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コラム

野生動物を飼ってもいいの?関連する法律をわかりやすく解説!

Risa
Risa シェリー編集部

公園を散歩中にかわいらしい鳥を見つけたときや、家の近くでアライグマを見つけたとき、「飼いたい」と思ったことがある方、いらっしゃるかもしれません。

昔話では鳥や野生動物を飼育するシーンが登場することもありますが、現代には野生動物に関する法律が存在し、むやみやたらと飼育してしまえば、法律違反になることがあります。

今回は、野生動物の狩猟や飼育に関わる様々な法律をご紹介していきます。

野生動物を飼育するのは原則禁止

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野生動物を捕獲したり、飼育したりすることは、「鳥獣保護管理法」により、原則禁止されています。

ただし、狩猟鳥獣に指定されている動物であれば、狩猟や飼育が可能な場合があります。まずは、狩猟鳥獣にはどのようなものがあるのかを見ていきましょう。なお、狩猟鳥獣であれば全て狩猟・飼育して良いわけではありませんので、この後の解説もぜひよく読んでください。

狩猟鳥獣に指定されているもの

狩猟鳥獣とは、野生鳥獣のうち、肉・毛皮などを利用する目的で狩猟(捕獲・殺傷)の対象となる鳥獣のことで、狩猟が生息状況に大きな影響を与えることがないと判断されたものです。狩猟鳥獣は環境省によって定められ、現在は以下の48種が指定されています。

鳥類(28種)
カワウ、ゴイサギ、マガモ、カルガモ、コガモ、ヨシガモ、ヒドリガモ、オナガガモ、ハシビロガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、スズガモ、クロガモ、エゾライチョウ、ヤマドリ、キジ、コジュケイ、バン、ヤマシギ、タシギ、キジバト、ヒヨドリ、ニュウナイスズメ、スズメ、ムクドリ、ミヤマガラス、ハシボソガラス、ハシブトガラス

獣類(20種)
タヌキ、キツネ、ノイヌ、ノネコ、テン(亜種のツシマテンを除く)、イタチ(オスに限る)、チョウセンイタチ、ミンク、アナグマ、アライグマ、ヒグマ、ツキノワグマ、ハクビシン、イノシシ(雑種のイノブタを含む)、ニホンジカ、タイワンリス、シマリス、ヌートリア、ユキウサギ、ノウサギ

狩猟には基本的に免許が必要

狩猟鳥獣は、狩猟の対象となる鳥獣ですが、実際に狩猟をするには都道府県からの許可により狩猟免許を獲得しなければなりません。

また、次のような様々な規則を適切に守って狩猟することが求められます。

狩猟期間

1年の中で、狩猟を行って良い期間は、日にち刻みできっちり決まっています。
狩猟期間は鳥獣の種類や自治体により異なり、また年によって期間が異なることもあるので、確認が必要です。

猟具の規定

鳥獣により罠や銃の規定も異なります。猟具によって免許の種類が異なるので、自治体に確認しましょう。

狩猟可能区域

自然環境保全の観点から制定された「鳥獣保護区」や、公道では狩猟をすることができません。

また、水鳥の鉛中毒防止のため、鉛散弾銃を使うことなどが禁止されている「指定両方禁止区域」や、狩猟鳥獣を増やすために一時的に狩猟を禁止する「休猟区」などの制度もあります。

狩猟鳥獣はルールを守れば飼育が可能

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狩猟鳥獣は、捕獲の時期と場所の制限を守るなど適正に捕獲をした場合には、自治体の申請や許可などを得なくても飼育が可能です。

ただし、特定外来生物に指定されている動物の新たな飼育が原則として禁止されていたり、鳥獣への負担などを考えるとむやみやたらに捕獲、飼育をすることはおすすめしません。

