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コラム

ドッグトレーナーのお仕事とは?ベテラントレーナーにインタビュー

千葉 綾 シェリー編集部

インターネット調査では、「愛犬の悩みを誰に相談するか」という質問に対して「ドッグトレーナーに相談する」という方はかなり少数派という結果が出ています。(参考:いぬのきもちWEB MAGAZINE「飼育・生活意識」アンケート調査)

犬を飼っていれば必ずお世話になる獣医師と比較すると、ドッグトレーナーはあまり馴染みのない職業かもしれません。

そこで今回は、愛媛県松山市で家庭犬の出張トレーニングをされている、ドッグトレーナーの西森裕晃(にしもりひろあき)さんにドッグトレーナーになったきっかけや、お仕事の内容などをインタビューしました。犬を飼っている方にはドッグトレーナーを身近に感じていただき、トレーナーを目指している方には仕事の内容などを参考にして頂ければ幸いです。

ドッグトレーナーになるまで

犬を好きになったきっかけは何ですか?

元々動物全般が好きで、インコ、カメ、メダカ、コウモリなどいろいろ飼っていたんです。犬も飼いたかったんですが機会がなくて、マイホームが出来てから知り合いの犬を譲り受けて、犬を飼うことが出来ました。初めて飼った犬がきっかけで、犬の魅力にはまっていきました。

なぜドッグトレーナーを目指したのですか?

大学時代は英文学科を専攻していて、大学3年の時に就職を考え始めたんですが、翻訳や通訳などの仕事をする自信がなかったんです。就職で悩んでいる時に、テレビで盲導犬の引退犬をサポートする仕事のドキュメンタリーをやっていて、犬の仕事はどうかと考えだしました。

しかし、当時の1990年代後半の頃は今とは違って情報がなくて、犬の仕事はどうやって就けるのかわかりませんでした。そこで、有名な畜犬団体に犬の仕事に就く方法を教えて欲しいと、手紙を書いたんです。複数書いたんですが、返事をくれたのが日本警察犬協会の四国支部で、その手紙でドッグトレーナーの養成学校があることを教えてもらいました。

ドッグトレーナーの学生時代、訓練所での修行時代

ドッグトレーナー養成学校では何を学んだのでしょうか?

犬全般の知識や家庭犬のしつけ方法、警察犬の訓練方法などを学びました。学生の頃は担当している犬のことばかり考えていましたね。学ぶことに必死でしたし、犬を知ることがとても面白かった。
その学校で2001年にジャパンケネルクラブの公認訓練士資格を取得しました。

訓練所での修行時代は何をしていましたか?

当時(2000年前後)は、学校を卒業してから犬の訓練所での修行を経て、独立するというのが主流でしたので、香川の訓練所で3年の修行時代を過ごしました。

その訓練所では、預かっている犬の世話やトレーニング、飼い主さんへの説明など、全般を任されていました。
修行時代はやはり大変でしたね。信頼して任せてもらえて、とても感謝しているんですが、当時は自信がないし、学生とは違ってお金をもらっている仕事なのでプレッシャーも大きくて。

預かっている犬を逃してしまうという、大きなミスもしました。結局必死に探し回って見つかったので、今でこそ笑い話ですが。自信がなくて何度も辞めたいと思い、訓練所の所長に考え直すようにと諭されたこともありました。

ドッグトレーナーとして独立してから

独立直後の活動を教えてください

独立するきっかけは、訓練所の修行の契約が3年間だったんです。だから、仕事に自信がついて独立しようと思ったわけではありませんでした。

やるしかないという状況に置かれて、2004年の春に独立しました。当たり前ですが、最初からお客さんはいなかったので、チラシ配りをしたり、動物愛護センターに顔を出したりして、少しずつ活動していきました。もちろん、生計を立てることも出来なかったので、ピザ屋のデリバリーのアルバイトもしていました。

アルバイトをしなくても生活出来るようになったのは、その夏の終わりくらいから。仕事が順調だと思えるようになったのは、その後数年経ってからでした。

お客さんはどのようなきっかけで来てくれるのでしょうか?

