猫は外に出さない「完全室内飼い」がおすすめです。元気で長生きしてほしいと願うなら、なおのこと室内で飼うようにしましょう。
閉じ込めて自由を奪っているようで、可哀そうだと思うかもしれません。しかし、室内を猫に合った環境にすれば猫は室内を自分のテリトリーととらえ安心します。外は交通事故や虐待などに遭遇する恐れや、感染症にかかるリスクがあります。猫にとって、外は危険だらけの過酷な環境なのです。
今回は、猫の完全室内飼いのメリットのほか、猫と飼い主さんが安心快適に暮らすポイントについて解説します。
この記事の目次
猫を室内で飼うメリット
外は猫にとってたくさんのリスクがあり、室内で飼うことでさまざまな危険から猫を守れます。猫の室内飼育は、環境省も推奨しているのです。
完全室内飼いの猫は、外猫に比べて寿命が長い傾向があります。社団法人日本ペットフード協会2021年のデータによると、室内飼いの猫の寿命は16.22歳、外に出る猫の平均寿命は13.75 歳です。
一般社団法人 日本ペットフード協会2021年(令和3年)全国犬猫飼育実態調査結果
https://petfood.or.jp/topics/img/211223.pdf
それでは、具体的にはどのようなメリットがあるのかを見てきましょう。
1. 交通事故に遭う危険がない
外に出なければ、交通事故でケガをしたり命を落とす危険はありません。
もともと猫には狩猟本能があるため、獲物を見かけると追いかけます。そのときは車道あろうと、車が横切ろうと関係ありません。発情中はメスを追いかけて、飛び出すケースもあります。
2. 虐待や連れ去りの危険がなくなる
残念なことに、虐待目的や、単に「かわいいから」といって猫を連れ去ってしまう人もいます。
室内で飼っていれば、このような人から猫を守れます。
3. 感染症のリスクが少なくなる
猫エイズや伝染性腹膜炎など、感染症にかかるリスクがかなり少なくなります。
外では、猫エイズなどに感染している野良猫とケンカするなどして簡単に感染してしまうのです。とくにワクチン未接種の猫や免疫力の低下している猫は、重症化する恐れがあります。
また、感染症を媒介するノミやダニに寄生される機会が減るのもメリットです。ノミやダニは人にも有害であるため、これらの対策は人の健康という観点からもとても大切です。
4. 他の猫や動物とのトラブルがなくなる
外では猫同士のケンカで咬まれたりひっかかれたりなどで、ケガをする可能性が高く危険です。子猫の場合はカラスに襲われる可能性もあります。
室内で飼っていれば、夜中にノーリードで散歩している犬などに追いかけられる危険もありません。
5. ご近所トラブルが減る
他人の庭に排泄をする、花壇を荒らす、勝手に家に入り込むなどの心配がありません。猫を飼うときは、猫を嫌う人にも配慮しましょう。
6. 迷子にならない
迷子になるリスクが減るのも、室内飼いの大きなメリットです。
猫は、大きな物音などでパニックになったり、強い野良猫に追われたりしているうちに、家から遠くまで行ってしまう場合もあるでしょう。
室内飼いを快適にする10のポイント
猫も人も快適に暮らすためには、いくつかのコツがあります。室内飼いは、ただ単に猫を家に入れておけばいいわけではありません。
猫が安心して過ごせるスペースがある、高いところに登れるなどは重要なポイントです。快適な住環境を整えることで、猫は家をテリトリーとみなし、室内での生活を満喫します。
1. トイレは複数用意
トイレは猫1匹に対して2個は用意しましょう。猫はきれい好きでトイレにもこだわりを持ちます。トイレが汚れていると、排泄を我慢する場合もあるのです。
室内のトイレで排泄するようになると、排泄物から体調不良などにもすぐ気づきやすくなります。
2. 寝床も複数置いておく
猫が好みそうなベッドをあちこちに置いておきます。ドームタイプや、かごタイプなどさまざまな種類を用意してあげましょう。段ボールを利用するのもおすすめです。
3. 水飲み場も2ヵ所以上
水は食器とは離し、最低でも2ヵ所以上置いてあげましょう。どちらから汚れたりなくなったりしても安心です。猫は水をあまり飲みませんが、通り道などにあるとついでに飲む傾向があります。
4. キャットタワーを設置する
猫が思う存分、上下運動ができるようにキャットタワーを置きます。設置するスペースがない場合、家具や出窓に上れるようにしてもいいでしょう。
5. 爪とぎを設置する
猫が体を伸ばしてとげるタイプの爪とぎや、床に置くタイプの爪とぎを複数用意します。素材も麻や段ボールでできたものなどさまざまありますので、猫の好みの爪とぎを置いてください。
6. ケージを用意しておく
家の中にもケージを用意しましょう。ケージは猫にとっての縄張りになります。特にそれまで野良猫だった子には、慣れるまでの落ち着いて過ごせる生活の場にもなるでしょう。
猫が苦手な来客のときなどにもケージがあると便利です。ただしずっと閉じ込めないでください。ケージに無理に入れるのも禁物です。扉は開けておいて、自由に出入りできるようにするのがおすすめです。
7. 一緒に遊ぶ時間を取る
1日10分でいいので、おもちゃで遊ぶなどのコミュニケーションをしっかり取りましょう。マッサージやブラッシングタイムも大切です。
8. 脱走予防をする
窓やドアの開けっ放しに注意します。網戸は簡単に開ける猫もいるので、カギなどを取り付けておきましょう。ドアを開けた瞬間の脱走にも十分注意してください。
9. 猫を怒鳴らない
猫は静かな環境を好みます。思い通りにならない猫を怒鳴ったり、音を立てて脅したりしないようにします。ドスドスと歩く足音なども嫌がるので、猫のためにも少し静かに暮らしてあげましょう。
10. 迷子対策は必要
たまたま開いていた窓から猫が出てしまう可能性もありますし、災害などではぐれてしまう恐れがあります。猫の首輪はすぐ外れるタイプが多いので、自分の愛猫であることを証明するためにもマイクロチップを装着しておきましょう。
なお、2022年6月から現在飼育しているペットへのマイクロチップの装着は努力義務となっています。万が一の時のために、なるべく早く動物病院で相談してみましょう。
まとめ
外は、猫にとって交通事故や虐待、感染症などたくさんの危険があります。感情的に「狭いところに閉じ込めてかわいそう」と思うのではなく、リスクやメリットをしっかり考慮し、猫にとって何が幸せかを考えること大切です。
たくさんの危険から猫を守り、トイレを複数置いてキャットタワーを設置するなどして、猫が暮らしやすい部屋にしてあげましょう。