先日、家の外壁にコウモリが張り付いているのを見つけました。近づいても全然逃げる素振りもなく、弱っているようでした。
子どもたちは「動物病院に連れて行こう」と言ったのですが、多くの病院同様、夫の病院でも野生動物は診察していません。
「夜になったら飛んでいくかもしれないよ」と子どもに伝え、その日は手を出しませんでした。翌朝になると、残念ながらコウモリは死んでしまっていました。
みなさんも、もしかしたら、巣から落ちてしまった鳥のひなや、車にぶつかってケガをしてしまった動物などを見つけることがあるかもしれません。
自分自身も「もっと詳しく知っておけばよかった」という気持ちを込めて、傷ついたり弱ったりした野生動物を見つけたときの対処法をまとめました。
この記事の目次
鳥獣保護管理法で定められていること

野生のタヌキやキツネ、普段街中でも見かけることの多いツバメやスズメなどの鳥類、コウモリなどは鳥獣保護管理法で守られた野生動物です。この法律では、こうした野生動物の取り扱いについていくつかのルールが定められています。
野生動物の捕獲や飼育は禁止
鳥獣保護管理法とは、野生の鳥獣の保護と適切な管理を定めたもので、野生動物は許可なく捕まえたり飼育したりすることが禁止されています。傷ついた動物を見つけたとき、「かわいそうだから家で育てよう」という気持ちになることもあると思いますが、法律上は認められていません。
人が保護すると野生に戻れないことも
また、人の手で育てられた野生動物は人の匂いがついたり、餌のとり方を忘れてしまったりして、野生に戻れなくなることもあります。つまり、保護することが必ずしもその動物のためになるとは限りません。
保護せず行政に連絡する
傷ついたり弱っていたりする野生動物を見つけたときは、自分で保護しようとするのではなく、市区町村の担当窓口や都道府県の鳥獣担当部署に連絡することが適切な対応です。連絡した後は担当者の指示に従い、動物に近づかず見守るようにしましょう。
野生動物には素手で触れない

傷ついた野生動物を見つけた際、そのままでは猫に食べられたり、車にひかれたりする可能性があり、安全な場所に移動させたいこともあるでしょう。その場合は、軍手やゴム手袋をしたり、動物をタオルで覆ったりして、素手では触らないようにしてください。
病原体に触れる危険性も
野生動物は様々なウイルスや細菌を持っていることがあります。もし動物が抵抗して咬まれたりひっかかれたりしてケガをするとこちらが感染する可能性もあり、とても危険です。他にも、ダニやマダニなどの寄生虫が体に付いていることもあります。
野生動物に素手で触れてしまったときは、流水と石けんでよく手を洗うことが推奨されています。
弱っている動物を見ると、思わず手を出してあげたくなる気持ちはよく分かります。特に小さなお子さんは動物に触りたがることが多いので、その場で理由を伝えてあげると、お子さんが野生動物について学ぶよい機会にもなるでしょう。
弱った野生動物と出くわしやすい場面

野生動物との出会いは決して珍しいことではありません。日常の中で遭遇しやすい場面と、基本的な対応をまとめておきます。
ひな鳥が地面に落ちていたとき
春から初夏にかけて、スズメやカラスなど野鳥のひなが地面に落ちているのを見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。
「かわいそう」という気持ちから保護したくなりますが、巣立ちの時期のひなは親鳥に見守られながら地面で飛ぶ練習をしていることがあります。いわゆる「巣立ち雛」と呼ばれる状態で、拾うことで親鳥と離れ離れになってしまう場合があります。
明らかにケガをしていたり、道路のすぐそばにいたりする場合は、市区町村の窓口に相談してみてください。
道路や庭で傷ついた野生動物を見つけたとき
以前、友人から「トラックにひかれたらしいカモが庭にいるが、旦那さんの動物病院に連れて行っていい?」という相談を受けたことがあります。
ですが、野生動物は一般的な動物病院では対応が難しいケースが多いです。犬や猫などのペットを専門とする多くの動物病院では、野生動物の診療に必要な設備や技術は整っていません。
また、鳥獣保護管理法に基づく許可が関係する場合もあり、病院に連絡を入れても受け入れを断られることがほとんどでしょう。
この場合も、まずは市区町村や都道府県の担当窓口に連絡するのが基本です。
道路で見つけた場合は、道路管理者(市道は市、県道は県、国道は国土交通省の出先機関)に連絡する方法もあります。直接動物病院に連れて行く前に、受け入れ可能かどうかを事前に確認することをおすすめします。
家の中に野生動物が迷い込んできたとき
コウモリや野鳥が家の中に入ってきてしまった場合は、窓や扉を開けて逃げ道を作るのが基本です。部屋を暗くすると、光のある方向へ向かって出ていくことが多いです。
追い出そうとすると、動物がパニックになって壁や家具にぶつかりケガをすることがあります。自然に出ていくのを待つ方が、動物にとっても人にとっても安全です。
担当窓口への連絡方法

「窓口に連絡を」と言われても、具体的にどこに電話すればいいか分からないこともあると思います。
都道府県や市区町村のホームページで「鳥獣」「野生動物」などのキーワードで検索すると、担当部署を見つけることができます。環境課・農林課・生活環境課など、自治体によって部署名は異なります。見つからない場合は、市区町村の代表番号に電話して確認するのがよいでしょう。
休日や夜間で窓口が閉まっている場合は、翌営業日の連絡が基本です。ただし、道路上で交通事故につながりかねないなど、その場の安全にかかわる緊急性がある場合は、警察(110番)に連絡しましょう。
都道府県によって方針や対応は異なる
傷ついた野生動物への対応体制は、都道府県によって大きく違いがあります。
例えば北海道は自然が豊かでそこに生息している野生動物も多いため、北海道獣医師会がホームページ上で傷病野生動物を受け入れる指定診療施設を公開しています。地域ごとに対応可能な施設が指定されており、ウェブサイトで最寄りの施設を調べることができます。
一方、愛知県獣医師会のホームページをみると、「野生の生き物は自然のままにしておく」という基本方針が記されています。
傷ついた希少な野鳥については動物病院の紹介を受けられますが、タヌキやキツネなどの獣類については保護施設がないため、「発見した場所かその周辺に戻してください」と案内されています。また、治療を受ける場合の費用は保護した人の全額自己負担となります。
このように、住んでいる都道府県によって相談窓口も対応の考え方も異なります。お住まいの都道府県の対応を事前に調べておくと、いざというときに慌てずに済みます。
まとめ

今回私たちが見つけたコウモリや鳥のひななどの野生動物は、鳥獣保護管理法により許可なく飼育したり捕獲したりすることは禁止されています。
街中で傷ついている動物を見つけたとき、多くの方は心がいたんで「どうにかしてあげたい」という気持ちになるのではないでしょうか。ですが、野生動物はむやみに保護することが、動物にとっても人にとっても必ずしも良い結果につながるとは限りません。
見つけたときは手では触れず、自治体の担当窓口に連絡して指示を仰ぐようにしましょう。対応の方針は自治体によって違うので、ホームページなどで調べておくとよいでしょう。
この記事が同じような場面にあった方の参考になれば幸いです。






