僕の場合は人づてで来てくれる方が多いですね。一番多いのは、近隣の動物病院からの紹介です。他には、トレーニングに来てくれた飼い主さんからの紹介や、ホームページを見て連絡して下さる方もいます。

家庭犬トレーナーとしての活動内容

西森さんが家庭犬のトレーナーとして行っていることを教えてください。

出張トレーニング

メインでやっているのは、しつけの出張トレーニングです。飼い主さんが困っている犬の行動の対処法などをアドバイスしています。飼い主さんのお悩みは、「吠える」、「咬む」、「落ち着きがない」の3つが多いですね。

苦労するのは1時間のトレーニングで僕が飼い主さんにアドバイスをした後、飼い主さん自身が犬に対してアドバイスを元にしたトレーニングをして欲しいんですが、中にはトレーナーにお願いしたから自分ではやらないという人もいるんです。そういった方に自らトレーニングしていただくように説得していくのが難しいですね。

あとは、犬の問題行動によって心まで追い詰められてしまったような方の場合は、一旦冷却期間を置くために、犬をお預かりすることもありました。

日中預かり、ドッグシッター

飼い主さんが日中不在にするため、お預かりすることもあります。預かる間にトレーニングするなど、飼い主さんのご要望によって臨機応変に対応しています。

グループレッスン

犬たちの社会化を目的に、月に1回グループレッスンもやっています。イベントのようで楽しいですよ。夏には川で水泳をするレッスンをしました。興奮しやすい子や怖がりな子など、いろんな性格の犬が集まりますが、犬たちの輪の中で自信と冷静さ、そして社会性を学んでもらいます

ドッグトレーナーの苦労とやりがい

これまでにどのような苦労がありましたか?また、ドッグトレーナーとしてのやりがいも教えてください。

体力が必要

ドッグトレーナーはやっぱり体力を使いますね。学生時代に先生に言われた「犬を訓練したければ、犬の倍動け」という言葉はその通りだと思います。飼い主さんに教えるときも、飼い主さん以上に先回りして動いていますね。
特にグループレッスンの時は、全ての犬と飼い主さんを視界に入れながら、あっちで指導、こっちで指導と忙しく動き回っています。

コミュニケーション能力も必要

僕も昔は人とコミュニケーションを取るのが苦手でした。接客業をする自信がなくて、犬相手なら大丈夫かなと思ったのがドッグトレーナーになった理由の一つでしたが、実際は全然違いました。

特に家庭犬のトレーナーは飼い主さんに説明することが多いので、人間嫌いのタイプの人には難しいと思います。僕の場合はお客さんと接するうちに、自然とコミュニケーションを取ることが出来るようになりました。

ケガをすることも

独立してすぐの頃は、一生懸命が強すぎて僕もムキになってしまっていたのか、咬まれることもありました。ひどい時には縫わなければならないようなケガもありましたね。今は犬の状態の見極めが出来るようになったので、咬まれることはありません。危なそうな時は無理をせず、時間をかけてトレーニングするようにしています。

僕の中ではケガのうちに入りませんが、子犬におやつをあげる時に、食べ方や力加減がわからずに咬まれることもあります。あとは、飛びつかれたり、引っ掻かれたりすることは、よくありますね。

やりがいを感じること

やりがいを感じるのは、僕のアドバイスで飼い主さんが犬との接し方を徐々に理解していき、犬との関係が円滑になった時ですね。

犬の問題行動というのは人間からの視点での問題であって、犬には犬なりの主張があるんです。困った行動を起こす理由や対応の方法を、飼い主さんが理解していくことが重要だと考えています。

最後に


「犬が要求していることと、飼い主さんが困っていることの間を取り持っていくようなトレーニングをしたい」と語る西森さん。犬にもその飼い主さんに対しても、真摯に向き合ってお仕事されている姿勢が印象的でした。

ドッグトレーナーをよく知らない方には「厳しそう」という印象を持たれがちですが、犬の気持ち、飼い主さんの気持ちの両方を考えながら進めていく仕事です。

犬と人間が一緒に暮らしていく中で双方を幸せにすることが出来る、素敵なお仕事ですね。

ドッグトレーナー西森さんのホームページ
http://westwoods.ftw.jp/index.html

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