2019年6月、動物愛護管理法が改正され、動物虐待の厳罰化がなされました。
法改正や動物愛護団体の取り組みなどにより、動物の殺処分や動物虐待などの問題を解消しようとする動きが高まってきていますが、実際に身近で動物虐待を発見したら、どのような行動を起こせば良いのでしょうか?
今回は、動物虐待を発見した際に通報するべき機関を、状況別にご紹介します。
この記事の目次
動物虐待を規制する動物愛護管理法
動物愛護管理法では虐待の種類を大きく、「積極的虐待」と「ネグレクト」の2つに分けて定義しています。
1. 積極的虐待
意図的に動物を傷つける行為のことを言います。
殴る、蹴る、熱湯をかける、暴力を加える、酷使する、など。
身体に外傷が生じる恐れのある行為だけでなく、心理的抑圧、恐怖を与える行為も含みます。
2. ネグレクト
やらなければならない行為をやらないことを言います。
例えば、健康管理をしない、病気を放置、ご飯をあげない、散歩に連れていかない、衛生管理などの世話をしないで放置する、など。
動物虐待の処罰
2019年6月、動物愛護管理法が改正されたのをご存知ですか?
虐待・遺棄を行った場合の処罰は、「100万円以下の罰金」から「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」に改正され、実刑を受ける可能性が出てきました。
これらの虐待に該当する行為とみなされた場合、該当者は処罰を受けることになりますが、とはいえ、正直まだまだ重い刑とは言えないのが実情でしょう。
動物虐待を見つけたらどこに通報すれば良いのか?
1. 緊急性を要する行為は警察へ
特に殴る、蹴るなど、動物を直接傷つける行為で、早急に対応が必要な虐待行為を発見した際にはすぐに警察に連絡しましょう。
SNS上で虐待の動画を発見した場合も同様です。警察に連絡してください。
2. それ以外の行為は以下の機関へ
その他、動物に対するネグレクト行為などを発見したら、各自治体の以下の機関に連絡しましょう。
各自治体の動物愛護管理センター
各自治体には、動物愛護センターが設置されています。
動物愛護管理法では、第37条の2にて、各都道府県の動物愛護管理センターの業務を以下のように規定しています。
動物愛護管理センターが行う業務
(1)動物取扱業の登録、届出、並びに監督
(2)動物の飼養又は保管をする者に対する指導、助言、勧告、命令、報告徴収、立入検査
(3)特定動物の飼養又は保管の許可、監督
(4)犬・猫の引取り、譲渡し等
(5)動物の愛護及び管理に関する広報その他啓発活動
(6)その他動物の愛護及び適正な飼養のために必要な業務
(2)にある通り、動物愛護センターは動物の飼い主に対して指導や助言、勧告等を行う役割を担っています。
各自治体の保健所
お近くの保健所は、厚生労働省の以下のサイトからご確認ください。
保健所管轄区域案内
各自治体の衛生課
動物愛護管理は、各自治体の衛生科が担当しています。
各自治体の衛生科の連絡先は、以下のサイトからご確認ください。
地方自治体(都道府県・指定都市・中核市)の動物愛護管理行政担当組織一覧
3. 近くの獣医師に相談するのも1つの手
2019年改正動物愛護管理法第41条の2では、獣医師が「みだりに殺された、傷つけられた、虐待されたと思われる動物を発見した際に、遅滞なく都道府県等に通報すること」を、これまでの努力義務から義務として定める改正がなされました。
「警察や各機関に通報するのは気がひける…」という方は、まずはお近くの獣医師さんに相談してみるのも1つの手です。
「アニマルポリス」を設けている自治体も
兵庫県警「アニマルポリス・ホットライン」
兵庫県警察は、2014年1月に動物虐待事案等専用相談電話「アニマルポリス・ホットライン」を開設し、犬や猫などの殺傷行為やネグレクト、遺棄などを発見した際に相談できるようになりました。
兵庫県で発生した事案に関してアニマルポリス・ホットラインに連絡をすると、動物愛護関連の法令に詳しい警察官が対応してくれます。
アニマルポリス・ホットライン(動物虐待事案等専用相談電話)
受付対象:兵庫県下で現に行われている動物虐待等の事案
受付時間:平日9:00~17:00
電話番号:078-371-8974
大阪府「おおさかアニマルポリス」
大阪府では、2019年10月より「大阪府動物虐待通報共通ダイヤル#7122(おおさかアニマルポリス)」を開設し、大阪府内の動物虐待に関して「#7122(悩んだら・わん・にゃん・にゃん)」に通報すると、行政の担当部署に繋がる仕組みが整いました。
兵庫県のアニマルポリス・ホットラインとは違い、警察ではなく行政の担当者に繋がります。
大阪府動物虐待通報共通ダイヤル#7122(おおさかアニマルポリス)
受付対象:大阪府内の動物虐待
受付時間:平日10:00~16:30
ダイヤル:#7122 (繋がらない場合は06-7639-0294)
現在、アニマルポリスを設置している自治体は多くありませんが、動物虐待の通報・対応がスムーズに行われるように、今後全国の自治体に広まっていってほしいですね。
通報をする上で注意したいこと
匿名通報にしたい場合は、しっかり伝えよう
通報された側に、自分が通報したことが伝わってしまうと、後々逆恨みされるなど、トラブルになりかねません。
特にご近所の動物虐待に関して通報したいときなどは、自分の情報を秘密にした方が無難でしょう。
自分が通報したことを秘密にしたい場合は、その旨を通報先にはっきりと伝えましょう。
発生した場所の住所を把握しよう
通報した際、虐待を発見した場所の住所を聞かれることがあります。
通報先から、位置情報等で住所がわかる場合もありますが、聞かれたら答えられるようにしておくとスムーズです。
もし住所がわからない場合は、周りの建物など、目印を伝えるようにしましょう。
動物虐待のない社会へ
今回は、動物虐待を発見した際に通報するべき機関をご紹介しました。
動物は、自分から虐待を訴えることができません。誰かが通報してくれない限り、残念ながらその後も虐待され続けることでしょう。
動物虐待を発見したら「自分は関係ない」と思わず、迷わず通報をするようにしましょう。