猫を飼っている飼い主さんにとって、お手入れも大切な世話のひとつです。猫は自分でグルーミングや爪とぎをしますが、行き届かないところもあります。また、歯の手入れは自分で行うことはありません。
ケガや病気などトラブルを避けるためにも、猫とのコミュニケーションを深めるためにも、飼い主さんによるお手入れは必須です。特に高齢猫はグルーミングや爪とぎをしなくなるので、こまめなチェックも欠かせません。
この記事では、飼い主さんが行うべき基本的な猫のお手入れについて解説します。
この記事の目次
猫に必要なお手入れ
猫にとって、必要なお手入れの基本は「爪切り」「ブラッシング」「歯みがき」です。
爪切り
爪とぎをしたあとの爪は鋭いため、定期的な爪切りが必要です。伸びたままになっていると、カーテンやじゅうたんなどに引っ掛かって猫がケガをする恐れがあります。飼い主さんも引っ掻かれてケガをしたり、感染症にかかったりするリスクがあり危険です。
ブラッシング
猫は自分で毛をなめて手入れをします。しかし、換毛期などは抜け毛が大量にお腹に溜まり「毛球症(もうきゅうしょう)」を引き起こす恐れも。最悪の場合は、腸閉塞などを起こすリスクもあります。
定期的なブラッシングを行って、抜け毛を取り去ってあげましょう。特に長毛種の猫は、毛が絡まりやすいのでこまめなブラッシングやコーミングが必要です。
歯みがき
猫は歯周病にかかりやすいため、歯みがきが必要です。猫用の歯ブラシとチキン味などのペーストを用意して磨きます。ほとんどの猫が歯みがきを嫌がるので、焦らずに少しずつ進めていくことがコツです。
シャンプーや耳そうじ、肛門絞りは?
基本的に猫は定期的なシャンプーの必要はありません。ただし、排泄物で汚れた場合などは、猫用シャンプーで洗ってあげましょう。皮膚病など、動物病院で必要と言われた場合は、指示に従ってください。
耳掃除も、綿棒などで行う必要がありません。耳の内側の垢が気になる場合は、ペット用のウエットティッシュで拭きとります。「頻繁に耳をかく」「耳を気にして頭を振っている」など、耳に異常がある場合は動物病院を受診しましょう。洗浄液などを自己判断で使うのは危険です。
犬のように肛門絞りは基本的に必要ありません。お尻をカーペットに擦り付けている場合は、肛門嚢に何らかの異常が起きている恐れがあります。この場合も、自己判断せず動物病院を受診してください。
猫のお手入れをするコツ
突然ブラッシングをしたり、歯を磨いたりすると、ほとんどの場合は嫌がられます。爪切りも苦手な猫が多いはずです。子猫のほうが早く慣れる傾向にありますが、成猫でもゆっくり進めていけば大丈夫です。
1. グッズに慣れさせるところから始める
ブラシや爪切り、歯ブラシなどお手入れ道具の存在に慣れさせます。いつも猫が過ごす場所にさりげなく置いておきましょう。歯ブラシにペースト状のおやつをつけて、なめさせるのもいいでしょう。
2. おやつで誘導して体に触る
道具を見ても嫌がらないようなら、おやつを使ってお手入れに慣れさせます。猫がリラックスしている時間がおすすめです。1日で一気にやるのではなく、おやつを使いながら少しずつ進めるようにしてください。
爪切りのポイント
- 足を触ったらおやつをあげることからスタートします。
- 慣れてきたら、少し力を入れて足を押さえましょう。
- 次に爪を少し押し出します。
- 押し出しても嫌がらなくなったら、爪切りで足に触れておやつを与えましょう。
- 猫が嫌がらなくなって、初めて爪を切ります。最初は1本だけでもかまいません。
切っている間、ペースト状のおやつをなめさせるのがおすすめです。バスタオルなど、大きな布で包むと大人しくなる場合があります。
ブラッシングのポイント
- 撫でられるのに慣れていない猫は、突然触ると怖がります。おやつを与えながら頭のてっぺんだけをブラッシングをします。
- 次は首の後ろなど、徐々に範囲を広げていきましょう。
お腹周辺は、乳首に傷をつけないように注意しましょう。
歯みがきのポイント
- まずは、口の周囲や歯に触るのに慣れさせます。
- 歯ブラシを歯にあてたらおやつをあげるなど、少しずつ進めていきましょう。
歯ブラシにペースト状のおやつをつけておくと、受け入れられやすくなります。
3. 無理強いしない
猫のお手入れで大切なのは無理強いしないことです。押さえつけたり、怒ったりしないようにしましょう。大声で励ますのも、猫はかえって嫌がります。一度嫌な思いをすると、二度とお手入れを受け入れなくなる猫もいるほどです。
お手入れ中に、「しっぽをバタバタ振る」「耳が寝る」「おやつを食べなくなる」は嫌がっているサイン。すぐに中止してください。
4. どうしてもできないときは動物病院に
暴れまわって上手くいかない場合は、動物病院に相談してコツを教えてもらいましょう。動物病院にいくとなぜか大人しくなって、すんなりお手入れができるケースもあるようです。
お手入れをするメリット
猫の体をお手入れすると、体調管理や健康チェックができるという大きなメリットがあります。毛のつやがないなどはすぐに確認できますが、お手入れをすることによって皮膚の異常や腫瘍、口内炎などにも、いち早く気づけるでしょう。
体を触られることに慣れていると、動物病院での診察も楽になります。猫とのコミュニケーションにもなるので、お手入れは定期的に行ってあげましょう。
シニア猫の体はこまめにチェック
猫は年を取ってくると、爪とぎやグルーミングをあまりしなくなってしまいます。飼い主さんがこまめにチェックして、お手入れをサポートしてあげましょう。
爪とぎをしないと、古い爪が残ったまま太くなり、内側に丸く伸びていってしまいます。ひどい場合は肉球に刺さって、痛みで歩けなくなる恐れもあります。内側に太く伸びた爪は切るのが難しいので、動物病院を受診しましょう。
毛のグルーミングの頻度も減ります。抜け毛もとどまったままになり、ボサボサになって「毛割れ」を起こす場合も。松ぼっくりのような状態になっていたら、お手入れ不足の証です。猫用のお手入れタオルで汚れをふき取り、ブラシをかけてあげましょう。
まとめ
猫に必要なお手入れの基本は、ブラッシング・爪切り・歯みがきです。シャンプーや耳掃除、肛門のケアは猫の状況によって必要になりますが、まずは動物病院を受診して指示に従いましょう。
お手入れは少しずつ慣れされることがコツです。無理やり行ったり怒ったりするのは、猫との信頼関係も失われてしまう恐れもあるため、やめましょう。
お手入れは、「猫の健康状態のチェックができる」「コミュニケーションになる」などメリットも多いため、定期的に行いましょう。高齢になると、毛づくろいや爪とぎの頻度が減ります。飼い主さんがサポートしてあげてください。