飼育の許可・不許可は変わることがある

野生鳥獣の飼育をして良いかどうかは、時間の流れとともに変化することがあります。メジロを例にみてみましょう。

1950年 鳥類保護のために飼育可能な野鳥として、7種類の野鳥(メジロ、ウグイス、ホオジロ、ヤマガラ、ヒバリ、ウソ、マヒワ)が指定された
2007年 飼育可能な野鳥はメジロのみ、1世帯1羽に限るとされた
2012年 密猟者が飼育のための登録票を悪用してメジロを販売する問題が増えたため、野鳥の飼育が原則すべて禁止となった

※ただし、禁止になる前から飼われていたメジロに関しては飼育を続けて良いことになっています。

このように、飼育が可能か不可能かは、状況によって変化することがあるので、「昔は良かったんだから今も良いだろう」と考えず、随時情報を更新していくようにしましょう。

知っておきたいその他の法律

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ここまで主に、鳥獣保護管理法で規定された野生動物の取り扱いルールをご紹介しましたが、実はその他にも野生動物に関わる法律はたくさんあります。今回はその一部を取り上げて解説します。

文化財保護法

建物や芸術、史跡や景観などの文化財に加え、野生動物や植物などの天然記念物を保護するための法律です。天然記念物には、動物、植物、地質・鉱物、天然保護区域の4つがあり、全国で1000以上の記念物が指定されています。

これらの天然記念物に対してなんらかの影響をもつ行為をする際には、文化庁長官の許可が必要です。

種の保存法

絶滅危惧種の保存を目的とした国際条約「ワシントン条約」に基づき、国内法として制定された法律で、正式名称は「絶滅のおそれのある野生動物の種の保存に関する法律」です。

種の保存法では希少野生動植物種を、国内希少野生動植物種、国際希少野生動植物種、緊急指定種、特定国内希少野生動植物種の4つの区分に分類しています。

国内希少野生動植物種と緊急指定種に関しては、生きている個体の捕獲、採取、損傷、譲渡(器官や加工品も含む)が禁止されています。国際希少野生動植物種は、通関後の国内での譲渡などが禁止されています。

指定されている動植物の、特に重要な生息地は「生息地保護区」に指定されていて、監視や立ち入り禁止などの管理がされています。もちろん、こうした地域で勝手に動物を捕まえて飼育するなどといった行為は論外です。

外来生物法

特定外来生物の飼養・輸入を規制する法律で、正式名称は「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」です。

特定外来生物とは、海外から日本に導入されることで、在来生物の減少など、生態系に被害を及ぼすおそれがある生物のことです。
特定外来生物に関して、飼養、栽培、保管、運搬、輸入、譲渡、野外放出、植栽など、野外に拡大する可能性がある行為が禁止されています。

なお、生きている個体だけでなく、卵や種子なども含むので、例えば海外旅行先で見つけた卵を「帰って育てよう」などと、安易な気持ちで持ち帰ってはいけません。海外旅行をの際、帰りの飛行機の中で申告する必要があるのも、このためです。

また、外来生物法は、動物を海外から輸入する際にはもちろん気をつけなければなりませんが、国内ですでに繁殖している外来生物(アライグマなど)についても飼育が禁止されているので注意が必要です。

自己判断は禁物

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今回は、野生動物の飼育について、様々な法律を元に解説しました。

野生動物を捕まえたり、飼育したりすることは基本的に禁止されていますが、狩猟鳥獣に指定されている動物であれば、飼えることがあります。

ただし、自治体や時間の経過によって状況が異なるので、都度、法律や条例を確認しなければなりません

また、生態系の保護などを目的とした法律もたくさんあります。今回ご紹介できなかった法律や国際条約が、他にもいくつか存在します。保護地域などで狩猟をしないことはもちろん、各リストに指定されている動物かどうかを見極めるのは難しいですし、むやみに野生動物を捕まえるのは避けるべきでしょう。

色々な法律があって頭が混乱しそうですが、とにかく「野生動物は勝手に捕まえたり飼ったりしない。まずは自治体に相談する。」これをしっかり守ることが大切だということを覚えておきましょう。

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