知っておこう、犬の薬物・毒物中毒。5つのケース別リスクと対策

2024.07.30
知っておこう、犬の薬物・毒物中毒。5つのケース別リスクと対策

犬の薬物・毒物中毒と聞いて、どのようなことを思い浮かべますか?

「うちには危険な薬物なんてないから、中毒なんてうちの犬には関係ない。」そう思った飼い主さん、ちょっと待ってください。

たしかに、人間にとって危険な薬物を持っている人はあまりいないでしょう。しかし、犬にとって危険なものは、実はどの家にもたくさんあるんです。危機管理を怠れば、たちまち犬の健康を害してしまい、最悪の場合死に至る可能性もあります。

ペットの薬物・毒物中毒になるリスクは、どのようなところに潜んでいるのか。どのような対策をしたら良いのか。ケースごとに見ていきましょう。

この記事の目次

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ケース1. ペットが好奇心で薬物・毒物を誤飲

犬の薬物・毒物の誤飲リスク
好奇心旺盛な犬は、人間の食べこぼしを拾い食いしたり、置いてあるものをあさったりして、飼い主さんが予期しないものを食べてしまう可能性があります。犬の手の届くところに、有害な食べ物や薬などを置いていませんか?

筆者が飼っている犬は、隙あらばカバンの中をあさって、おいしいものがないか嗅ぎ回っています。また、筆者の知り合いの犬には、飼い主が留守の間、テーブルの上に置いてあった小包装のチョコチップクッキーを全て自分で開封して食べてしまったというツワモノもいます。

犬の食欲、侮ることなかれ。もちろん個体差はありますが、どの犬もおいしそうな匂いには敏感です。「薬はさすがに食べないだろう」と思っていても、糖衣錠の薬は周りが甘いため、その匂いで犬を誘惑してしまうことがあります。

【対策】
・食べ物や薬を、ペットの手の届くところに置いておかない。
・食べ物はなるべくキッチンに保管し、柵を置いてペットが入れないようにする。
・薬などは簡単に開けられない引き出しの中に入れておく。
・食べ物以外にも石鹸や洗剤、タバコなど、においのするものは犬の手の届かないところに置いておく。
・観葉植物を置く際は、犬が口にしてしまっても害がないか確認してから置く。

ケース2. 毒性のある食べ物と知らずに与えてしまう

知らずに毒物、食べ物をあげてしまう中毒
玉ねぎやチョコレートが犬に有害であることを知っている飼い主さんは多いでしょう。しかし、中にはあまり知られていないけど実は有害、という食べ物もあります。

【対策】
・「この食べ物、あげても大丈夫かな?」と思ったら、まずは信頼のできる本やサイト、獣医師から情報を得る。
・調べてもよくわからない場合は、無理に与えない(人間の食べ物は与えなくても問題ない)。
・すぐに症状が出ず、蓄積されていく毒物もある。「以前食べても大丈夫だったから、うちの子は大丈夫」と楽観視しないようにする。

ケース3. 人間用の薬を飼い主が与えてしまう

人間の薬をあげて犬が中毒
犬が風邪をひいてしまったり、お腹を壊してしまった時、人間の薬を与えてはいませんか?

もちろん、犬や猫にも成分によっては人間の薬と同じものを与える場合がありますが、それでも与える量や頻度は獣医師が専門知識に基づき、慎重に決定していきます。当然のことですが、素人が適当に与えるべきではありません。

また、人間用の風邪薬や鎮痛剤には、犬にとって猛毒な成分が含まれていることがあります。「少量なら大丈夫」という油断が、取り返しのつかないことになるかもしれません。

【対策】
・犬が体調不良になったら、勝手に判断して人間の薬をあげず、獣医師に診てもらい、適切な薬を処方してもらい、適切な量と頻度で与える。

ケース4. 他の人が知らずにあげてしまう「ジャーキーテロ」

他人によるジャーキーテロで犬が中毒に
ジャーキーテロとは、飼い主でない人が、飼い主の許可なしにペットに食べ物をあげる行為のことです。

犬についてあまりよく知らず、「犬は雑食だからなんでも食べる」と思っている人は、犬に有毒だと知らずに食べ物をなんでも与えてしまうかもしれません。

食べ物をあげてしまう人の中には、「自分も昔犬を飼っていたから、犬が食べられるものは知っている」と言うかもしれません。しかし、動物にも食物アレルギーがあることを忘れてはいけません。

良かれと思ってやった行為が、犬を中毒に陥れてしまうかもしれないのです。

【対策】
・犬が他の人に食べ物をもらってしまわないよう、特に散歩中などは犬から目を離さないようにする。
・他の人の家に遊びに行ったり、他の人が家に遊びに来たときは、食べ物をあげないようにあらかじめ断っておく。もし食べ物をあげたいと言われたら、普段からあげているオヤツ等を渡す。
・自分の犬用に持ってきたオヤツを他の犬にあげるときは、必ずその犬の飼い主さんにあげても良いか確認する。

ケース5. 殺虫剤や除草剤による中毒

殺虫剤、除草剤による犬の中毒
部屋の中や庭で使う殺虫剤や除草剤を舐めることにより、犬が毒物中毒を起こす危険性があります。基本的に、哺乳類に有害な物質は含まれていないのが一般的ですが、犬が直接口に入れてしまったり、使用量を誤ったりすると、中毒になる危険性があるので要注意です。

また、犬が散歩中に食べてしまった草や落ち葉に、殺虫剤や除草剤がついているかもしれません。農薬などが足につき、それを舐めてしまって中毒を起こすこともあるようです。散歩中の拾い食いは、殺虫剤・除草剤以外にも有害なものを口にしてしまう可能性があるので注意が必要です。

【対策】
・使用する前に、殺虫剤や除草剤にペットに有害となる物質が含まれていないか確認する。
・使用の際にはできるだけ犬を他の部屋に移動させ、使用量を守って使う。
・散歩中に犬が拾い食いをしないように注意し、散歩から帰ったら足をよく洗うようにする。

殺虫剤や散歩中の草の拾い食いについては、こちらの記事もご参照ください。

もし犬に薬物・毒物中毒症状があらわれたら

犬に薬物・毒物中毒症状があらわれたら
どんなに気をつけていても、犬が薬物や毒物を誤って口にしてしまう可能性はあります。普段と違うものを食べてしまい、犬の様子がおかしいときは、迷わずすぐに近くの動物病院に連絡しましょう。

薬物・毒物中毒の症状には、腹痛、呼吸困難、痙攣などがあります。また、摂取してから時間が経てば経つほど、その危険性は増していきます。つまり、時間との勝負になってきます。

これらの症状が見られた場合には、パニックになってしまうかもしれません。いざという時に連絡が遅れないよう、かかりつけの動物病院の電話番号を電話の近くに貼っておいたり、携帯電話に保存したりして、備えておくと良いでしょう。

油断は禁物。大切な愛犬の健康を守ろう

今回は、犬が薬物・毒物中毒を引き起こしてしまう可能性のある、身近なリスクをお伝えしました。

特に、好奇心が旺盛な犬や、拾い食いのクセがある犬は注意が必要です。この機会に、お家の中や日常生活にどのようなリスクがあるかを見直し、大切な愛犬の薬物・毒物中毒を未然に防止しましょう。

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