ドッグスポーツの一つであるアジリティは、簡単に言うと「犬の障害物競走」です。
犬の運動になることはもちろんですが、「犬が本来持っている作業意欲を満たすことが出来る」、「楽しいことを一緒にするため、犬と飼い主の信頼関係が深まる」など、多くのメリットがあります。しかし、アジリティが出来る施設が近場にないなど、始めるにあたってのハードルも高いのではないでしょうか。
競技会に出るような本格的なアジリティをやりたいのであれば、しっかりとした設備や施設が必要ですが、初心者や遊び程度にやってみたい場合は、おうちにあるものでアジリティをすることも出来ます。
そこで今回は、アジリティを試してみたい方に向けて、おうちで簡単に出来るアジリティをご紹介していきます。
この記事の目次
おうちでアジリティ①ハードル
アジリティ競技の「ハードル」とは、人間の陸上競技のハードル走と同じように、障害物をジャンプしていく競技です。
用意する物
バスタオル、タオルケット、クッションなど
ハードルの教え方
- 丸めたバスタオルやタオルケットをまたぐことから始めてみましょう。
横にそれないように、廊下や出入り口などの横幅が狭い場所で逃げ道をなくすと成功しやすくなります。
正面から犬を呼んだり、おやつで誘導したりして障害物を乗り越えさせてみましょう。犬によってはリードを付け、飼い主と一緒に障害物をまたぐ方が上手くいく場合があります。 - またぐことが出来るようになったら、今度はまたぐ瞬間に「ジャンプ」と声を掛け、コマンドを教えていきます。
「ジャンプ」を覚えてきたら
クッションを使って飛び越える障害物を高くしたり、連続ジャンプにチャレンジしたりしてみましょう。ただし、あまり高すぎる障害物をジャンプさせると犬の体に負担がかる可能性があります。
高さの上限は、小型犬:〜30cm、中型犬:〜40cm、大型犬:〜60cmくらいが目安です。
参考:
FCIアジリティー規程
おうちでアジリティ②トンネル
アジリティ競技の「トンネル」とは、筒状のトンネルの中をくぐっていく競技です。
作り方
ローテーブルに布を掛け、出入り口を作ります。こたつを使用している場合は、こたつの両サイドの布を上にあげるだけでもトンネルが作れます。
トンネルの教え方
- 犬を入り口で「マテ」をさせ、出口から顔を出して呼んでみましょう。
二人で出来るのであれば、一人が入口側で犬の体を抑え、もう一人が出口側で呼んであげてみてください。犬によってはトンネルの中におやつを点々と置いた方が上手くいく場合があります。 - 上手にくぐれるようになったら、「クグッテ」のコマンドを教えます。
「クグッテ」を覚えてきたら
ローテーブルを2つ使って距離を長くしたり、ダンボールを使ってL字やU字のトンネルを作ってみたりして、犬の習熟度に合わせて少しずつ難しくしていきましょう。
出口部分の布を垂らして出口が見えないようにを隠すと、さらに難易度がアップします。
おうちでアジリティ③ドッグウォーク
アジリティ競技の「ドッグウォーク」とは、斜めになっている板を登り、平均台を歩くような競技です。
用意する物・作り方
ソファやベッドを使います。登りと下りの坂道部分の再現は難しいので、ドッグステップがあれば便利です。
ない場合は新聞紙や台などで階段状にステップを作ってあげましょう。
ドッグウォークの教え方
おやつを使って誘導していきますが、普段ソファやベッドに登り慣れている犬であれば、習得は難しくありません。「ノボッテ」のコマンドで登れるようにしましょう。
登ることが得意な犬の中には、ソファの背もたれや横にしたカラーボックスの上など、横幅が狭いところでも平気で歩ける犬もいます。
おうちでアジリティ④ロングジャンプ
アジリティ競技の「ロングジャンプ」とは、等間隔に並べたハードルを一気にジャンプする競技です。
用意する物・作り方
「ハードル」で使用した、丸めたバスタオルやタオルケットなどを複数置きます。
ロングジャンプの教え方
先程のハードルで「ジャンプ」がある程度出来るようになっていれば、ロングジャンプも同じ要領で教えていきます。ジャンプする距離を少しずつ長くするため、丸めたバスタオルの数を「2つで成功したら3つに挑戦する」というように1つずつ増やしていきます。
連続でやってみよう
それぞれの障害物に慣れてきたら、連続して飛んだり、くぐったりしてみましょう。一番簡単なのは直線上に障害物を配置していく方法です。慣れてきたら、障害物の順番を変えてみたり、配置の中にカーブを入れたりしてみましょう。
本格的なアジリティ競技の場合は、スタートからゴールまでのタイムで競いますが、初心者の場合は「全部クリア出来ればOK!」というような楽な気持ちでやってみて下さい。
犬が楽しんでやっていて、さらに上級を目指したいようであれば、犬の訓練所で習ったり、競技会に出場したりすることも出来ます。愛犬と共通の趣味を持つというのも素敵なことですね。
上手に遊ぶコツ
無理にやらせない、叱らない
アジリティは人と暮らす上で必ず身につけておかなければいけないものではないため、「嫌がるようであれば無理にやらせない」、「失敗しても叱らない」などの点がポイントです。いつもよりおいしいおやつで誘導して、犬が自ら動いてくれるように教えていきましょう。
また、高さや難易度は徐々に上げていき、犬が無理なくクリア出来るようにしていくことも重要です。
ケガをしないように気をつける
ジャンプする場合の障害物は、ぶつけても脚が痛くないように柔らかい素材を選びましょう。教える段階で痛い思いをしてしまうと、ジャンプしなくなってしまう犬もいます。
床がフローリングの場合は、犬の膝や股関節を痛めてしまう恐れがあります。カーペットや滑り止めマットを敷くなどの対策をしておきましょう。
犬をおおいに褒め、飼い主も楽しむ
犬が障害物をクリアしたら、おおいに褒めてあげましょう。「出来るかどうか、ちょっと不安」なことを「出来た!」という経験をさせてあげることで、犬も自信がついていきます。
また、犬は飼い主の気持ちに敏感な動物です。飼い主が楽しんでいる雰囲気を出すことで、犬も楽しく遊んでくれるようになります。
まとめ
今回は、おうちで出来る簡単なアジリティを紹介しました。
「お散歩しても元気があり余っている」、「もってこい遊びをしない」、「シニア期に向けた体力作りをしたい」というような犬は、おうちで簡単に遊んでみてはいかがでしょうか。
また、犬のメンタル面でも「出来た!」という成功体験を繰り返すことで犬のメンタルキャパシティが向上したり、飼い主の指示で楽しい遊びをすることで飼い主への注目度がアップしたりする効果も期待できます。
楽しく遊んで、愛犬との「おうち時間」を充実させていきましょう。