猫にとって「水」を飲むことは大変重要です。しかし、愛猫があまり水を飲まず心配になっている飼い主さんもいるでしょう。実際に猫は砂漠原産であるためか、積極的に水を飲みたがらない動物です。
飲水量が少ないと、腎臓病やFLUTD(猫下部尿路疾患)などに罹りやすくなるなど体調不良の原因になることもあります。猫の健康維持のためには、飲水量を増やすことがとても重要です。
今回は、猫になるべく多く水を飲ませる方法や工夫について、解説します。
この記事の目次
猫に水を飲ませる4つのメリットとは?
猫が水を飲むことは、猫の体調や健康維持に複数のメリットがあります。
1. 腎臓の負担を減らす
水分を多く取ることで、猫の腎臓への負担を軽減できます。リビア砂漠周辺原産の猫は、水分をたくさん飲まなくても生きていける能力があります。そのため、猫はなるべく水分を体内から出さないため濃縮した尿を作ることが可能なのですが、この能力があるために、かえって腎臓に負担がかかっています。
人や犬に比べてネフロンという腎臓の組織が少ない点も猫の特徴です。ネフロンは血液をろ過して尿を生成する働きがありますが、一度壊れると元に戻らず腎臓病の原因になります。
水を飲ませて腎臓の負担を減らすことは、猫の健康維持そのものに深くかかわりがあるのです。
2. FLUTD(猫下部尿路疾患)を予防する
水分の摂取は、特発性膀胱炎や尿路結石などのFLUTD(猫下部尿路疾患)予防にもつながるといわれています。秋や冬は、尿路結石が増える傾向にあるというデータがありますが、これは気温が低下して水分摂取量が減るためと考えられています。
3. 便秘の改善
水分は、排便を促してくれます。水を飲むことで、便秘の改善も期待できるでしょう。
4. 熱中症の予防
水分摂取は熱中症の予防にも効果的です。暑い時期はもちろん、暖房が効いた部屋の中では新鮮な水の摂取が欠かせません。
猫に水を飲ませる方法
家の猫があまり水を飲まないときは、次の方法を試してみてください。
1. 容器を変えてみる
猫それぞれ好みの容器があるようです。どのような容器でも、ヒゲや毛が濡れる形状は嫌います。飲むたびにグラグラしたり、動いたりする容器も避けてください。
水入れの素材は陶器やガラス、セラミック、プラスチックなどさまざま。いろいろなタイプを用意して好みを探ってみましょう。調理用のガラスのボウルなどを好む猫もいます。
飲水量が把握できるように目盛りが付いていて、猫が飲みやすい高さになっている容器はおすすめです。滑り止めも付いています。
流れる水が好きな猫もいます。給水機を置くと水分摂取量が増えるかもしれません。水が跳ねにくいタイプがいいでしょう。
2. 複数の水をあちこちに置く
あちこちに水があると「ついでに水を飲むか」と飲む回数が増えます。猫がいつも過ごす場所、移動する際の通り道、猫のベッドのそばなど、いろいろな場所に水を置いてみましょう。
多頭飼いの場合は、飼っている猫の数より多く用意しましょう。ただし、トイレの横には置かないでください。排泄物のニオイなどがあると水を飲みません。
3. 肉や白身魚の茹で汁を加える
水に肉や白身魚の茹で汁を加えてみましょう。香りが立って、猫が興味を示します。フードにかけても水分補給になるでしょう。特に、飲水量が減りやすいシニアにはおすすめです。
4. ぬるめの水を与えてみる
ほんのり温かい水が好きな猫もいます。ぬるま湯を与えてみてください。
5. ウエットフードを与える
水そのものをどうやっても飲まない猫には、水分が多く含まれているウエットフードを与えるのもおすすめです。ただし、開封後は傷みやすいので注意してください。
ちなみに、未開封なら賞味期限が長いウエットフードは災害に備えてストックしておくのもおすすめです。水がなかなか手に入らない状況でも「水分補給プラス食事」が同時にできます。
猫に水を飲ませるときの注意点
猫に水を飲ませるときは、次の点に注意してください。
いつも新鮮な水を与える
最低でも一日一回は水を取り替えて、新鮮な水が飲めるようにしておきましょう。食べカスやゴミが浮いていたら、すぐに容器を洗い水を替えてください。
容器は清潔に!
水入れもこまめに洗って清潔を保つようにします。猫はデリケートな面があり、水入れが汚れていると飲まなくなる可能性があります。
ミネラルウォーターに注意
市販のミネラルウォーターの「硬水」は与えないようにしましょう。マグネシウムやカルシウム、カリウムなどミネラルがたくさん含まれているため、尿路結石ができやすくなる恐れがあります。
与える水は水道水で問題ありませんが、気になる方はペット専用のミネラルウォーターを与えてもいいでしょう。
多頭飼いはそれぞれの猫の飲水量を確認
どの猫がどのくらい水を飲んでいるかを確認するようにしましょう。水の量が減っていても、飲んでいない猫がいる可能性があるためです。
ケージに取り付けるノズルタイプは飲み口に注意!
舐めることで水が出てくるノズルタイプは、飲み口が汚れやすく細菌も繁殖しやすいデメリットがあります。顔を上げて飲まなくてはいけないので、飲みにくい猫もいるでしょう。
ケージに取り付けたい場合は、お皿が付いたタイプに変更するのもおすすめです。
こんなときは動物病院へ
次のような状況が見られたら、動物病院の受診をおすすめします。
水分の摂取量が多くなった
猫の飲水量が増えたら動物病院を受診してください。腎臓疾患や糖尿病などの病気になっている可能性もあります。特に水をがぶ飲みしておしっこの量が多い場合は注意が必要です。
水を飲むと吐く
水を飲んだあと嘔吐をする場合も、体調を崩しているかもしれません。早めに受診しましょう。
まとめ
猫の健康維持にとって、水はとても大切なものです。好みの容器や置き場所を探って、しっかり水分補給ができるようにしてあげましょう。いつも新鮮な水が飲めるように心を配り、容器もこまめに洗うことも重要です。
もし、急に飲水量が増えたり、水を飲んだあと吐いたりする場合は動物病院を受診してください。