絡しておきましょう。
あまりにも弱っている場合は注意
子猫がぐったりしている場合、原因はさまざまですが、マダニによる感染症SFTS(重症熱性血小板減少症候群)の可能性もあります。人に感染するリスクもあるため、むやみに触らないようにしましょう。
すぐに地域の環境課や保健所などに連絡して指示を仰いでください。かわいそうですが、人の命にかかわるケースもあるので、冷静な対応が必要です。
子猫の寝床を作る
家には子猫が温かく過ごせる寝床を作ってあげましょう。ふんわりした毛布などをダンボールに敷き、使い捨てカイロやペットヒーターを毛布の下に敷いて保温します。
温度の目安は、生後1週間までは30〜33℃程度、その後は25℃程度です。寝床に手を入れて、温かみを感じる程度がよいでしょう。子猫が暑くなったら逃げられる工夫もしておくと安心です。
哺乳前は排泄のサポート
生後3週間くらいまでは、子猫は自力で排泄できません。指にティッシュペーパーを巻き、肛門周囲を軽く叩いて刺激して排泄を促します。強く叩かず、そっとトントンしてください。
トイレに入れると生後3週間前でも排泄できる子猫もいます。トイレは早めに用意しておきましょう。
授乳の準備
授乳する際は、猫用ミルクと猫用哺乳瓶、またはシリンジ(針が付いていない注射器)を用意します。牛乳は下痢をする恐れがあるので、与えないようにしましょう。
猫の哺乳瓶やシリンジは動物病院でも購入できるはずなので、確認してみてください。筆者の場合は、シリンジを動物病院で複数本購入して与えていました。
授乳のやりかた
人肌程度に温めたミルクを哺乳瓶かシリンジに入れます。与える際は、必ず子猫のお腹を下にした状態にしましょう。人間の赤ちゃんのように仰向けにすると、誤嚥のリスクが高まり危険です。シリンジを勢いよく押すと子猫がむせてしまうので、気をつけましょう。
ミルクを口から吐き出す場合も、ペースが速すぎます。子猫の飲んでいる様子をよく見ながら飲ませてください。飲み終わったら、哺乳瓶やシリンジは洗って乾かしておきます。
授乳時間目安は獣医師に相談
授乳は、生後2週間くらいまではだいたい2〜3時間おきが目安です。2週間を過ぎると約4時間おき、生後3週間から離乳食の頃までは5〜6時間おきになります。
猫によって成長やミルクを飲む量には個体差があるので、かかりつけの動物病院で必ず相談してください。
飲ませたミルクの量と子猫の体重を記録しておくと、受診の際の参考になります。同時に写真も撮っておけば、子猫時代の大切な思い出にもなりますよ。
乳歯が生えてきたら離乳食をスタート
乳歯が生えてくる生後3〜4週目になったら、離乳食を始めます。ドライフードとウェットフードのどちらも食べられるようにしておくと、将来フードの変更が楽になります。
最初はふやかしてトロトロにする
子猫用フードをぬるま湯や猫用ミルクなどでふやかして与えましょう。舐めて食べられるように、最初はペースト状になるまでやわらかくします。子猫用のウェットフードも便利です。
最初は、1日5〜6回様子を見ながら少しずつ与えます。最初は人の助けが必要な子猫も、お皿に入れると自力で食べるようになるので見守ってあげましょう。
子猫の要求にすぐ応えないことも大事
離乳食を食べるようになると、「もっとミルク」「もっと離乳食」と自己主張してくることがあります。ここで、言われるままに与えていると、「わがままで我慢ができない猫」「ストレスに耐えられない猫」になってしまいます。
以前、筆者の家で飼っていた猫が子猫を生んだとき、子育てを観察していました。子猫がある程度大きくなってくると、おっぱいを飲もうとしても母猫は後ろ足で拒絶することがあったのです。子猫がぞろぞろ甘えに来ると、母猫が逃げてしまうこともありました。
そこで子猫は我慢を覚えていたと思われます。そのおかげか、ストレスには割と強い猫に成長していました。
猫の将来のためにも、ある程度大きくなって健康であれば、すぐに与えず少しだけ我慢させることも大切です。いつものご飯タイムも、少し時間をずらすなど「思い通りにいかない」を経験をさせましょう。
意地悪をするのではなく、「いつもわがままが通るわけではない」ことを理解させることが大切です。
まとめ
母猫がいない生まれたての子猫に、離乳食を与える時期までのお世話について解説しました。
子猫を保護したら、まずは体温を維持しつつ動物病院を受診しましょう。母猫に代わって飼い主さんが2〜3時間おきの授乳や排泄のお手伝いなどをする必要があり、大変手間がかかります。24時間のケアが必要になるため、仕事を休む必要があるかもしれません。
とはいえ、離乳食の頃になったら何でも子猫の言うことを聞いて甘えさせればいい、というわけではありません。ストレスに強い猫にするためにも、少し我慢させるといった教育も必要です。
いろいろと手間はかかるものの、きっと「子猫を育ててよかった」と思える日がやってきます。振り返れば短い子猫時代を楽しんでくださいね。